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ペオグラード王国にて  作者: 卵かけご飯
エピローグ:ペオグラード王国にて
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ペオグラード王国にて

あの日から数日

ペオグラード王国で起こった事件の後処理はほぼ全てが終了した。

王下12貴族のうちの三家、そしてそれに従った全ての貴族が捕らえられた。

国王への反乱はすぐに民の知るところとなり、僅かながら混乱が生じたが、それもすぐに収まることとなった。

捕らえられた貴族たちの財産、並びに領地は国王預かりとなり、今城では細かな確認作業が行われている。

まぁ細かいことを言えばきりがないのでまとめると、自分のやることは全て終わったのだ。

重要な事を一つ述べるなら、次期国王を選出するという話は流れることになってしまった。

そんなことをしている暇ではない・・・まったくもってそのとおりだと思う。

自体の収拾に借り出されていた自分にできることもほとんどなくなり、久しぶりの我が家への帰還となる。

屋敷の門をくぐり、扉を開け中に入る。

久しぶりの我が家だ。

「おかえりなさいませご主人様」

メイドに声をかけられる

知らない顔だ。新人なのだろう。

「兄さんはいる?」

「レオナルド様なら自室にいらっしゃるかと」


「ありがとう」

階段を昇り兄の部屋に向かう


“コンコン”

扉をノックする。 返事はない

「兄さん? 入りますよ?」

中にいるだろう兄に念のための確認をして扉を開ける。

中に入るとすぐに兄を見つけた。

ソファーに座りながら気持ちよさそうに寝息を立てている。

まったく、自分は今まで後処理に追われていたというのに、この兄はおそらくあの後すぐ城から帰ったのだろう。

一度も城で兄を見かけなかったのがその証拠だ。

聞きたいことは山ほどあるし、言いたいことも山ほどある。

誰に話を聞いても全容はわからない

まさか陛下にお聞きするわけにもいかないので、残すはこの兄のみなのだが、

でもまぁ

この光景を見せられては何も言えなくなってしまう


「おやすみ 兄さん ルナ」

兄のひざの上で小さく寝息をたてている妹を見ながらそっと部屋の扉を閉める。

やることやったらすぐさま妹のケアに向かうだなんて、兄さんには参るよね

自室の扉を開き、ベットに飛び込みながらそうおもっ・・・



<>



あの事件の後、王女様方に話を聞かせてほしいと言われ、茶会に招待された。

とは言っても自分を含めて4人の茶会ではあるが。

アーティナ様とカーティナ様はあまり話さないので緊張する。

茶会は進み、皆が一通り落ち着いたところで事件の話に移った。

「それでバーツ君? あの後何がどうなったのか聞かせてもらっても良いのかな?」

最初に切り込んできたのはカーティナ様だ

「そうそう おれもその話を早く聞きてーと思ってたところなんだよ!」

アーティナ様も食いつく

自分程度の知ってる話ならカーティナ様はともかくアーティナ様はご存知だと思うが、まぁいい


「皆様すでになにがあったのかはご存知だと思うので、経過報告ならさせていただきます。知りたいことがございましたらそのつど質問していただければと思います。 あの後は城にいた反乱参加者の捕縛と、脱走者の捕獲、並びにその親族の確保を行っていました。 つまるところとても地味なことを延々とやっていたのです。死者の統計、武器の確認、破損物の確認、あげればきりがないですが」


「つまりは特に変わったことは今のところ起こってないということですね?」とカーティナ様

「そうですね、事件終結後は比較的流れ作業というところでしょうか?」

その後も延々と地味な活動について話した。

しかし、やはり二人の反応は鈍い

唯一サーティナ様だけは真摯に聞いてくれている。

「あんまおれらの知ってること以上のことってのは起こってないんだな?」


「常にお城にいらっしゃる王女様方以上の情報というのはなかなか知り得ないですよ?」

「兄のスワンやレオナルドから事件に関して何か聞いてないのですか?」

「そうだな! あいつらが事件に密接に関わってるんだろ? あいつらそもそもなにしてたんだ?」

兄二人が何をしていたか・・・


「私もわからないんですよね? そもそもあの二人が何をしていたのか・・・」


「んぁ? どういうこったい?バーツ レオナルドからなんか聞いてないのか?」

「スワン様もなにか言っておいでになってないのですか?」


「そもそも私があの事件に偶然にも関わったのは、前日に兄から指令があったからであって、そもそも私はほとんどなにも知らないと言っても過言じゃないんですよね 兄の起こした騒動に巻き込まれただけというのが正しいのでしょうか?」

兄の顔を思い浮かべながら言う。

まったく兄の言うことを聞いてあんなことになるなんて思いもしなかった。


「最近はあって話したりしてないのか?」

「兄は基本寝てるか引きこもってるかなので、それに兄は自分が話そうと思わないものはいくら聞いても答えてれない人間なので、今回のことも答えてくれるかどうか・・・」

人を巻き込むだけ巻き込んで、あの兄はなにも語らないのだろうなと思う。

「スワン兄さんは純粋に忙しい方ですからね」


「なるほど、詳しい話はバーツ君もわからないというところですか」

がっくりした様子のカーティナ様

「申し訳ありません」


「バーツ様」

突然沈黙を保っていたサーティナ王女に呼ばれる


「なんですか?」


「ムゥさんのことをお聞きしてもよろいしいですか?」

あの事件のとき、サーティナ様はムゥと、魔女の暮らす施設、封印牢について知ることになった。

ムゥ本人と話したらしい

「ムゥのこと・・・ですか」

どうなのか

あまり公にしていい施設ではないし、人物でもない気がするが・・・

「いいんじゃん?」

答えは予想外のところから来た。

「アーティナ様?」

視線を向ける

「だってサーティナも知ったんだろ? あとはカーティナが知らないだけで俺は知ってるしな? 王女が全員知っていても問題はないだろう」


「アーティナ様はご存知なのですね?ムゥのこと」


「これでも第一王女だからな?」

にやっとこちらを見る王女


「では、サーティナ様のご希望に沿いまして、ムゥに関してですが、会いたいですか?サーティナ様」

純粋な問いかけ、なぜサーティナ様がムゥについて聞いてくるのか、ひとえにもう一度会いたいからなのか


「そうですね、もう少し、お話してみたいと思ってます。 あの時は、お互い、ゆっくり話すことも出来なかったので」


「なるほど、ムゥですが、現在封印牢にはいません。」


「・・・帰られてないのですか?」


「いえ、居場所は把握しております。」


「ではどうしてでしょう? ムゥ様は施設の外にいても平気なのですか?」

その瞳にあるのは純粋な心配

「そもそもサーティナ様、ムゥの魔女としてのランクはご存知ですか?」


「ムゥさんからは特A級と伺っておりますが」


「はい、そのとおりです。しかしサーティナ様、特A級というのは施設の力だけで抑え込めるほど弱い存在ではありません。」


「つまり・・・?」


「つまるところムゥの力を完全に封じ込めるには別に魔法具を使って力を押さえ込む必要があるのです。」


「それと今施設にいらっしゃらない理由にどのような関係が?」


「ムゥの特A級というのは生半可な魔法具では押さえ込めず、今まで、つまりあの日サーティナ様がお会いになられるまで『魔人殺し』という魔法具を使っておりました。」


「『魔人殺し』国宝級といわれる魔法具ですね」


「本来なら誰にもはずせない鎖なのですが、例外として国王と王下12貴族当主は外せるように条件付けされていたようで」


「あの日ムゥ様の鎖ははずされたのですよね、でもそれなら再びその道具を使えばよろしいのではないのですか?」


「あの魔法具はそこらの物とはケタが違うので、はずしたらつけると気軽に出来るものではないらしく、現在は再び装着できるまで施設に戻れないそうなのです。」


「では、今はどこにいらっしゃるのです?」


「・・・・・・・・・・・」

当たり前の質問だ。この話のながれなら確実に来るであろう質問

しかし、自分でもいまだにムゥの居場所に関して信じ切れていないのだ。

この反応は仕方ないと思っておく


「秘密の場所なのですか?」


「いえ、・・・・・やです。」


「バーツ君?きこえないぜ!」


「我が家・・・・でございます。」





「ど・・・・どういうことですの? 把握しきれていませんが、特A級の魔女なのですよね? それがスワン様のご自宅に? いえ、プリシュティナ公爵家の屋敷に?」

意味がわからないという顔のカーティナ様

自分だってわからないのだ。

そんな顔をされても困る。


「なんでもレオナルド兄さん預かりになっているとかで・・・」


「あいつが管理するのか・・・・まぁできそうだな」

どこか達観したようなアーティナ様

私も家にムゥがいたときは同じ反応をしたので仕方ないことだ。


「それで、ムゥ様にはあえるのですか?」

あぁ、話がそれていたな


「時間はしばらくかかるそうですが、会えるようにはあなるらしいです。」


「そうですね 私も安定には時間がかかりましたし、ずっと待つことにします。」


「・・・・兄に期待しましょうか」



<>



スワンお兄様がお城へ行ったあの日、変わりにレオナルドお兄様が遅くに帰ってきた。

心配で心配で心配で、お母様と二人、部屋で無事を祈っていた。

だからレオナルドお兄様がその日のうちに帰ってきたときはお母様と二人びっくりしてしまった。

いったい何があったのか、どういうことになっているのか私とお母様はまったくわからなかったけれど、お兄様の「疲れたから寝る」という言葉でお母様とふたり安心したのを覚えている。

あのときのお兄様の表情はとてもやさしいものだった。

それでもまぁ、完全に安心できたわけではなく、それを理由にお母様とお兄様と私の三人で一緒に寝たのは良い思い出だ。

布団をかけながらお兄様が「弟達は3日後ぐらいに帰ってくる」という話をしてくれて、ようやく眠ることが出来た。

今日はあの日から2日

お兄様の部屋には今、知らない女性とベルナンディー様が来ている。

私はそれを興味本位で覗いてしまっている。

駄目だと思いながらつい気になってしまった。


「んでベルナンディー? お前は城で後処理やってなきゃいけないんじゃないのか?」


「ははは 面白い冗談を言うのだね君は? それを言ってしまったら君がここにいるのが一番おかしいということにはならないのかい?」


「俺はめんどくさいのは大嫌いだからな、そもそもあの日までおれが真面目に働き続けたってのは奇跡に近いことだぞ? まぁでもおれのすばらしき未来のための投資として仕方なく放り投げることなくやったがな?」


「すてきな未来のためねぃ? まぁそれがどんな未来なのかは今はおいて置くとしてだね、そもそもレオナルド 君は働いたと言っているが? その辺のところ詳しく説明してくれるのかい?」


「おれとしては一ヶ月ほど屋敷で平和な時間がほしいからな お前が消えてくれるならめんどくさいが話してやらんでもない」


「ふむ、なら話してくれ、条件として一ヶ月『よほどのことがない限り』君の屋敷には来ないと誓おう」


「そりゃすてきだ で? 何が聞きたいんだ? 俺は全部いちいち話すなんてめんどくさいことは嫌だからな 知りたいことがあるなら聞け 可能な限り応えてやる」


「じゃぁまず今回のことだけど、君は陛下に反感をもつ貴族の先頭に立った振りをして馬鹿なやつらを集めたけど、それは陛下からの命令だったのかい? 君が仕事というからにはさ?」

「あぁ? なんだそんなことか」


「結構重要なことなんだけどね?」


「まぁいまさらどうでもいいことだから構わないけどな、あれは俺が主導でやったんだよ」


「・・・? どういうことだい?」


「まぁなんていうかな? セルゲイが跡継ぎを決めるって話がいろんなところに広まっただろ?」


「そうだね もっとも、私が君に尋ねたときは君は知らなかったみたいだけどね?」


「あんときの意味わからん問答のときなら確かに俺は知らなかったぞ? あの後馬鹿がおれの元を訪ねてきてな? 陛下が本当に後継を決めるなら是非俺にがんばってほしいと来たのさ」


「なるほどね でもそれだと話の時期としては少し違和感が出てくると思うんだけどね?」


「どういうことだ?」


「スワン君が跡継ぎとして有力視されるようになったのはそれよりかなり後の話だろう? 君が後継になる可能性が低くなってから陛下へ反旗を翻す計画が出来たとして、それ以降陛下に会うことは出来なかったはずだろう? それなら陛下と共謀して馬鹿どもを一網打尽にするなんていうのは難しい あいつらとて馬鹿ではないのだから、君が陛下と何度も会ってしまっていては、流石に感づくだろう? 誰かを間に挟むとしても、それほど信用が置けるやつも多くないだろうし それでもごまかすには限界がある。」


「なるほどな」


「いや、なるほどなじゃないだろうに・・・ 君の事なんだから それでどうやったんだい?」


「いや、どうやったも何も特にむずかしいことはないぞ? 馬鹿がおれを後継に話を持ってきてから、少ししてセルゲイの元に行って、いづれこういう流れになるかもしれないけどどうする?って話をして、『じゃぁうまくやってほしい』って言われたから上手くやったまでだ」


「・・・・・・じゃぁなにか? 君は後継の噂がでてすぐ国王陛下の元に行って未来を予知して対策を提案してその後はなんの連絡も取り合うことなくやったと?」


「まぁなんの連絡も取り合うことなくってのは少し違うが、大まかに言えばセルゲイと会って話したのは一度きりだ。 俺は予定もなく城に行くような人間じゃないからな、そもそも臨時で城に一回行ったから、気づくやつなら気づいちまうだろうさ 今月城に行く回数多いなってな?」


「君は決まった回数しか城に行かないとは知っているけれど、そこまで厳密なものだとは思ってなかったよ」


「まぁ月に3回以下ってだけだけどな あの時ばかりは4回目だったから新鮮だったぜ」


「こうみえても私は君の事をそこそこ監視していたんだけどね まさかこんな結果になるとは思わなかったよ」


「監視? そうなのか?」


「いちおう当事者だったからね君は、 君が万が一にも馬鹿なことをしないようにって思ってやったのだよ」


「それで? 成果はあったのか?」


「まったくもって自分の至らなさを今実感しているところだよ 私としては、君は後継問題に関わらないと判断していたからね、罠とはいえ、君がこんな形で関わるとは予想も察知もできなかったよ」


「そりゃ俺っていう人間を知ってるからこその失敗だったな おれをよく知る人物だったらまさか俺がこんなことに関わるとは思わないだろうがな むしろそれでも俺を監視していたというのなら、お前は優秀なやつだよ」


「慰められている・・・と思ってよいのかな それで? どうやって連絡を取りあってたんだい?」


「基本的には偶然なんだけどな 俺さ?腕折れてたじゃん? あれの見舞い客って基本的にアホどもの使いなんだよな 純粋に見舞いに来てるやつもいたけど」


「なるほどね 腕が折れたってのはフェイクだったわけなのだなぁ 確かに君にしては見舞い客が多かった。 あれは公爵家長子ゆえだと思ったいたけれど、やはりちがったのか」


「いや、折れてるのは本当だぞ?」


「この捕り物のためにわざわざ折ったのかい?」


「襲われたって言っただろう? これは本当に偶然だ。 俺にとってはだがな」


「見舞いの振りした者と情報のやり取りして計画を実行したわけか・・・」


「敵も味方もみんな見舞いの振りしてたけどな しらないやつばっかりで笑ったぜ」


「あぁ、 ルナ嬢との話を思い出すとおかしいと気づくべきだったな」

自分の名前が聞こえた気がして一瞬ピクっとしてしまった

「ん? 何がだ?」


「怪我で寝ているはずの君がわざわざ顔も知らない見舞い客と会っていたって話さ 普通の人間なら当たり前の話だけれど、君を知っている私がこれをおかしいと思わないなんてうっかりしていたよ 君がそんなめんどくさいことを普通するはずがないのにね?」


「お前の俺への信頼に涙がでちまうよ」


「そういえばレオナルド、腕はもう治っているのかい?」


「ん? まだばりばりじゃなくてボッキボキに折れてるぜ?」


「それでよく計画を実行したものだね」


「まぁ折れた時も振り回していたからな 半分ぐらい治った状態で動かすのなんてまるで問題ない ・・・痛いけど」


「まぁこの話はこの辺にしておこうかな これ以上は細かな話になるんだろうしね?」


「まぁな なかなかにギリギリの計画だったからな 穴も多い だが逆に言えばその穴を補ってあまりある成功率があったからな まずばれないし失敗しないし」


「陛下が対応できなかったらどうするつもりだったんだい?」


「そしたらそのまま流れに乗ればいいだけじゃねーか? 何を当たり前のことを」


「君は・・・・私だからいいものを、冗談でもほかの人には言ってはいけないぞ?」


「あたりまえだ、お前だから言ってるんだよ」

ぁ! ベルナンディー様が照れてる 何を言われたんだろう


「それで? いまさらだけれど、こちらの令嬢に関しては教えてくれるのかい?」


「令嬢というのはわしのことかのう?」


「まぁこの場にはお前しかいないからな 安心しろ お世辞だ」


「別にそんなことはどうでもいいぞ」


「まぁこいつはムゥって名前だ」


「ムゥという よろしくたのむのぅ」


「レオナルド君の未来の花嫁で、ベルナンディー伯爵家当主:ユーリア・コントァ・ベルナンディーという名前だ よろしくたのむよ?」


「自己紹介を捏造するな」


「未来とわざわざつけてるのだから捏造ではないよ 未来はわからないものだからね」


「俺が未来を確定させてやる お前を嫁にすることは『絶対に』ない」


「ひどいなぁもう まぁいいや ムゥ君? 君とレオナルド君との関係を聞いてもいいかな?」


「10年前に手篭めにされた・・・といえばわかるかのう?」


「こんな少女を10年前に手篭めって・・・・レオナルド?」


「わざとらしくそんな疑いの視線で俺を見るな!まったく、簡潔に説明してやる。 『こいつ魔女 10年前暴走 俺止めた こいつそれから成長してない』ってところか」


「じつに簡潔でわかりやすい説明だのう」


「たしかにわかりやすいんだけどね、それからどういう付き合いなんだい? 10年間の空白がまだあるよ?」


「10年前こいつに鎖に巻かれて地下に閉じ込められていた・・・といえばわかるかのう?」


「・・・・・・・・・レオナルド?」


「だからそのわざとらしい視線をやめろ! 説明すればいいんだろうが!?」


「大丈夫だよレオナルド? 私は君にどのような趣味があろうと少しは我慢できるだろうから」


「趣味じゃねえよ、なんつーかな 昔すげー魔女が暴走してるって報があって、こいつを親父と一緒にぶちのめしに行って、ぼこぼこにしてから捕まえて、魔力を押さえ込んで安定させるための施設作って突っ込んでおいたんだよ」


「わしとしてはあまりに久しぶりの再会で本当に本人かわからんがのう そうか あの施設はお前がわしのためにつくったのか」


「厳密に言えばお前のためじゃねえよ どうせうじゃうじゃ魔女なんているだろうから大量に収容できるところをいい機会だから作っただけだ」


「魔女封印牢か・・・今回私も知るところになったが、君が開設者だったとは私も驚きだよ」


「俺と親父だけどな」


「まぁその辺はいいよ とりあえずわかったから、それでなんでその子がここにいるんだい?」


「それはわしも聞きたいのう 個人的には早く施設に戻りたいのじゃが」


「再び魔力抑制具を取り付けるために連れてきたんだよ 馬鹿な当主がはずしちまったからな 一時的に牢に入れておいて、今日連れてきた。」


「『魔人殺し』のことかのう? お主に装着が出来るのか?」


「あたりまえだ! 持ち主が使えない道理がない」


「・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・持ち主?」


「俺の作った道具が俺に使えず誰に使えるって話だよ!」


「お前が『魔人殺し』を作ったというのか? どうやって? なんのためにじゃ?」


「どうやってと言われても、お前道具作りのこととかわかんのか? 目的なんて名前聞きゃわかるだろ普通?」


「『ま・じ・ん・ご・ろ・し』 魔人を殺すためか?」


「使い方はお前のときと同じだけどな 魔力を押さえ込む道具だから」


「はぁ・・・・この際、真偽の話は置いておこう。 とりあえずつけれるというのなら着けてくれると助かるのう わしとしてもいつ暴走するかハラハラしておるのじゃ」


「それなんだけどな? まぁ見た感じ必要なさそうだから着けんのやめたわ」


「なんじゃと!? 必要ないとはどういうことじゃ!?」


「言葉通りなんだが・・・もう暴走しそうにねーしいらねーんじゃねーか? それとも10年間身に着けてたものだから無いと違和感があるとかなのか?」


「そんな趣味はないわ! ・・・・・・もう暴走しないのか?」


「たぶんだけどな?」


「たぶんでは困るのじゃが」


「だから俺の家に連れてきてんだよ 外で暴走されたら困るからな」


「ここなら良い・・・・・・というのか?」


「俺がいるからな」


「・・・・・・」


「・・・・・・君ってやつはまったくなんでそう、はぁ・・・・いいか」


「まぁ俺以外にも任せられるやつたくさんいるし平気だろ」


「バーツ君やスワン君のことかい?君の父上とか」


「まぁあいつらも任せられるっちゃ任せられるけどな」


「そもそもなぜ、もうわしが暴走しないと言えるのじゃ?」


「そりゃ10年も経てば平気だろ」


「わしは魔力制御の訓練は特別やってないぞ?」


「んなことやらなくても時間がたちゃ平気だよ 時間は全部解決してくれるからな」


「どういうことだい?」


「お前らそもそも魔女ってなんかわかってるのか?」


「魔力の制御ができない者のことじゃろ?」


「半分正解だけどたぶんわかってねーな」


「ふむ、君の言う魔女っていうのはなんなんだい?」


「魔女ってのはな? 自分の才能に体が追いつけない天才のことを言うんだよ」


「天才・・・わしらが天才だというのか?」


「そもそもな、魔力制御が出来ないやつなんてのは世の中に山ほどいるんだよ 当たり前だろ? 訓練もせずに全員が出来るわけがない じゃあなんでそいつらは暴走しねーんだ?簡単なことなんだよ、そいつらには暴走するだけの才能(魔力)がねーからだ。」


「「・・・・」」


「膨大な魔力を備えて生まれちまったやつが訓練もせずに成長する。そしていつかその魔力の増大に体が耐え切れなくなる。それが暴走っつわれてるもんなんだよ 魔力ってのは体に留めたり放出したり循環させたりいろいろしねーといけねーからな」


「つまりわしは、体が魔力に適応したから暴走することはもうない・・・ということなのかのう?」


「そういうこった。10年たっても体の大きさは変わってねーみたいだけどな?体は慣れたみたいだぜ? 魔法使いを目指したりするなら訓練が必要だが、普通に生活して暴走することはもうねーんじゃねーか?」


「なるほどね、レオナルド君の魔女の解釈はなかなか面白かったよ」


「まぁだから様子見で俺の家で1年過ごして平気なら晴れて自由の身ってやつだぜ? まぁいやだっつうならうちじゃなくてもかまわねーけど」


「いや、わしがいることに問題がないなら世話になろう。」


「仕事はさせっけどな?」


「当然じゃろな 器用ではないが全力を費やそう」


「まぁつってもメイドの仕事少しやってもらうだけだけどな? あんま人手に困ってねーし そもそもお前が何もせずいるのは辛いんじゃねーか?ってあれで言ってるだけだから」


「そういうのは言わない方が・・・・って君に言っても仕方ないか」


「俺が少しでも楽をしたいって欲求で雇うともいう 給料を出すのは俺だから文句は受け付けん」


「文句なんて言わないけどね? それで君は今後どうする予定なんだい? のんびりする先のことだよ?」


「まぁセルゲイとの約束の報酬を受け取ってもうちょいがんばって一生のんびり生活ってところか?」


「約束の報酬かい?」


「俺のステキな未来だぜ!」


「なんじゃそれは」


「独立のための小さな爵位と、少しの領地! 安定した俸給!は無理か まぁ前二つだな」


「なるほどね 陛下がそれを約束してくれたのかい?」


「じゃなきゃ俺が働くと思うか? 正直こんなチャンスが来ると思わなかったからな いやいや働いたぜ!」


「なるほどのう そしたらわしはそっちの家に行くのじゃろ?」


「だろうな」


「まぁレオナルドの未来図はわかったよ。・・・・・・・・・・・そうなるといいね」


「なんか言ったか?」

「いや、そろそろ私は帰るとするよ」


「そうか? まぁルナも待ちくたびれてるみたいだし、そろそろか」


「ルナ嬢?」


「扉の前で俺のこと待ってるみたいだな 話が聞こえてるかどうかわからんが」


「それじゃぁまたね」


ベルナンディー様がこちらに向かってくる

急いでとびらから離れる


「じゃぁねルナ嬢」


扉から出てきたベルナンディー様は私にそういって帰っていった。


私は恐る恐る部屋の中に入る


「ルナ 待たせたな?」


「いえ、それほどでも」


「そうか? とりあえず今日から一緒に暮らすやつを紹介するぞ?」



<>



「乾杯」

とある場所とある部屋にて二人の男が祝杯をあげる。

片方の男の名はセルゲイ・ロア・ペオグラード

ペオグラード王国現国王

もう片方の男の名はマルク・デュク・プリシュティナ

プリシュティナ公爵家現当主

国の最高権力者達といえるだろう。

反乱から7日経った今日

全てが収拾したと言える今日

二人は集まった。


「それにしても助かったよ」


「というと?」


「君の子供たちのことです。 優秀で真面目でね」


「スワンとバーツはまさにですね 親としても助かってます」


「レオナルド君が騒ぎの後すぐ帰って寝てたというのを聞いたときはびっくりしましたけどね」


「あれはちょっと変わってますので・・・」


「それは昔からわかっていましたが、流石にびっくりしましたよ」


「まぁメインの仕事はしたので良しとしてます。」


「まぁ他二人ががんばってくれましたしね」


「最初8割を長男が、残り2割を弟たちがと考えればレオナルドは責められませんが」


「そうですね、 とてもうまく立ち回ってくれたので容易に12貴族のうち三家もつぶせたので助かりました。」


「レオナルドは嫌々適当にやってる様に見えましたが、結果が全てですからね」


「まぁそれであの結果ならすばらしいというものです。」


「今回のことでまた我が家にメイドが増えてしまいましたが」


「ん? あぁ ムゥという子のことですか?」


「相変わらず変なのを近くに置く癖は直って無いようで」


「公爵の家には既に三人ほど面白い方がいますしね?」


「まぁ問題は起こさないので構わないといえば構わないのですがね」


「彼が作った魔女封印牢の最奥の住人にして最初の住人でしたよね?」


「はい、レオナルドに命じて10年前捕らえさせた魔女です。」


「あの時はびっくりしましたね 急に不思議な施設の建設を奏じられましたからね」


「私としましても何を突然と思いましたが、あの子が『絶対に将来得をする』なんてめずらしく言うのでつい」


「まぁ施設自体は役に立っていますしね」


「それで陛下、ひとつ聞きたいのですが」


「なんですか?」


「あの子を襲わせたのは陛下の指示ですか?」

ずっと下手に出ていた公爵が初めて鋭い視線で国王を見つめる。


「たしか妹さんと一緒にいたとき襲われたんですよね? もちろん私の指示ではありませんよ?」


「安心しました。計画遂行のために陛下がやったのかもしれないと一瞬疑ってしまい・・・・申し訳ありません」


「別に構いませんよ 私も彼の負傷は予想外でした。 結果としてそれが役に立ちましたが、流石の私もそのために彼を負傷させたりはしません」


「はい、私の短慮ゆえの質問です。申し訳ございません。」


「はは、信じてもらえてたすかりますよ それに普通に考えればわかることですよ?公爵」

「というと?」


「私は12貴族のいくつかをつぶすために、あなたを怒らせたりしませんよ? 損得を考えたらとてもじゃありませんが釣り合いませんから」

そう言ってにこやかに笑う国王


「はい」

眼を伏せ、言葉を返す公爵


「そういえばですが、今回の働きに関してレオナルド君と約束をしてしまったのですが」


「約束でございますか?」


「はい、『めんどくさいのは嫌だから独立して小さな領地で暮らしたい そのための爵位と領地をくれ』と言われましてね、まぁ今回の働きに対する報酬としては問題ないかなと思って了承してしまったのですが、よく考えたら報酬としては問題ないのですが、彼にあげるとする問題があるなと思いまして」


「それは・・・・・・・・・・問題ですね」

まぁ仕方ない・・・では済まされない。

自分の家の長男が下位の爵位をもらって独立しようとしてるのだ。

普通に考えたらありえない行動だが、自分の子供のことを思い浮かべたら十分ありえそうなことなので洒落にならない


「どうしたらいいと思う?」


「スワンは優秀な子なので、私の後を継ぐのもまるで問題はないのですが・・・」


「まぁそうですよね 弟より遥か格下の貴族に兄がなるというのは駄目ですよね」


「そこが問題ではないのですが・・・・まぁそうですね 本人は気にしないでしょうが問題です。」


「いっそのこと本当に私の後継にしてしまうのはどうだろう?」


「あの子なら国外への脱出を考えてもおかしくない案ですね 面倒ごとが嫌いな子なので」

「優秀だから私としてはまったく問題がないのだけどね」


「まぁでも、下位貴族にするという考えは無しですね」


「ですよね 私も約束した以上どうしたらいいか困っていますよ」


「私が止めたと言ってくださって構いません あの子をあまり楽させても仕方ないですし」


「もう少し精力的でも良いのですがね?」


「まぁあれはあの子が自分で自分にかけた封印の影響ですからなんともしようがないですが、最近その封印も壊れてきてるようですし、時間の問題かもしれません」


「そろそろ解けそうなんですか?」


「最近は過去のあの子の片鱗を感じさせる優秀さがありますからね 限界が来ているのは確かです」


「わからない感覚ですね 『自分で自分の才能を封じ込める』というのは」


「レオナルドは幼少の頃から少し、いやかなり抜きん出ていましたからね 親としてはうれしい限りでしたが、優秀すぎるというのも考え物なのかもしれないですね」


「封印の影響で記憶に多少齟齬があるのも、今思えばすごいことですしね」


「あの子の頭の中はわかりませんが、上手くやってるのでしょう」


「報酬のことはまた考えておかないといけませんね 望みどおりには無理でも、渡さないのはまずいですからね」


「そうしていただけると助かります。」


「レオナルド君はもしかしたらのんびりとした未来の生活を思い浮かべているかもしれませんが、しばらくは無理そうですね」


「まぁ今回足きりをしたのも、隣国との今後の関係によって起こりうる最悪を想定してのことですし、あの子の望む未来にはならないかもしれませんが、人生とはそういうものだと教えるのも親の役目ですから」


「厳しい父親ですね」

冗談交じりに国王は言う

「子供のことを常に考えてるからこそですよ」

それに笑いながら返す公爵


当事者としては笑えないことを笑いながら話す二人

巻き込まれるだろう兄弟たち

そんな兄弟たちにさらに巻き込まれる周囲の人間


ペオグラード王国にて一つの騒動が終結

また、始まった瞬間でもあった。



終わりです。


ありがとうございました

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