表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ペオグラード王国にて  作者: 卵かけご飯
1章:三人兄弟の日常
PR
6/9

バーツの物語

警備の役目を任されたのは二年程前からだ。

初めての任務から今日まで様々な場所での警備を経験した。

今日、新たな場所への配属が決まった。

どこに配属されるかは未だ通達されていない。

転属が決まったにも関わらず、転属場所が通達されないなどおかしな話だが、転属場所は先達に案内されるとのことだ。

指示された場所で待機すること幾ばくか、声をかけられた。


「やぁ まったかい?」


声をかけてきたのは自分より少し年上といった感じの若い男だ。

警備の兵だというのにかなりの軽装備だ、というよりおそらく普段着なのだろう

防具に関しては何一つ身に着けていない

服の下に鎖帷子を着込んでいるというなら話は別だが、そういった風にもみえない。


「いえ、然程待ってはいませんが・・・・それより」

といって相手の装備に関して目で疑問をぶつける。

警備をする気があるのだろうか

そもそも隊で配給されている基本装備をすべて装着していない警備隊員などありえない


「ん? あぁ、この格好のことかい? とりあえずついておいで? ついてくればわかるから」

そういい、先達て歩き出す男


「そうそう!僕の名前だけど、ガモンって呼んでね?」




ガモンについていき、到着した場所は何てこと無い普通の建物だった。

確かに入ったことは無いが、特に目立つ建物でもない。城壁内にある建物の一つ

「入って」と促され扉から中に入る。

するとガモンはすぐ扉を閉めこちらをむき一言

「歓迎するよ 『魔女封印牢』へ」


「魔女・・・封印牢?」

中に入り、すぐさま階段を使い下っていく どうやら目的地は地下のようだ。

「あぁ 正確には、っていうか正式には魔力制御困難者保護施設?とかだっけっかな? 忘れちゃったけどそんな感じの名称だった気がするよ まぁ僕個人として魔女封印牢って呼んでいるけれど」


「ずいぶんと差のある名称だな・・・私はこんな施設の存在をはじめて認識したのだが? 警備兵に知らされていない施設などあってはならないはずなのではないのか?」


「う~ん そうだね 基本はそうなんだけど、ほら? 何事にも例外ってあるじゃない?」

そして軽い笑みを浮かべるガモン つかめないやつだと思う。


「この魔女封印牢もその例外ってやつでね? 一般には秘匿されている施設なんだ。 この施設を知っているのは国王は当然として、12貴族とそれ以外の一部情報収集が得意な貴族と、そして・・・僕や君のような極一部の選ばれた兵士だけさ」


「秘匿・・・」


「まぁ正確に言うならくさいものに蓋をしているってだけなんだけどね 」

着いたよっと言いながらガモンは地下に設置された扉を開く

言われるがままに中に入ったが、目に映る光景にしばらく声が出なかった。


「なんなんだ・・・・この場所は」

ようやく搾り出せたのはそんな当たり前の文句だった。

事前に聞いていた魔女封印牢と魔力制御困難者保護施設という名称、それにこれだけ隠されている施設ということ、何も知らないバーツではあったが、なにも予測できないほどのバカでもないつもりだった。 扉を開けるまでに想像していたのは強固な封印が施された牢獄で、魔女と呼ばれる者たちが虐げられている姿だった。

魔女・・・魔力制御を上手く行うことが出来ず、自信の魔力を暴走させ周囲に被害をもたらす存在 一般には忌避される者たちだ。

そういった者たちを捕まえ、閉じ込めておく施設だというのを想像していた・・・しかし、これはどういうことだ?


「ガモンさん お聞きしたいのだが・・・この場所はいったい?」


「おやおや? 聞いてなかったのかい? ここは魔力制御困難者保護施設 別名魔女封印牢さ!」

そうじゃない、その名称を忘れていたわけでもなんでもない。 ただ、その名称と目の前の光景が一致しないのだ。


「魔女封印牢・・・ここが?」

目の前に広がる光景

そう・・・



普通の屋敷なのだ


階段を降り、扉をくぐると屋敷があった、友人に話したら「疲れてるんだな」と心配されかねない


「封印牢・・・・牢ではないのか?」


「ん? あぁ、言った通りさ?正式名称は保護施設ってことになってるんだから、鎖につながれてる人間がいるってわけじゃないよ?」

あははと笑いながら中に入っていくガモン

するとすぐに人が出てきた。 藍色の髪をした若い女性だ。

「お帰りなさい ガモンさん」

ガモンに声をかけた後、その視線は自分に向く

「そちらの方が話に聞いていた?」

目でガモンに確認する女性

「ああそうだよセアン  今日からここの管理?警備か・・・まぁ何でもいいんだけど、担当することになったらバーツ君だ!」

「本日より配属されたバーツ・プリシュティナです。失礼だが、こちらの管理者で?」

可能性の一つをあげる


「管理者・・・というと少し違うのですが、似たようなことをしております。セアンと申します」


「それじゃバーツ君に中を案内するよ! ついてきて! たいした広さじゃないからすぐ終わると思う」


「お願いします。 ちょっとまだこの施設に関して認識がぶれているので」


「はは、まぁそりゃちょっと戸惑うよね? それはそうとして、中を案内する前に、とりあえずその重装備をはずしてくれるかな? ここの決まりなんだ」


「わかりました。」

素直に従う。 合点がいった。


「じゃぁいこうか?」

装備をはずし、剣のみ携えて後に続く

屋敷の中を歩きながら周りを見る

特におかしいところは無い 普通の屋敷だ。

「今日は君が来るからね みんなには部屋に入っていてもらってるんだ じゃぁ最初の部屋」

屋敷の中の部屋の一つに案内される。

ガモンが扉をノックする。

「ぼくだけど 入ってもいいかい?」

「えぇ? あぁ! ガモンさんですか? どうぞ!」

中から慌てた声が聞こえる。

「じゃぁ入るよ」

中に入る。

まず目に入ったのは可愛い調度品の数々

こんなものもあるのか


「やぁミュイ 体の調子はどうだい?」

「こんにちはガモンさん! 今日も元気もりもりですよ! そちらが前来たときに話してくれた新しい管理人の方ですか?」

こちらを見るミュイという少女


「そうだよ この人が新しく入った」


「バーツ・プリシュティナです」


「バーツさんですか! よろしくお願いします!」

ああよろしくと返事しながら考える。

なんだこの場所は


「じゃぁミュイ 今日は全員に顔合わせしなくちゃいけないからもう行くね? 仲良くなるのはまた今度ということで」

挨拶をしてそうそうに部屋を出る。

扉を閉め歩きながら質問する。


「ガモンさん」


「なんだい?」


「この場所はなんなのです?」


「だから魔女封印牢だよ?」


「先ほどの少女は?」


「魔女だよ?」

さも当然 何を当たり前のことを?って顔をするガモン


「あれが・・・魔女? そうは見えませんでしたが?」

どうみてもただの少女だ

魔力の波動はほとんど感じない


「そりゃ暴走してたら困るしね 対処はしてるさ」


「対処?」


「まぁ焦らすのもこの辺までにしとこうかな?」

あはは


「バーツ君はこの屋敷に大きな疑問をもってるよね? なぜこんな施設を? なぜ魔女が普通に生活してるの?ってね」


「はい」

閉じ込めておくという考えは理解できる。 それにしても先ほどの子は魔力制御のための道具すら身につけていなかった


「魔女封印牢はね、この屋敷のことなんだよ」


「この屋敷が魔女封印牢?・・・・屋敷そのものに封印術式が編みこまれてる?」


「ん~まぁ具体的に使われてる技術に関しては教えられないんだけど、その認識であってるよ まぁもっとも完璧なものじゃないんだけどね」


「というと?」


「まぁあたりまえだけど、魔女と一言にいっても暴走の度合いはそれぞれだしね、屋敷の機能だけで押さえ込める子と、そうでない子がいるんだよね さっきのミュイなんかは屋敷の機能だけで押さえ込める軽度の魔女だけど、そうじゃない子もそこそこいるんだ」


「まぁ度合いがあるとは言っても最近屋敷内で暴走した子はいないから、みんな同じようなもんなんだけどね じゃぁささっと全員に紹介しちゃうとするよ」

ガモンについていき、ひとりひとり順々に顔合わせしていく

今日は自分が来ることになっているので全員部屋に待機させているとのこと、普段は屋敷内を自由に歩き回っているらしい。

封印術は感情の急激な変化で弱まったり、解けたりするため、知らない人間に突然あって魔女たちが動揺するのを防ぐため、念のための対策だそうだ。


「じゃぁ次で最後だから」

案内されてたどり着いたのは屋敷の最奥

他の部屋とは扉の頑丈さが違う。

「まぁわかるとは思うけど、この中にいる子はちょっとレベルが違うから気をつけてね?」

まぁ平気だと思うけど・・・と言いながら扉を開く


中に入る

ヒヤッとする空気に少し身構える。

たしかにここにいる魔女は今までの子とは少しレベルが違うようだ。

なんとも殺風景な部屋だ。

広い部屋にあるのは簡素なベット一つのみ

その上に白髪の少女が寝ている。

いままで会った魔女に比べても小柄な体躯

しかし相当な力を秘めているだろう少女


「寝てるのかい?」

ガモンが声をかける

「いや、おきているよ しばし待てい」

よっ!という掛け声とともに体を起こす少女

こちらに歩いてくる少女を見てその異様さに驚く

両足それぞれに嵌められてるのは『巨人の歩み』

首には『従属の鞭』

耳から垂れ下がっているイヤリングは『制約の言霊』だろうか

そしてなにより目に付くのは上半身全体に巻きついている鎖

『魔人殺し』

資料でしか見たことの無い特A級の魔法道具を前に、自身の喉から「ごく」という音が聞こえた。

全身につけられている様々な魔法拘束具、それぞれがかなり強力なものだ・・・

しかし、あの鎖、魔人殺しに比べればそれもおまけ程度にしか見えない。


「おい、お前は誰だ?」

気づけば少女が目の前に来ていた。

こちらをまっすぐな目で見上げている。


「バーツ・プリシュティナ 新しくここに転属になった」


「そうか! 新人か!」

なにがうれしいのか少女はでかした!と言いながらガモンにタックルをかましにいく。

ガモンはニコニコしながらそれをかわした。

当然少女は上半身の自由がないので顔面から地面にダイブする形になる。

「痛いぞ」

少し涙を目の端に滲ませながら言う少女に少しだけ心が安らいだ。

自分は相当緊張していたようだ。


「ムゥだ よろしくな? 新人!」


「よろしく」

第一印象と違い、普通に話せる相手のようだ。

正直会話が成立するのかという不安があったが、心配のし過ぎだったようだ。

「よし!それじゃぁこれで挨拶回りも終わったことだし、休憩にしよう!」

ガモンが背伸びをしながら大きなあくびをする。

「ん?わしが最後なのか?」


「そうだね 君で最後だよ」


「ならここで休憩すると良い! 新人!かまわぬな?」


「かまわない」

とはいっても何も部屋に無いのにどうするのだ

と思っていたらムゥはベットの上に座った。

「なにをしている?早く来い新人」

ガモンは「じゃぁ僕はセアンさんに飲み物を頼んでくる」と言い外に出てしまった。

「じゃぁ失礼して」

ムゥの隣に座る。

なんとも不思議な気分だ。

「新人、これからよろしく頼む 暇さえあればここに来るが良い いや、むしろ来い! わしは他のやつらと違って自分の意思でこの部屋から出ることが出来ないからな 話をしよう」

「職務に差し障り無い範囲でなら」

それでかまわん!とはムゥの(げん)


「やぁお待たせ 紅茶入れてもらってきたよ」

ガモンが紅茶を盆に載せて入ってきた。

そして当然のように自分の横に座る。


「どう?やっていけそうかい?」


「問題はないです。 正直言えば状況に未だ戸惑ってはいますが・・・」


「そうかい? まぁムゥと接して平気なら、他の誰とでもやっていけるだろうね」


「どういう意味だそれは!」

ッキと顔をしかめて抗議の視線をガモンに向けるムゥ

あははと笑うガモン

「まぁ今後ともよろしくね?バーツ君!」

紅茶を一気に飲みほし、お盆を自分に預けて立ち上がるガモン

じゃぁ僕はいくからっと言って出口に向かう

それから

「あ!そうそう!ここのこと、言うまでもなく秘密だから!

それと時間がきたら帰って良いよ!

これ鍵ね?っと言い鍵を投げてくる。

ムゥと仲良くしてくれると助かる!」

言いたいことを好き放題口早に言い放つとこちらの返事を待つでもなく出て行ったガモン

扉の閉まる音が響いた後、しばしの静寂が僕らを包む。


「まぁなんというか・・・・よろしく頼む」

静寂に耐え切れなくなり言葉を紡ぐ

仲介者の重要さを思い知った。


「あぁよろしく頼むぞ新人 さしあたって頼みがあるのだが、きいてくれるか?」

こちらを見上げるムゥ

頼みか・・・と身構える


「私にできることなら」



「なに、簡単なことだよ」

自分を見上げながらいう


「紅茶を・・・・飲ませてくれないか?」


お盆の上には、ティーポットと三つのカップが載っていた。


全話大幅修正しました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ