第4話 【確率に賭けるな!可能性に賭けろ!】
音に吸い寄せられるように店へ入る。そこは決して広くはなかった。木造の店内に並ぶのは、カード台、ルーレット。
「ふーん……田舎の個人経営店みたいだな…。ちらほらとホクホク顔で積んでるやつもいるな…。ありだな☆」ぶつぶつ言いながら店内を散策。
「……。」純増の動きが止まる。視線の先。数台だけ並ぶ機械。三つのリール。レバー。見慣れた形。
「これぇぇぇぇぇっ!!」一目散に駆け寄る。
「あるじゃん!あるやん!何隠れとんねん!ワレッッッ!!」ガシッ。台へ抱きついた。「可愛い……」思わず頬ずりする。
「えっ?!レバー可愛い」なでなで。
「嘘っ!リール可愛い。」じーっと眺める。
「このチェリー可愛い。」さらに目を輝かせる。「重複するなら、もっと可愛い。」
筐体を見回す。「えっ?……まさか告知タイプ?」
顔を近づける。「ここ……光んの?」数秒の沈黙。
「……可愛い♡」純増は満面の笑みを浮かべた。
「これ打ちたい。」一歩前へ。「打ちたい!」さらに一歩。「打ちたぁぁぁい!!」
勢いよくメダル貸出機を探す。
「あれ?」財布を出す。「貸出機は?」辺りを見回す。「……ない」腕を組む。「くっ……初見殺しかよ」少し考え、ふっと笑う。
「残念!でもな……俺は大人だ。分からないことは、人に聞ける。」一番話しかけやすそうで弱そうな男性の元へ歩く。
「あのー、すみません。」「はい?」
「メダルって、どこで借りるんです?」「あぁ、カウンターですよ。」「ありがとうございます!」
純増は嬉しそうに頭を下げ、カウンターへ向かった。受付には、整った顔立ちの女性が立っていた。
「あの〜、すみません、メダル貸して貰えますか?」
「はい。銀貨一枚で五十枚になります」
「………」純増の動きが止まる。
「銀貨?」財布を開く。「千円じゃないの?」しかも中身は空だった。「……終わった…俺、換金する前に死んだんだ…」
肩を落とし、出口へ向かう。そして純増はまた財布を開いた。中を見てもやっぱり、小銭しか入っていない。
「千円じゃないのかよ……千円だとしても小銭しか入ってないが…」静かに財布を閉じる。
「あぁぁぁ!終わったぁぁぁ!!」
頭を抱え、叫び、肩を落とし、とぼとぼと出口へ向かう。
その時だった。
「おいっ!兄ちゃん!」台の方から声がした。
振り向くと、白髪交じりの初老の男が椅子から立ち上がるところだった。
「あははっ!派手に負けたんかっ?俺はもう帰るから、これやるよ!可哀想だからな!」男はメダルの入った小さな箱を純増へ差し出した。
「えっ?いいんですか?」「二十枚くらいしかねぇけどな。」笑う初老を見て純増は目を丸くする。
「あぁ、どうせ流して帰るだけだ。流したって銅貨四枚ぐらいにしかなりゃしねぇ!」男はニヤリと笑う。「すくねぇけど、楽しめ!」
純増は深々と頭を下げた。「ありがとうございます!」メダルを受け取ると、その重みを両手で確かめる。
「……やれる。ちなみにこの台は何分の一だ?……馬鹿かっ!拾った命だろ?何も考えるな…」
ゆっくりと台に座り、台に映った自分に言う。
「確率なんかに賭けるなっ!可能性に賭けろ!!」
純増はゆっくりと投入口にメダルを落とし込んだ。
続
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