第37話 【イベント告知に騙されるな】
純増はホールソードから勢いよく飛び出した。
「うわぁぁぁぁぁ!!」ドサッ。「いてて……。」
手にはコアラのマーチと特殊景品。
そして銀貨二枚に変わる。
「うんぁぁ、あれ…チェリーだったのかなぁ……。いや、でも遅れたし……うぅぅ。」未練たらたらで顔を上げる。
そして、その目に飛び込んできた光景は➖➖
「……へへ」山賊がジュリナの椅子になっていた。
別の山賊はジュリナの肩を揉み、さらに別の山賊は足を揉んでいる。
「こちら、力加減はいかがでしょうか……。」
「はい。き、気持ちいいです♡」ジュリナは満面の笑み。
山賊達は鼻血や口から血を流しながら、無理やり笑顔を作っていた。
「あっ!」ジュリナが純増に気付く。
「純増様♡ おかえりなさい!」
「ただいま……。」純増は苦笑した。
「どうでしたか?満足できましたか?」
「……ダメ。」ボソッと呟く。
「全然ダメっ!!不完全燃焼!」勢いよく立ち上がった。
「ジュリナ!新台だ!新台入った!!今すぐゴブリン狩り行こう!ゴブリン!キノコッコ!ドラゴンも行こう! 今日は徹夜でレバーオンだぁぁぁ!!」
「ふぇっ!? そ、そんなにですか?」
「うん!全然足りない!」
純増は興奮したままジュリナの方へ歩く。すると山賊達が慌てて道を空けた。
「ちょっと、ちょっと、どいて!」怖い顔の純増。
「ど、どうぞ!」「す、すみません!」「近付かないんで!」
純増はジュリナの腕をそっと引く。
「ほらほら。ジュリナから離れて。」山賊達を見る。
「あんまり、ジュリナにベタベタ触るなよ?」少し頬を膨らませた。
「俺、NTRとか無理だから……見てるだけでメダル削られる感覚だから…」
「純増様……。」ジュリナは申し訳なさそうに俯いた。
「すいません……。」そっと自分のお腹へ触れる。
そこには刻まれた“碼樽純増”の文字。
「私の体を他の男に……ベタベタと触らせてしまいました……。」
次の瞬間。スッ。剣へ手を伸ばす。
「今すぐ皆殺しにしますね☆」
「えっ?殺しちゃうの?」
「はい。そしたら純増様、まだいっぱいスロット打てますもんね♡」
「待て待て待てぇぇぇ!!」純増が慌てて止めた。
「無駄な殺生は地獄行きぃぃぃ!!」
ジュリナが首を傾げる。
「ですが……。」
「うちのおばぁちゃんに怒られるって!もう帰ってもらおう!」「……。」ジュリナは少し考え、、
「……はい。」素直に剣から手を離した。
そして山賊達へ振り返る。
「帰っていいみたいですよ♪」
「ほ、本当ですか!?」山賊達の顔が一気に明るくなる。
「あっ。」ジュリナが思い出したようにポンと手を叩く。
「一つだけ聞いても宜しいでしょうか?」
「な、何でしょう!」
「ビーハナ町へは、どう行けば宜しいのですか?」
山賊達は顔を見合わせた。
「…………。」一人がおずおずと口を開く。
「その……。ビーハナ町なら……。」気まずそうに道の反対を指差した。「反対ですぜ。」
沈黙、からの山賊達の失笑。
「…………。」ジュリナの笑顔が止まる。
「……何か…可笑しいことでもありましたか?」にこり。「い、いや!」
「山賊さん達は…」黒炎がゆらりと揺れる。
「純増様が道を間違えたと言いたいのですね……?」
「ち、違っ、、」ガシッ。「ひぃぃぃっ!!」
ジュリナに髪を掴まれた山賊が悲鳴を上げる。
「やめてぇぇぇ!!耳の後ろだけはぁぁぁ!!お願いだからそこだけはぁぁぁ!!」他の山賊達まで震え始める。
純増はその様子を見て苦笑した。
「ははは……完全に精神壊れてんじゃん。」ポツリと呟く。「おは天からのRE天井くらい精神やられてんじゃん……。」
山賊達は涙目で何度も頷いた。
「そ、その……」一人が恐る恐る手を挙げる。
「よかったら……俺達の村、来ませんか?そんな立派なもてなしは出来ませんが……雨も降りそうですし…」空を見上げる。黒い雲が少しずつ広がり始めていた。「雨風くらいは凌げやす……。」
純増も空を見上げる。
「ん〜。」「どうしますか? 純増様。」
「うん。雨も降りそうだし、お世話になろうか。雨に濡れてジュリナが風邪ひいたら困るしね〜」
「純増様…私の心配までして頂き…はい♡行きましょう!」ジュリナは嬉しそうに頷く。
その後ろで山賊達は小さく顔を見合わせた。
(親分なら……。)(親分なら何とかしてくれる……。)(俺達じゃもう無理だ……。)
誰にも聞こえないよう、小さく頷き合う。
「それじゃ……。」山賊の一人が先頭に立つ。
「村まで案内しやす。」
「は〜い。よろしく〜。」「お願いします♡」
こうして二人は山賊達の案内で山奥へ歩き始めた。
その先で待ち受けるものが、歓迎なのか、それとも、、まだ誰も知らなかった。
続
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