↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
24/68

第24話 【予告、消灯、無音、飯うま!】


 純増はゆっくりと淡々とレバー叩いた。

「……よし。」カコンッ。

 リールが軽快な音を立てて回り始める。


 五十ライフ。使い切ると席を立ち、隣へ移動する。

(ふぅ……。)また五十ライフ。何も起きない。


 さらに隣に移動する。

(これで一回でもボーナス引けりゃ儲けもんなんだけどな……。)リールを止めながら考える。

(そもそも、この機種って子役に設定差あんのか?)


 ハズレ。ベル。リプレイ。たまにレア役。

(まぁ……。千円で設定分かったら誰も苦労しねぇか。)苦笑いする。


 また移動。また五十ライフ。

(引け……。)レバーを叩く。移動する。

(引け……。)さらに移動し叩く。

(頼む……引いちまえ!!)


◇◇◇


 六台➖➖すべてのカニ歩きが終わった。

 純増は深く息を吐き、休憩ボタンを押す。

「ふぅ……。」六台を順番に見渡す。ボーナスは無し。

 しかし➖➖➖


「一番回ったのは……右から二番目か。」

 小役の落ち。回転数。どれも僅かな差。

 それでも今は、その僅かな違和感を信じるしかない。

「残り七百ライフ……。」椅子へ腰を下ろす。

「引くしかない。」レバーを叩いた。


◇◇◇


 ベル。リプレイ。レア役。小役の落ちは悪くない。

(悪くない。)液晶へ目を向ける。ジュリナが剣を振るっている。


 だが➖➖ぶよよんっ!!剣が弾かれた。

『っ……!』キノコの頭がぶよりと揺れるだけ。傷が浅い。


「くそっ……。火力が全然足りてない。」純増の表情が曇る。

 画面のジュリナが距離を取りながら呼吸を整える。

 四体。囲まれ、体当たりを躱す。まだ一体も倒せない。


「くそっ!ボーナスだ……子役引いてても勝てやしない!」レバーへ力が入る。「ボーナスだ!ボーナス引かなきゃ。」


 ガッ!レバーオンが少し強くなる。

 純増に焦りが生まれる。そして➖➖


 無演出。何気なく押した第ニ停止。

「あっ……。」レア役の取りこぼし。

「くっ……。」歯を食いしばる。

(命が掛かると……スロットって、こんなに重いのかよ。)額へ汗が流れる。


 今まで何百万回も叩いてきたレバー。

 暇潰し。 遊び。 趣味。その全部が、今日は違う。

(今まで、どれだけ気楽にレバー叩いてきたんだ……俺。)

「くそっ……!」その瞬間だった。


 ➖➖コンッ、ヴォン、、予告音。

 第一停止と同時に。フッと第一消灯。

「…………。」純増の動きが止まる。

 第二停止。フッとさらに消灯。

「…………。」第三停止を押す指が震える。

「あ、あ、……あっつぅぅぅぅぅぅい!!熱々すぎて第三停止押せねぇぞ!!」心臓が暴れる。


「これで、スイカ否定なら……。」喉が鳴る。

「ボーナス……」スパンッ!!第三停止が止まる前に純増は目を閉じた。


 ドクン…(頼む……)指先だけがボタンへ残る。

 ドクン……(これを離して……)耳を澄ます。

(何も引かず、何も鳴らなければ……。)

 一秒。二秒。

(もしスイカの払い出し音が鳴れば……絶望。)


 脳の奥から、じゅわじゅわと脳汁が溢れてくる。

 その脳汁は目から耳から鼻、口、毛穴…全てから垂れ流れてくる。熱すぎて、頭の中で脳みそが溶けていくようだった。


 ボタンから指をそっ、と離す。

 ➖➖シン。無音。ゆっくり目を開ける。リールは何も揃ってない。


「…………はは…引いた。引いたぞ…」

 口角が自然と上がる。耳まで裂けそうなくらい。

「……ジュリナ。」静かに笑った。「構えろ。」

 液晶へ向かって親指を立てる。


「ボーナス引くぞ☆」


◇◇◇


 森。ジュリナの瞳が輝く。

『はいっ!』剣を握り直す。『純増様!待ってました!』キノコを睨む。

『もう、このキノコさん……ぶよぶよして気持ち悪くて、気持ち悪くてぇぇぇ……!』少し涙目で訴える。


「あははっ!じゃあまずは一匹、気持ち良く真っ二つにしてやろう!」純増は笑った。

 一枚掛け。レバーオン。回るリール。

 タイミングを測ると視線すら向けず、手だけが動く。

 ポチッ。ポチッ。ポチッ。V図柄が一直線に揃った。

 ビックボーナス。鳴り響くボーナススタート音。

「はぁぁぁ!飯うまぁぁぁ!この音でご飯三杯はおかわりしちゃうね〜!」

 同時に、ジュリナの体に力が湧き、ホールソードが七色の光を放つ。

「はぁぁぁぁぁっ!!」一閃。

 

 ズバァァァァァァンッ!!

 

 キノコ魔獣を頭頂部から股下まで、真っ直ぐ両断した。真っ二つになった魔獣は「ギィー!ギィィィィ!!」と断末魔を上げ、バタバタと暴れる。残る敵は、あと三体だった。



            続

読んで頂きありがとうございます。気が向いたらでいいのでブックマーク、評価、感想などよろしくお願いします。毎日0時30分更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。