第2話 【天国モード】
虹色の扉を開いた碼樽純増は眩い光に目を細める。
「うわっ……!眩しっ!朝一のGoGoランプかよっ!」純増は思わず腕で目を隠した。やがて光に慣れてくると、そこにはどこまでも真っ白な世界が広がっていた。
「……おいおい。」辺りを見回す。「ここ、天国モードか?」思わず笑みがこぼれる。
「これはここで何か引けば当たる流れだろ……って…」
視線の先で、一人の女性がこちらを見つめていた。
白銀の髪、薄布のような衣をまとい、神々しいほどの美貌を持つ女性。「……誰?」
女性は小さく息を吐いた。
「碼樽純増さん。あなたは死を望みました。」
「……。」「私はその願いを叶えました。」
「……。」「そして、あなたの命は、命を望む別の誰かへ渡されました」純増は腕を組み、真剣な顔で考える。
「……え?それって……」「はい」
「等価交換?」「……」
「それとも六枚交換?」「……はぁぁぁ!?」
女神の声が真っ白な空間へ響いた。
「あなたは馬鹿なのですか!? 死んだんですよ!」
「いやいや。」純増は首を横に振る。「だって、俺、虹の扉入ったじゃん?」「……はい」
「なら次、確定でしょ?」「何がですか!」
「人生?」「そんな抽選は人生にはありません!」女神は頭を抱えた。
「つまり、あなたは自分が死んだことを認めないのですね?」「はい!」即答だった。
「……認めない以上、あなたに死を理解させるのは難しそうですね」女神は深いため息をつく。
「仕方ありません」パチン、と指を鳴らした。何本もの剣が現れる。
「あなたは元の世界には戻れません。それでも生きたいと言うなら異世界へ行っていただきます」
純増の目が輝く。「そこ、スロットある?出来たら激烈射倖心煽るやつがいいんだけど…」「知りません!」即答だった。
「はぁぁ、そんなにスロットがしたいなら、この剣を授けます。」女神は剣を差し出す。
「これの名は➖➖➖ホールソード」剣身が淡く虹色に輝く。「この剣の中にはVRのような空間が存在します」「ほう!生意気な色してんな…」「うるさいっ!そこには毎回違うスロット台が現れます。」
純増の喉が、ごくりと鳴る。
「当たりを引けば、剣へ様々な力が宿ります。」
「例えば?」「攻撃力上昇。属性付与。防御強化。回復。必殺技の解放。」一拍置き、女神は続けた。
「もちろん、呪いもあります。暴走もあります。効果は様々」「なるほど…」「すべては、あなたの”ヒキ”次第です」
純増は無言で女神へ歩み寄った。
一歩、二歩、三歩。「その剣……脳汁出る?」
「え?」「やばいの引いたら変な声出る?
「……」「ボーナス引いたらタバコうまい?」
「……」「コーヒーもうまい?」
女神は顔を真っ赤にした。「近いっ! 気持ち悪いっ!」勢いよく純増を蹴り飛ばす。
「早く異世界へ行けぇぇぇぇ!!」「うわぁぁぁぁぁっ!!」純増の身体は光の彼方へ吸い込まれていった。吸い込まれていく純増を見て女神がぽつり。
「あ……剣の使い方教えるの忘れた…」
◇◇◇
「いててて……」背中に激痛が走る。
ゆっくりと身体を起こすと、そこには見たこともない大地が広がっていた。➖➖➖これが、異世界。
そして、碼樽純増の脳汁まみれの冒険が、本当の意味で始まった。
続
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