第24話 暴かれた弱みと、幼なじみのエール
「湊〜、ちょっといい?」
放課後、湊が教室を出ようとしたところで、玲奈が声をかけてきた。
「なんだ?」
「ねえ、これ見て〜」
玲奈はスマホの画面を見せた。そこには幼稚園時代の写真が映っていた。小さな湊が泣きながら鼻水を垂らしている姿。
「!?」
湊は驚愕の表情を見せた。
「お前、それどこで……!」
「お母さんが探してくれたの。ほら、湊って子供の頃、めっちゃ泣き虫だったんだよね〜」
「……」
「朝倉さんにも見せようかな〜」
「やめろ」
「なんで? 可愛いからいいじゃん」
「あっ、朝倉さん! こっち来て〜!」
玲奈が教室の向こうにいるひなたを呼んだ。湊は慌ててスマホを奪おうとしたが、玲奈が身をかわす。
「どうしたの?」
ひなたが近づいてきた。
「なにもないよ。玲奈が変なこと言おうとしてただけだから」
湊は冷静を装ったが、彼の耳が赤くなっているのは、ひなたの目を逃れなかった。
「もう〜、つまんないの〜。湊の子供の頃の写真見せようと思ったのに〜」
「写真?」
ひなたの目が好奇心で輝いた。
「見せないから」
「子供の頃の湊くん……見てみたいな」
ひなたが少し残念そうに言う。
「……」
湊は複雑な表情をした。
「また今度見せてあげる〜。湊がすっごい泣き虫で、よく私の後ろに隠れてたんだよ〜」
「そうなの?」
「嘘だ」
湊は即座に否定した。
「嘘じゃないよ〜。あと、お化け屋敷怖がりで、肝試しでも一人で行けなくて……」
「もういい!」
湊は珍しく声を上げた。顔は明らかに赤くなっていた。
ひなたは初めて見る湊の表情に、少し驚いたような、でも嬉しそうな表情を浮かべた。
「湊くんも……そんな一面があったんだね。可愛いな……」
ひなたがポツリと言った。
「え?」
「あ、いや……なんでもない! 私、委員会があるから……!」
そう言って、ひなたは急いで教室を出て行った。
ひなたが去ったあと、玲奈は再びスマホを取り出した。
「消せよ……」
湊はため息をついた。
「いいじゃん、別に〜。でも、朝倉さんの反応、可愛かったでしょ?」
「……」
「湊ってさ、いつも人の嘘を見抜いたりして、冷静ぶってるけど……たまには弱みも見せた方がいいよ。特に好きな人には」
「……なんでわかるんだよ」
「だって幼馴染だもん。あと、湊が朝倉さんを見る目が、昔のお母さんをすごく好きだった頃のお父さんの目に似てるの」
湊は言葉を失った。
「まあ、頑張れってことよ。あ、でも朝倉さんに弱みを握られすぎないようにね〜。この写真、まだいっぱいあるから〜」
「……マジで消せ」
玲奈はくすくす笑いながら教室を後にした。
湊はため息をつきながらも、微笑んでいた。ひなたの「可愛い」という言葉が、湊の心に残っていた。
(俺の弱々しい姿を見ても、そんな風に思ってくれるなんて……)




