第23話 初めての部屋と、本当の告白
テスト週間が近づき、湊とひなたは一緒に勉強することが増えた。
図書館では周りの目が気になるため、湊は自分の家にひなたを招待することにした。
「緊張する……」
ひなたが小さな声で言った。
「なんで?」
「だって……初めて湊くんの家に行くんだよ?」
湊の家は、普通の一軒家だった。
「ただいま。誰もいないよ。両親は仕事で遅いし、妹は部活だから」
湊は彼女を自分の部屋に案内した。
部屋は意外にきれいに整頓されており、本棚には整然と本が並んでいた。
「綺麗な部屋……」
「そう? ひなたが来るってわかってたから、少し片付けたんだ」
二人はテーブルを囲んで座り、勉強を始めた。
しかし、時間が経つにつれて、二人の距離は徐々に近づいていった。
肩が触れ、時々手が触れ合う。
湊が説明しようとして顔を上げると、ひなたと目が合った。近すぎる距離に、二人の呼吸が少し乱れる。
「あの……ちょっと……休憩しない?」
「そうだな……」
二人は教科書を閉じ、少し離れて座った。
「あの……なんでまだ……言わないの?」
彼女の質問は意外だった。
「え? 何を?」
「私のこと……好きって。まだ、ちゃんと言ってくれてない……」
湊は思い返した。確かに、彼はひなたに「好き」と明確に言ったことはなかった。
「そっか……」
湊はひなたの方を向いて真剣な表情で言った。
「俺は……お前のことが好きだ。最初はゲーム感覚だったかもしれないけど……今は心から好きだ」
ひなたの目から、小さな涙がこぼれた。
「……嬉しい」
「泣くなよ……」
「だって……私も……湊くんのことが……」
その瞬間、玄関のドアが開く音がした。
「あっ!」
「お兄ちゃ〜ん! ただいま〜!」
妹の莉子が帰ってきたようだった。すぐに部屋のドアがノックされる。
「お兄ちゃん? いる?」
ドアが開き、中学生くらいの女の子が顔を出した。
「あっ! お兄ちゃんの彼女さん?」
「ち、違うよ! クラスメイトだ」
「こんにちは! お兄ちゃんの彼女さん!」
莉子は意地悪く笑った。
「だから違うって!」
「はいはい、じゃあクラスメイトさん!」
莉子はくすくす笑いながら、部屋から出ていった。ドアが閉まると、ひなたがつぶやいた。
「クラスメイト?」
「ごめん……」
「いいよ……可愛い妹さんだね」
「……さっきの続き」
ひなたが突然言い出した。
「え?」
「私も……湊くんのことが……好き」
ひなたは小さな声で言った。その言葉に、湊の胸が熱くなった。
「もう一度言って」
「え?」
「もう一度、聞かせてくれ」
ひなたは顔を真っ赤にしながらも、少し勇気を出して言った。
「好き……湊くんのことが好き」
湊はそっとひなたを抱きしめた。
「ありがとう……俺も好きだよ」
そのとき、突然部屋のドアが開いた。
「お兄ちゃん、お菓子ちょうだ……あっ!」
莉子は二人が抱き合っているのを見て、目を丸くした。
「もう! ノックしろよ!」
「やっぱり彼女じゃん!」
「こら~!」
「は〜い、邪魔しました〜」
莉子はにやにやしながら、再びドアを閉めた。
二人は顔を見合わせ、思わず笑ってしまった。
「もう……恥ずかしい……」
「ごめんな……」
「でも……嬉しい……湊くんの家族を、少し知れて……」
「……これで『告白するまで俺の勝ち』のゲーム、俺の勝ちだな」
湊が意地悪く笑うと、ひなたは頬を膨らませた。
「もう! でも……うん、湊くんの勝ち……」
「いや……二人の勝ちだよ」
「うん……二人の勝ち」
その日から、二人の関係はさらに深まっていった。




