第21話 二人だけの特別な夜と、光の中の約束
帰りのバスでは、疲れから眠りについた生徒会メンバーも多かった。湊とひなたも並んで座り、静かに外の景色を見ていた。
「疲れた?」
「少し……でも楽しかった。湊くんは?」
「来て良かったよ」
湊は正直に答えた。
「子供たちと接するの、上手だったね」
「いや、全然……むしろ、俺の能力が通用しなくて、戸惑ったよ」
「能力?」
「ああ……人の嘘を見抜く力だ。子供たちは嘘と本音の境界があいまいで、読み取るのが難しかった。でも、それが……新鮮だった」
「湊くんの能力って私の嘘も全部見抜いてるの?」
「ほとんどは」湊はくすりと笑った。「でも、最近は……時々分からないこともある。ひなたを好きという気持ちが強いと……俺の能力も曇るみたいだな」
湊の告白に、ひなたの顔が真っ赤になった。
「も、もう恥ずかしい……」
しかし、彼女の目には喜びの色が浮かんでいた。
バスが到着し、皆で解散した後、ようやく二人だけの時間が訪れた。
「これから……どうする?」
「近くでライトアップやってるから、見に行こう!」
夏の夜、二人は肩を寄せ合いながら、光の海へと歩き出した。
港の近くにあるレトロな倉庫街は、色とりどりの光で彩られていた。
「きれい……」
広場に設置された巨大なオブジェを見上げて、ひなたが感嘆の声を上げた。
「ああ」
湊も同意した。しかし、彼の視線はライトアップされた街並みよりも、光に照らされたひなたの横顔に向けられていた。
「あ、そうだ! 一緒に写真を撮ろう!」
二人はプリクラ機を探し、いくつかの写真を撮った。湊も珍しく笑顔を見せ、ひなたは幸せそうに彼にしがみついていた。
「ひなたにプレゼントがあるんだ」
湊が言うと、ひなたは驚いた様子になった。
「え?」
湊は小さな写真立てを取り出した。
「これに今の写真を入れようと思って……」
「湊くん……ありがとう……家に飾るね」
ひなたは写真立てに湊と一緒の写真をセットした。木製のシンプルな写真立ての中に、笑顔の二人の姿が収まった。
ライトアップされた光のトンネルの下、二人は静かにキスを交わした。
念願の写真も手に入れ、この特別な日の記憶は二人の心に深く刻まれた。
「これからもよろしくね」
ひなたが小さく囁いた。
「ああ、こちらこそ」
湊も優しく返した。
最初の予定とは違ったデートになったが、ボランティアでの経験も含め、それは二人にとって忘れられない一日となった。




