第43話 五人組
ギルドに男女五人組が向かって歩いている。周囲の人々はその五人組を見て、ざわざわし始めた。
「ようやく着いたな。お前ら入るぞー。」
「どんな方なのか楽しみですね。」
「とりあえずビール飲みてぇな。」
「おい飲みに来たわけじゃねーよデブ。」
「ちょっと喧嘩になるようなこと言わないでくださいよ。これから挨拶するというのに。」
五人組がギルドへ入る。ギルドの中にいた人たちは五人組を見て驚きの声を上げる。
「ん?なんか騒がしいけど…、もしかしてあいつらがナミアの仲間か?」
「そうですね。皆さーん、こっちです。」
ナミアが五人組に向かって手を振る。五人組はナミアに気付きこちらに向かって歩いてくる。
「おーいたいた、ナミア色々ありがとな。」
「いえいえどういたしまして。というか五人で来たんですか、てっきり団長と副団長しか来ないと思ってました。」
「あぁ、元々はそのつもりだったんだけどな。こいつらも挨拶したいとか言ってきかないから連れてきた。」
「そうでしたか。まぁ立ち話もあれですし、座ってください。」
背中に二本の剣を刺し、短い髪を逆立てたいかにも熱血タイプという見た目の男と、それとは対照的に手にグローブはめ、横の髪を刈り上げた落ち着いた雰囲気の男が席に座る。他の三人は後ろで立っていた。
「初めまして、クラン『希望の灯』の団長のテルゼ・アステルと言います。」
「副団長のリフカ・コーライと言います。以後お見知りおきを。」
「俺はゴルト・ライアンだ。」
後ろに立っている大柄で前と頭頂部が禿げている、斧を背負った男が挨拶をしてきた。
「失礼な奴ですいませんね。私はネル・センライです、よろしく。」
次に先ほどの男の隣にいる背が高く、帽子をかぶり大きな鎌を背負った男が挨拶をしてきた。
「あ、私はメレア・ユシキです。よ、よろしくお願いします。」
最後にナミアと同じぐらい背丈でブロンドヘアーの髪を肩まで伸ばした、杖を持った女子が挨拶をしてきた。
「初めましてギアト・マーシャルです。普段は五人で行動されている感じですか?」
「いや、ランクの高いクエストに行くときとかにしか集まりませんね。てか、敬語じゃなくていいですか?敬語苦手だし、24歳ですよね?俺も同じなんで。」
「テルゼさん同い年なんですか。あ、別に敬語じゃなくていいですよ。俺も堅苦しいのは苦手なんで。」
「おー、良かった。敬語とか一々めんどくさいからなー。」
「自分も同い年ですが私は敬語のままにします。もっと親しくなってからじゃないと気持ち悪いので。」
リフカがテルゼのほうを見ていった。
「あ、なんだよ。」
「もっと礼儀正しくしろよ、と思っただけだよ。」
「はぁ?さっきギアトが敬語じゃなくていいって言っただろうが。」
「始まったよ…。」
ネルが髭を触りながら困った様子で言った。
「それはギアトさんがお前に合わせてくれただけだから。そんなこともわからないのか?」
「お前のほうこそ礼儀がなってないんじゃないか?一々人に説教してきやがって。ランキングも2位で俺より下のくせによぉ!」
「ちょっとテルゼさん、リフカさんギアトさんの前ですよ!喧嘩は後にしてください!」
メレアが一触即発の二人の仲裁に入る。
「おいナミア、あの二人はいつもこんな感じなのか?」
ギアトがナミアに耳打ちする。
「えっと、まぁそうですね…。昔から事あるごとに喧嘩してるんですよ。」
「そうなのか…。でも喧嘩するほどっていうからな。」
「そうだといいですけど。」
そんなことを話しているといったん落ち着いたテルゼとリフカがギアトに謝ってきた。
「すまん、ちょっと熱くなっちまった。」
「もう少し丁寧な言葉遣いにしなさいって。すみません、お見苦しいところを見せてしまって。」
「お気になさらず、って言いたいところだけどちょっと気を付けてほしいかな。」
そういって周囲を見渡す。周りの冒険者やギルド職員がこっちの様子を見ていた。
「今後気を付けます。」
「それにしてもこの男が国の秘密兵器ねぇ。見たことないがどんぐらいの実力なんだろうな?」
「秘密兵器?」
ゴルトの『秘密兵器』という言葉がどいうことなのかギアトはわからなかった。その時リフカがギアトにこっそりと教えてきた。
「ギアトさんのことはスドウコウヤを倒すために王国が用意した秘密兵器と三人には説明したんです。」
「そういうことでしたか。」
「なぁ、あんたどんくらい強いんだ?もしよかったら俺と勝負してくれないか?」
「おい、いきなり失礼だろ。すみませんゴルトは血の気が多いもので。」
「でも確かに気になりはするんだよな。俺らを差し置いてスドウコウヤの討伐を任された謎の人物であるギアトさんの実力がね。」
ネルはギアトの全身をなめるように見まわしながら言う。
「もしかしてゴルトさんとネルさんはギアトさんと戦うことが目的で来たんですか?」
「いやいや、ちょっと気になってるだけだよナミアちゃん。」
「ちゃん付けはやめてくださいネルさん。」
「別に戦ってもいいですよ自分もあなた達の強さがどんな感じなのか気になっているので。」
ゴルトとネルはその言葉を聞いてニヤッとした。
「よし、それじゃ決まりな!早速この後ってのはどうだ?」
「いいですよ、今日は予定は開けておいたので。」
「話が早くて助かるよ。団長と副団長はどうする?俺とゴルトとメレアはギアトさんと勝負しに行くけど。」
「おいおい、メレアも行くのかよ…。ッたくやっぱおかしいと思ったんだよ、挨拶だけなのにどうして一緒に行きたいなんて言ったのかってさ。最初からこれが目的だったんだな。」
テルゼが呆れた表情で三人を見つめる。
「ナミアと行動を共にする人の実力はちゃんと知っておきたいと思ってたんです。」
「やれやれ、普段は頼もしい味方ですけど少し自分勝手なのが傷ですね。ギアトさん、ご迷惑でしょうがお付き合いの程よろしくお願いします。」
「迷惑だなんて思ってないので大丈夫ですよ。逆にちょっと楽しみです。」
「ほんとに大丈夫ですか?あまり目立つことはしないほうがいいんじゃ。」
「人が来ないようなところでやればいいだけだし、ここで断ってもまた勝負をお願いしに来るかもしれないから、ここで引き受けちゃったほうがいいんだよ。」
「ギアトさん、場所はどうします?」
「なるべく人が来ないところがいいのでモーリズム大森林なんかどうですか?」
「俺は構わねぇぜ。それにしてもそこを選ぶとは腕に自信が相当あると伺えるね。」
「そこでいいんじゃないか?魔物の邪魔が入ったとしても問題にならないだろう。」
「私も異論ないです。」
「決まりですね。」
こうしてギアトとナミア、そしてテルゼ達はモーリズム大森林へと向かった。
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