第38話 ケルベロス
集約され見たこともないほどの威力になった暴風へ突っ込んでいく。
「超硬質!」
全身にエネルギーを巡らせ硬質化するが、次々体を切り刻まれて行く。
「真正面から来るとは打つ手なしと悟ったか?」
コウヤは勝利を確信した時、暴風の中から傷だらけのギアトが飛び出てきた。
「な?!」
コウヤは完全に油断しており、何もできなかった。ギアトはコウヤを全力で斬っていく。張っていた結界がギアトの剣技によって破壊される。
(いける!)
「ケルベロス!こいつを殺せ!」
コウヤの掛け声とともに地中から勢いよくケルベロスがでて、ギアトめがけて飛び掛かってくる。三つの頭を持つその魔物は恐ろしい見た目から昔から冒険者たちは恐れてきた。ランクも8と非常に強力な魔物であった。
「忍ばせてやがったのか。」
「ここらへんでおさらばだギアト。せいぜい殺されないように頑張れよ!」
そう言い残しコウヤはギアトから逃げていく。追いかけようとしたがケルベロスがそれを許さない。
「クソッ、こいつも強化済みか。」
力、速さともに通常のケルベロスよりも進化していた。ケルベロスは三つの口から炎のブレスを一斉に吐く。ギアトは横へ移動しブレスを回避しながらケルベロスに向かい、剣を振るうがかわされてしまう。さっきの戦闘で体中に傷を負ってしまったため、思い通りに体が動かない。今のギアトにとって強化されたケルベロスは手に余るものだった。
「また一か八かの作戦を仕掛けるしかないか。」
ギアトは左腕にエネルギーを集中させる。そしてケルベロスに正面から突っ込んでいく。ケルベロスもギアトに向かって走ってくる。ケルベロスは口を大きく開けギアトを噛み千切ろうとし、ギアトもまた自ら左腕をわざと噛ませる。ケルベロスは腕を噛み切れず混乱し隙ができた。
「よかった、噛み千切られないかとひやひやした。」
ギアトは隙を見逃さずケルベロスの頭を斬り落とす。
「完全に見失ったな。だが今回でスドウコウヤの力と魔物を操っていたことは分かった、それだけでも良しとするか。」
ギアトは自分の体を気遣いながら王国へと帰っていく。
一方そのころコウヤは森の中で一人先ほどの戦闘を思い返していた。体には何か所か傷を負っていたがすべてかすり傷程度で済んでいたため治癒で簡単に傷を治す。しかし、コウヤは傷をつけられたこと自体に怒りがわいていた。
「ギアト・マーシャル、あいつの力を見るにケルベロスごときでは死なないだろう。次会ったときは必ず俺がこの手で殺してやる。」
憎しみのこもった声で言う。だが今回の戦闘で懸念点が出たことも事実であった。
「さすがに最上級魔法を連発すると魔力の消耗が激しいな。」
絶大な魔力を持っていても最上級魔法はとてつもない魔力を消費するため、むやみやたらに使うことはできなさそうであった。
「少し鍛えたほうがいいかもな、やつを確実に仕留めるためには。後はあいつと魔物の軍団をどう構築していくかだ。理想の世界を実現するためには強化した魔物の軍団が必要不可欠だ。」
コウヤは一人で思案しながら森の奥へと消えていった。
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