第37話 最強VS最凶
慌てて周囲を見渡すと上空に人影が見えた。ギアトは目を細めて人影を見つめる。その人物は男で全身を黒のローブで身にまとい、首にはネックレスのようなものをかけていた。
「お前は誰だ?」
最大級に警戒しながら男に聞く。男はゆっくりと地面に降り、ギアトとサラマのほうへ近づいていく。
「おいおいこの失態は何だサラマ。」
「はぁ…はぁ…も、申し訳、ございませんスドウコウヤ様。」
サラマの発言を聞いた瞬間ギアトは少し後ろへ下がる。
「お前がスドウコウヤか!」
「お前はギアト・マーシャルだな。サラマから話はされていた。なんでも新米冒険者ながらいろいろ活躍していると。そして今回お前はサラマを倒した、本当の実力を隠しているだろう?王国が俺を倒すため用意した秘密兵器といったところか。」
中々鋭い考察だった。コウヤは不敵にほほ笑むとギアトを指さす。
「一体どれほどの強さなのか見せてもらおうか。」
「お気を、つけください。やつは、強い。」
「そうか、忠告ありがとう。お前はもういらん。」
そういうと持っていたナイフでサラマの胸を突き刺した。サラマの絶叫があたりに響き渡る。少ししてサラマは動かなくなった。
「無能な駒を持つと大変だな。」
「お前何をしたのか分かっているのか?」
「無能な駒を処分した、それだけだが?」
ギアトはこぶしを握り締める。その手は怒りで震えていた。
「人を何だと思ってやがる。あいつは取り返しのつかないことをしたが、それはお前がたぶらかして動かしていたからだろ!多くの人の人生を奪っていながら何も感じないのか!」
「俺の理想の世界を実現するためだ。多少の犠牲はやむを得ない。」
「話しても無駄なようだな。ここでお前を殺す。覚悟しろ。」
ギアトはすぐさまコウヤの懐に入り、コウヤの胸めがけて剣を突き立てる。しかし剣は結界に阻まれた。ギアトいったん下がり、再び攻撃を仕掛ける。
「素晴らしい速さだ。これはなかなか期待できる。」
コウヤは空中へ飛ぶ。ギアトもそれに合わせ空中へ思いっきり飛び、コウヤに剣を振りかざす。しかしまたも結界によってギアトの攻撃は防がれてしまった。
(事前に防御魔法を唱えていたのか。)
「次はこちらから行くぞ。炎神」
火属性最上級魔法を唱える。突如としてあたり一面が炎に包まれる。コウヤはその炎を操りギアトに炎を浴びせる。ギアトは超高速で一回転し、斬撃であたりの炎を消し飛ばした。だが、コウヤはまた炎を操る。見る見るうちに炎が龍の形になっていく。
「どうなってやがる、最上級魔法を唱えるには魔力を集中させる杖が必要不可欠なはずだ。なのにあいつは…」
驚いている暇もなく炎の龍がギアトに襲い掛かる。剣を振りかざし炎の龍を一刀両断する。真っ二つになったがすぐに元の形に戻ってしまった。
「剣技『水鏡』」
向かってくる龍を斬り刻んでいくと、炎が消し飛んだ。
「これほどの力とは。侮れないようだな。」
「確実にお前をしとめる。高火力!」
コウヤめがけて走り出す。
「震地惨禍」
地面が割れギアト周辺の地面が割れ、ギアトは態勢を崩すがそのまま無理やり飛んでコウヤへ迫る。そこに割れた地面が大きな塊として襲い掛かってきた。ギアトは冷静にかわしながらコウヤへ一気に詰め、斬る。
「闇の深淵」
コウヤの周りの空間が歪み、ギアトの攻撃が全て空振りに終わってしまう。
「クッ…最上級闇魔法か。」
ギアトは何もできずコウヤから離れる。コウヤは勝ち誇ったかのような顔でギアトを見つめる。
「どうだ思い知っただろう?やはり俺の力は素晴らしい。王国の秘密兵器がこの程度なら世界を支配するのもそう遠くはないな。」
「………。」
「何も言い返せないか。それではそろそろ終わらせるとするか。」
コウヤは両手を前にだし、魔法を唱える。
「神風全砲」
暴風が吹き荒れはじめ、その風が集約されギアトに向かう。ギアトは覚悟を決め、真正面からコウヤへ向かっていった。
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