第36話 サラマの力
少し距離を開けてお互いが対峙する。
「ギアトさんあなたやっぱり普通の冒険者じゃないですね。本当の正体が気になりますねぇ。」
「つべこべ言わずにかかって来いよ。」
鞘から剣を抜きサラマに向ける。
「怖いなぁ、そんなことされたら怯えちゃいますよ。」
「ふざけた態度とるのもいい加減にしろ!お前があの襲撃を手助けしたんだろ!この襲撃の黒幕はスドウコウヤ、そうだろ?!」
「軽々しく呼び捨てにするな!」
スドウコウヤの名前を出した瞬間サラマの雰囲気が一変した。
「お前みたいなやつがあの方を呼び捨てにするなど言語道断、あの方は俺を救ってくれた恩人だぞ!」
「どういうことだ?」
「俺は小さいころから非効率で不器用で何をしても失敗ばかりだった。周りからは疎まれたり馬鹿にされたり…。大きくなってからも周りからの評価は散々だった。あげくあのクズどものパーティで嫌がらせの毎日そんな時にあの方、スドウコウヤ様が声をかけてくださった。」
「どこで声をかけられた?」
「あのパーティでクエストに行った時だ。魔物に囲まれて一人置き去りにされたよ。そこにスドウコウヤ様が現れて助けてくださったんだ。そして力のない俺に力を与えて下った、俺にとっては神のような存在なんだ!」
スドウコウヤを語っているときのサラマの目はとても狂いながも輝いていた。
「なぜそんなパーティに残ったんだ?」
「復讐するためさ。さんざん俺を辱めてきた罰を与えてやる!そのために俺は今の今まで我慢してあのパーティにいたんだ。そのあとはこの世界だ。スドウコウヤ様はこの腐った世界をぶち壊そうとしてくれている、だから俺はスドウコウヤ様にすべてを捧げる。スドウコウヤ様の野望を俺が手助けするんだ!」
「…クズ野郎が。」
「何?」
サラマの眉毛がピクリと動く。ギアトはサラマを睨みながら言葉を発していく。
「自分の不甲斐なさを棚に上げて自分を認めてくれない世界が悪いと責任転嫁か?確かにあのパーティには問題があった。だがなそれで世界を、人類を裏切っていい理由にはならねぇよ!」
「お前には俺の気持ちなんてわからないさ!」
「分かりたくもないね、自分の歪んだ考えで多くの人を殺したお前の気持ちなんてな!」
「ああああぁうるせぇ!!!二度と喋れないようにしてやっから覚悟しとけ、このスドウコウヤ様からもらった力でな!」
刹那、サラマは地面を思いっきり踏み込みギアトの目の前まで迫り剣を振りかざす。ギアトも剣で受け止め、後ろへはじき返す。
「業火円!」
ギアトの周りに激しい火が発生する。その火は徐々にギアトに迫ってくる。
「脚力強化」
ギアトはその場から飛び、火から遠ざかる。
(さっきのは上位魔法…どのくらい強化されてるんだ?)
「まだまだぁ!巨氷柱!」
突如としてギアトの頭上に十メートルはあろうかという巨大な氷が現れ、ギアトに向かって飛んでくる。ギアトはそれを難なくかわす。
「ちょこまかと動きやがって。業暴風」
ギアトの周りで風が吹き荒れる。
「剣技『水鏡』」
周りの空間を切り裂き、風を止める。
「想像以上だ…」
サラマがそう言った瞬間目の前にギアトが現れた。
「な?!」
防御態勢をとろうとしたがその前にギアトがサラマの腕と足を斬りつけた。
「ガハッ!」
サラマは吐血しながら後ろに倒れこむ。
「安心しろ死なない程度にはしてやった。お前はこれから城へ連れていく。スドウコウヤとのこと洗いざらいはいてもらうぞ。」
「き…さ……ま……」
(上位魔法を三連発撃ってもまだ体力に余裕がありそうだった。冒険者の中でも上位の実力はありそうだったな。)
「ここにいても仕方ないからもう連れていくからな。妙なことするなよ。」
サラマを背負おうとしたとき、強力なエネルギーを感じ取り背中に悪寒が走った。
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