第32話 マリルとの約束
改めてマリルを探し始めた。十分ほどして教会の中庭で腰掛けているマリルと女の子を見つけた。
「お〜い、やっと見つけた。」
「あ、ギアト!それとナミアさん、無事で良かった。」
マリルは立ち上がってギアト達を迎える。
「そっちも無事でよかったよ。」
「魔物はもう倒したの?」
「あぁ、魔物は全部倒したから安心してくれ。」
「すごいじゃん!流石元英雄さんは違うね。」
「おいあまりそのことは口にするな。」
「あ、ごめん。」
マリルは少し頭を下げた。
「お兄ちゃん魔物全部倒しちゃったの?!お兄ちゃんってすごいんだね!」
女の子が会話に割って入ってきた。ギアトは屈んで女の子と目線を合わせる。
「ありがとう。でも僕だけじゃなくてこっちのお姉ちゃんも頑張ってくれたんだよ。」
そう言いナミアの方を向く。
「え?!ま、まぁそうですね。お姉ちゃんのおかげっていってもいいくらいだよ〜。」
少し照れながら笑顔で対応した。
「そうだ。君の名前まだ聞いてなかったね。あ、僕はギアト・マーシャルっていうんだ。こっちのお姉ちゃんはナミア・ミズゼルって名前なんだ。」
「えっと、私はリーべ・サンクスって言います。よろしくお願いします。」
「よろしくね。」
名前を聞いた後、ギアトは立ち上がって再びマリルと話す。
「マリルは今後のことその、どうしようって思ってるんだ?」
「とりあえずリーベちゃんのお父さんが見つかるまで一緒にいようと思ってる。お父さんもお母さんもいない状態でほっとけないから。」
「そうか。住むところは大丈夫なのか?」
「教会の人たちが空き家を紹介してくれるらしいからそこに住もうかなって。」
マリルもお父さんを亡くしたばかりであったが、今の姿からはそんなことは微塵も感じないほど逞しかった。
「お金とかは大丈夫なのか?住むにしてもタダじゃないだろ?それに今後の生活でも必要だと思うし。」
「心配性だねギアトは。とは言ってもお金は貸してほしいかな。家にあった貯えはもうないと思うし…。」
「貸してとかそんな水臭いこと言うなよ。今までマリルにも世話になったんだから、お金はあげるよ。」
「え、でも…。」
「遠慮すんなって。とりあえず五十万ルピあげるよ。これで半年ぐらいは持つかな?」
「そんなに?!本当にいいの?」
「あぁ、それと他にも困ったことがあったら言ってくれよ。」
そう言った瞬間マリルは感極まって泣き出した。
「ありがとう。ほんとに…ありがとう。」
「マリルさん大丈夫?」
リーベが心配そうにマリルを見つめる。
(まだ小さいのに気遣いのできる子だな。)
ギアトはそう思った。マリルは涙を拭いリーベに笑顔を見せる。
「ごめんね、もう大丈夫だよ。」
「そう?なら良かった。」
すでに二人には信頼関係ができているようだった。
「もう大丈夫そうだな。お金は明日持ってくるから。まだ明日も教会にいるのか?」
「うん。明後日ぐらいから紹介してくれるらしいから。」
「よし、それじゃ明日教会で会おう。」
「またどこかに行くの?」
「城まで戻るよ。今回の結果を報告したいから。」
「そっか。そうだよね。」
「また明日な。ナミア、城まで戻るぞ。」
「分かりました。」
「あ、ごめんギアトちょっといい?」
マリルが唐突に呼び止めた。
「どうした?」
「あのさ、こんな時に言うのもあれだと思うんだけど…少し前にきれいなお花がたくさん植えられた庭園ができたの。それで…一緒に行ってくれないかなって。」
「え?それって…」
「あ、変な意味はないよ?!前に店にギアトが来た時あったじゃない?あの時に本当は誘おうと思ったんだけどタイミング掴めなくて。あ、リーベちゃんと三人でね。」
話を聞いていたナミアがマリルに気付かれないように腕でツンツンとしてきた。顔も少しほくそ笑んでいるように見えた。
(ナミアのやつからかいやがって…)
「そうだったのか。ま、まぁ別に断る理由もないし大丈夫だよ。」
「ありがとう!リーベちゃんにも見せてあげたかったの。綺麗なお花を見れば心が安らぐと思うし。」
「そうだな。」
ギアトとマリルは再来週に行く約束をした。
「よかったですね〜ギアトさん。」
「何がだよ?」
マリルと別れた後ナミアが先程のことを茶化してきた。
「とぼけなくてもいいんですよ。マリルさんに誘われた時ギアトさんすっごい動揺してましたよね?」
「してない。」
「本当ですか〜?心なしか嬉しそうにも見えましたよ?」
「くだらないこと言ってないでさっさと城まで行くぞ。」
無理矢理話題を終わらせて城へと向かった。
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