第27話 戦いの幕開け
マリルを真ん中にし、三人で並走しながら教会へ向かう。辺りから悲鳴や大きな音が聞こえてくる。周りの人達は無我夢中で逃げ惑っていた。
(早く避難させて魔物のとこに向かわねぇと。)
そんなことを考えている時マリルが何かに気づき、二人を止める。
「ちょ、ちょっと待って。」
「どうした?」
「あそこにいる子…もしかしてあの子迷子になってるかも。あの子も連れて行こうよ!」
マリルが言う方向を見ると六、七歳ほどに見える女の子が一人で泣いているのが見えた。
「心配ですね。一緒に連れていきましょう。」
「ありがとうナミアさん。」
そう言うとマリルは女の子の方に向かう。少し後にギアトとナミアが続く。
「大丈夫?お父さんとお母さんはどこかな?」
優しい口調でマリルは女の子に話しかける。
「うぅ…ママ死んじゃった。うっパパは分かんない…お仕事に行ってるから。パパ、ママァうぅ…」
「そうなの…ツラいね。あのね、ここは危ないからお姉ちゃん達について来てくれる?」
「お姉ちゃん達誰なの?」
「後でいっぱい話してあげるからとりあえず一緒に逃げよ?」
「……うん。」
マリルは女の子と手を繋ぐ。
「時間取らせてごめんなさい。」
「マリルさんって子どもとの接し方上手ですなんですね。すごいです。」
「おい、話は後だ。早くいくぞ。」
五分ほどで目的地の教会に着いた。教会には多くの避難者でごった返していた。
「マリル、俺達はここでお別れだ。その、後のことは大丈夫か?」
「大丈夫だよ。この子のことは任せて。」
(マリルは俺が思っているよりずっと強いのかもしれないな。)
マリルの発言と女の子を守ると決意したような顔を見てギアトはそう感じた。
「そうか。よし、ナミア急いで魔物の元へ向かうぞ。」
「分かりました。」
ギアトとナミアは魔物が入って来たと思われる南門に向かった。
南門から少し離れたところまで魔物の大群が侵食して来ていた。王国の兵士や、近くいた冒険者達が戦っていたが、見るからに劣勢だった。
「チッ、もうここまで来てんのかよ。迅速に排除しなきゃやばいな。」
ギアトは鞘から剣を抜く。ナミアもいつでも戦闘できる状態になっていた。そこにランク5の魔物であるヘルオークが向かって来た。
「剣技『水鏡』」
一切無駄のない剣捌きで向かってくるヘルオークを一瞬にして切り刻む。その剣技は水の流れを連想させるほど美しかった。
(久しぶりだから剣技の腕が鈍っているかもと思ったが案外大丈夫だな。)
ナミアは先程のギアトの剣技を見て思わず息を呑んだ。
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