第26話 冷酷な現実
「クッ、一体どこに…。」
ギアトは中々ザックを見つけることができずに焦りが募っていた。少し奥の方を探し始めた時、瓦礫の下にわずかに手のようなものが見えた。
「ここか!」
ギアトはすぐに周辺の瓦礫をどかす。するとうつ伏せで血だらけのザックを発見した。
「ザックさん!返事をしてください!」
必死に呼びかけるが、反応はなかった。
「お父さん!」
マリルが駆け寄ってきた。しかし、血だらけのザックを見て一瞬動きが止まる。
「そんな…いや!お父さん!」
マリルは涙を流しながらザックのそばに寄る。そんな姿を見てギアトは思い出したかのように周りを見る。ナミアの姿を見つけ、
「ナミア!こっちに来てくれ!」
と叫んだ。固まっていたナミアは自分の名前が呼ばれてようやく体が動いた。
「今行きます!」
固まっていたナミアも今どのような状況かは理解できていた。
ナミアは血塗れで倒れているザックを見て思わず目を逸らす。
「ナミア、ザックさんに早く回復魔法を!」
焦っているギアトはナミアを急かす。
「ギアトさんこの方はもう…。」
「何してるんだ、早くしないと死んでしまう!」
「ナミアって、あのナミアさんですか?お願いします父を救ってください!」
ギアトとマリルはナミアに詰め寄る。
「体中瓦礫で傷ができて、こんなに出血が激しいといくら回復魔法をかけても助かることは…。」
「そんな…。」
「も、もうお父さんは助からないってことですか?」
「はい。」
非情な現実を突きつけられギアトとマリルは沈黙する。ナミアもかける言葉が見つからず俯いていた。
三十秒ほどした時、後ろの方から建物が倒壊する音が聞こえてきた。
「一旦ここから離れましょう。ここは危険です。」
ナミアが冷静に指示をだす。
「そうだな。マリル、行けるか?」
「…うん。」
エルフィンパン工房から離れ、ギアトとナミアはマリルを災害などが起きた時の避難場所として指定されている教会に連れて行くことにした。
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