第22話 エクロ・シェンエイ
翌日ギアトとナミアは調査範囲を王国周辺からより遠くの土地に拡大した。向かった場所はモーリズム大森林。高ランクの魔物が多数生息しており手練れた冒険者じゃなければ一瞬で命を落としかねない危険な場所だった。
「やっぱりここってなんか不気味で苦手です。」
「こんなところ好きな奴なんていないだろう。さっきからおびただしい数の魔物の気配がしやがる。」
慎重に歩みを進めていく。すると目の前にランク7のデビルラビットが2体現れた。
「調査の邪魔だ。」
ギアトはつぶやくと同時にデビルラビットに突撃する。デビルラビットはギアトに向かって腕を振り下ろすが、それを見切り一気にデビルラビットの懐に入り込み、剣を切り上げデビルラビットの腹を斬り裂く。
「ギュオォォォォォ!!!!!」
断末魔を上げながら倒れる。もう一匹のほうに向かおうとしたとき不意に後ろから3匹目のデビルラビットが現れギアトに襲い掛かった。
「チッ、面倒だな。」
ギアトが振り返った瞬間
「光の護壁!」
とナミアが唱えギアトの前にシールドが張られ、デビルラビットの攻撃を防いだ。そのすきを逃さずギアトは首を切る。
(助かった。)
心の中で感謝すると、ギアトは残りのデビルラビットに向かう。軽くデビルラビットの攻撃をかわすと背後に回り込み体を切り裂いた。
「よし、これで大丈夫だな。先に進もう。」
「はい。」
先ほどのところから少し歩くと前からうっすらと人が歩いてくる姿が見えた。
(一人しか見えないが何者だ?こんなところに一人でくるなんて危険すぎるのに。しかも殺気も感じる。)
「おいナミア、前にいる人が見えるか?」
「はい、なんというか危険な感じがします。」
「あぁ、絶対警戒を解くなよ。」
近づいてくるにつれて姿が見えてきた。身長はナミアより低く、少し背中が曲がっているように見える。白装束のような服装で腰には赤色の帯を締めていた。
(老人?なんでこんなところに…。まさか。)
「ギアトさん、あの人って…!」
ナミアも誰か察したようだった。
「おやおや、ナミア・ミンセル君じゃないか。隣にいる彼は誰かな?」
一人で歩いてきた人はエクロ・シェンエイという人だった。白髪の髪は小さくモヒカン状にしており、伸ばしていると思われる口髭も白色だった。
彼は現在62歳だが、最前線で活躍している冒険者で、生きる伝説と言われている人物だった。冒険者ランクは5位だが、クエストを受注せずにふらっと魔物を狩りに行くことも多いため一部では真の1位はエクロだという人もいる。
「お久しぶりですエクロさん!え、えっと彼はギアト・マーシャルといって私のいとこです。」
「ほう、ギアト・マーシャル君というのか。エクロ・シェンエイだよろしくな。」
「初めまして、エクロさん。よろしくお願いします。」
(まぁライア・エスフィとして活動してた時に何度か会ったことあるんだけどね。)
「なんかギアト君とは初めて会った気がしないな。どうしてだろうねぇ、歳のせいかな。」
「あ、アハハ。なんででしょうね…。」
一瞬心の声が聞こえたのかと思い、ひやひやした。
「ところで、さっきここらへんでけっこう強そうな魔物の気配が一瞬で消えてしまったんだがもしかして君たちの仕業かい?」
何かを感じ取っているような様子でエクロは質問してきた。
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