ヤンデレの頂上決戦! 益州奪還と、悲劇の足音
呉の格闘ツンデレ姫・孫尚香までをも(無自覚に)ハーレムに拉致……もとい、迎え入れた劉備一行。しかし、天下は彼女たちを放っておかない。次なる舞台は、豊かな自然と莫大な富に恵まれた約束の地「益州」である。
益州の支配者・劉璋は、気が弱くていつもオドオドしている気弱系男子。周囲の獰猛な男たちに怯えきっていた彼は、噂に聞く「優しくて人たらしな聖女」である劉備に助けを求めた。
「劉備お姉さん……! 怖い人たちが僕の土地を奪おうとするんだ。お願い、僕を守って……!」
「まぁ、可哀想に。大丈夫だよ劉璋くん、私がきたからにはもう安心だからね!」
益州へ乗り込み、劉璋の頭を優しく撫でる劉備。その圧倒的な母性に、劉璋は一瞬で陥落。
「お姉さん……僕、一生お姉さんについていく……!」と完全に懐いてしまった。
しかし、この微笑ましい光景を、執念深く見つめる「二大ヤンデレ」がいた。
一人はもちろん、劉備の専属(自称)奴隷にして天才軍師・諸葛亮孔明。
「……やれやれ、我が君は本当に罪な御方だ。また新しい犬コロを拾って。……ですが我が君、あの劉璋という男、目が『本気』です。早めに社会的に抹殺(改易)しておきましょう」
そしてもう一人。この益州の戦いで劉備の前に現れた、新たなる天才軍師――法正、字は孝直。
彼は、自分を冷遇した者には100倍にして報復する、筋金入りの「執念深いドS・復讐系ヤンデレ眼鏡」であった。
法正は、劉備が戦場で怪我をした兵卒の手を涙ながらに握りしめ、看護する姿を見た瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けていた。
(……美しい。あの無垢な優しさ、我が支配欲のすべてを捧げるに値する。彼女の障害となる者は、私が合法的に、すべて裏から手を回して『処刑』して差し上げよう……!)
ここに、【孔明 vs 法正】という、劉備を巡る「笑顔のヤンデレ」と「眼鏡のドSヤンデレ」による、恐るべき頭脳(嫌がらせ)戦が勃発した。
「おや法正殿、我が君のスケジュール表に勝手に自分の名前を書き込まないでいただけますか? 消し炭にしますよ?」
「ククク、諸葛亮殿。貴殿の立てる作戦はスマートすぎて我が君への刺激が足りない。私は我が君のためなら、泥水をすするようなエグい罠(暗殺)でも平気で実行に移せますが?」
軍師二人の間で、目に見えるレベルの黒い火花が散る。その結果、二人の天才が「我が君に良いところを見せたい!」と狂ったように知略を絞り出したため、益州の敵対勢力は驚異的なスピードで全滅。劉備は何もしていないのに、あっという間に巨大な益州の主になってしまった。
「ええっと……みんな、ありがとう?(何だか周りの人がどんどん消えていく気がするけど、気のせいかなぁ……)」
のんきに首をかしげる劉備。こうして蜀の国が建国され、彼女のハーレム(国家)は絶頂期を迎えた。
しかし、光が強くなれば、影もまた深くなる。
荊州の留守を預かるクール系お姉様・関羽のもとに、呉の孫権から一通の手紙が届いた。
『関羽さん。僕と君の娘(あるいは関羽自身)で結婚しようよ。そうすれば、荊州は実質みんなのものになるし、劉備先輩も喜ぶと思うんだ』
それは、劉備への執着をこじらせすぎて闇堕ちした、年下わんこ・孫権の「狂気のプロポーズ(脅迫)」だった。
関羽は手紙を一瞥すると、青龍偃月刀で一刀両断。冷酷な声で吐き捨てた。
「……我が虎の娘(私)を、犬コロ(孫権)の家に嫁がせるわけがなかろう。私の心も身体も、すべては我が君(劉備)のもの。汚らわしい」
この徹底的な拒絶が、孫権の「闇」を完全に爆発させてしまう。
「……そっか。お姉ちゃん(孫尚香)も先輩に盗られた。荊州も返してくれない。関羽さんにもバカにされた。……だったら、もういいよ。手に入らないなら、全員壊しちゃえばいいんだよね?」
さらに、北のツンデレ覇王・曹操もまた、劉備が遠い益州で新しい男(劉璋や法正)と仲良くしているという情報に、嫉妬で完全に正気を失っていた。
「劉備……。貴様がいつまで経っても私のものにならんからだ。……関羽を討つ。あいつを失った時、貴様がどんな顔で私に泣きついてくるか、見せてもらうぞ……!」
離れていても、劉備への愛が重すぎるがゆえに、世界が連動して狂っていく。
曹操と孫権。歪んだ愛を抱く二大覇王の手が、荊州の関羽へと静かに伸びる。
最強にして最愛のお姉様・関羽に、かつてない悲劇の足音が近づいていた――。




