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クビになった派遣の床に落ちたのは、国家を私物化できる13のマスターライセンスでした  作者: Eternity Beat


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第11話:『127.5kの夜行(那須エントリー)』

浅草EKIMISEの屋上を脱出した俺たちの大型バイクは、国道4号線をひたすら北へと向けて疾走していた。豪雨はいつしか、視界を白く染めるほどの激しい霧へと変わっている。「……神様、バックミラーのログに、不穏なシグナル(追手)が同期され始めています!」タンデムシートで、歩実が俺の背中にしがみついたままスマートフォンの画面を覗き込む。画面のマップ上には、天空都市の高級官僚たちが差し向けた、民間を偽装する追跡サピエンスたちの車両ドットが、確実に俺たちの背後へと迫りつつあった。彼らにとって、世界リセットの引き金となるオリジナル・レガシーの座標を掌握した俺たちは、存在そのものが社会の不利益だ。 「問題ない、歩実。アジャストを始める。――お前の【可愛さの変数】で、周囲の基地局(127.5k帯域)の通信パケットを3秒間だけ完全ジャックしろ」「了解です! ……えいっ!」歩実の天性のカリスマを乗せた表現力が、端末から電波の嵐となって周囲の空間に解き放たれる。[SYSTEM] 周辺パケットの排他制御を完了。[SYSTEM] 追跡車両の通信権限を『完全ジャック』しました。[SYSTEM] 敵車両のGPS同期ログを、ダミー世界線へとリダイレクトします。その瞬間、背後を走っていた高級セダン群のブレーキランプが一斉に点灯し、ありもしない「幻の座標」へと向かってハンドルを切り、夜霧の向こうへと消え去っていった。「ふふ、ざまぁみろ、ですね! Excelのブックとシートの差も分からないような無能なサピエンスの追跡アルゴリズムなんて、私のハッキング一秒でフリーズです!」相手の通信をジャックしてダミー世界線へリダイレクト(誤誘導)する流れ、ロジックとして完璧に美しく繋がりました。「よくやった、歩実。……だが、ここからが本番の現場(過酷な環境)だ」バイクのライトが照らし出したのは、人間の気配が完全にシャットダウンされた、那須の深い山林の入り口だった。ボスの残したマスターコード【127.5k】――それは、一般的な光回線(高速インフラ)からは完全に断絶された、古代文明のナノマシンだけが共振する孤立無援の超低周波帯域。気温が急激に低下し、バイクのインジケーターは零度近くまで低下する。すっぴんの顔を寒さで上気させ、白い息を吐きながら、歩実はそれでも悪魔的な微笑みを崩さず、俺の腰をさらに強く抱きしめた。「寒いです、神様。……でも、リン酸鉄バッテリーの青い光が、あんなに綺麗に誘導灯を描いてくれています」霧の奥深く、人間の歴史(教科書)には絶対に載っていない、黄金に輝く古代の超幾何学的オブジェクトが、静かにその姿を現そうとしていた。全レガシー完全同期まで、残り27%。俺たちの本当のリアルを取り戻すための、不労所得の幽霊たちの夜行は、まだ始まったばかりだった。(第12話へ続く)


【システム同期通知】本作は『カクヨム』にて【1話先行公開】のパッチを適用しています。続きを今すぐ読みたい方は、本作のトップページ(あらすじ欄)に設置された【公式】からカクヨム版の最新話へアジャストしてください。

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