8.ごめんね…なんで謝ってるんだろう
日曜日、部屋でSNSを見ていると美優と美菜がインスタのストーリーに人気K-popアイドルのライブ会場の写真やペンライトの写真をあげていた。
流れるように次から次へとストーリー写真をタップすると美菜のストーリーから私を除いた4人の自撮り写真が目に映った。
ライブ…私を除いて皆んなで行ったんだ…誰も何も言ってくれなかった…
すると最後に美菜がストーリーで小さく、thank youと書いて誰かのアカウントをタグ付けしていた。タグ付けされたアカウントを見にいくと、真っ白なアイコンが出てきて名前の部分にローマ字でHonoと書かれている。
これが保乃のインスタ…インスタをやってるなんてそもそも知らなかった。いや、私が興味なくて聞かなかったからだ。私が知らない間に3人は保乃に興味を持ってインスタを交換していたのだ。
私だけが保乃に興味を持たなかったが為に孤立した。これは自然な流れなのだろうか。
考えすぎだと分かっていても寂しかった。
月曜日、私は美菜たちに日曜日のインスタの話を振った。
「インスタ見たよ〜。ライブ行ったんだね。」
私の言葉に美菜たちは首を傾げる。
「え、何言ってんの?來未は行かないって断ったんじゃん。保乃から聞いたよ。」
「…え?」
何それ、私、何も聞かされてない…。そのタイミングで保乃が登校してきた。
「おはよう!」
「保乃、來未がライブの話聞かされてないって言い出してるよ。」
「え、うそ!ごめん!忘れちゃった?來未ちゃん、行かないって断ったんじゃん!」
悪気なく言う感じの保乃に苛立ちを覚える。そんなはずはない。私は何も聞かされていない。
「私、そんなこと言ってない!」
声を荒げると賑やかだった教室が静まり返って冷ややかな視線を浴びる。まただ…私だけが疎外された空気感…
耐えられなくなった私は再び教室を飛び出す。
「來未ちゃん!」
背後から保乃の声が聞こえたが追いかける様子はなかった。
走って女子トイレの中に入ると背後から名前を呼ぶ声が聞こえた。
「來未。」
振り返るとそこにはすみれが立っていた。
すみれ…すみれだけが私を追いかけてきてくれた。
「すみれ、私、あの子が怖い。保乃って私のこと嫌いな気がする。仲良くしたいって言ってるけどそんな風には見えないの。」
必死に訴える私にすみれは静かに頷く。
「もう全部が計算されてて私の人生が壊されそうで…」
「來未、考えすぎだよ。考えないで。」
考えすぎ…考えない…そう思っても保乃の存在が気がかりで考えてしまう。
「今は考えちゃダメ。」
すみれに諭されて私は二人で教室に戻ると保乃に謝った。
「ごめんね。」
私が謝ると保乃は嬉しそうに、うん。と言って、満足げな笑みを浮かべる。
チグハグな展開に私は訳もわからず保乃に謝っていた。私の感情も心とチグハグな状態だ。




