魔法の授業⓪
「授業って、どうして私たちが…」
「凛華くん!確かにね。でも彼らはこの先で必須な人材になるはずだからね。今のうちに鍛えておきたいのさ」
ジオの珍しく的をいた理由に凛華は反対ができず、考え込んだ。
「でも急に教えるってなると困るからね」
「最初に教える担当だけは決めたよ」
先を見ていたジオは俺たちを置き去りにして話をまとめ出した。
「封魔くんは鵜月くん」
「はい」
「え?」
「不満ですか?」
鵜月は俺の漏れた声に鋭い眼光を向けて睨んできた。
「あなたの場合、誰であっても変わりません」
「安心してください。先輩は私もいますので」
夜月が協力してくれると言ったが、鵜月に危険性があり、心配でしかなかった。
「涼くんは凛華くんと魔夜くん、任せるよ」
「はい!はーい!」
「…分かり…ました」
凛華が何か言いたそうな間を貯めたが、息を吐いて涼を見た。
「マルシェくんは彩花くんとカザリくん」
「カザリ?」
「ワタシ!私だよ。どうもよろしくね」
堀部カザリ…不思議な雰囲気で話し方も独特な感じがするが、強さだけは分かる人だな。
「魔王くん!久しぶり!」
「おう」
堀部さんが手を振って来たのを俺も軽く振り返ってみると、嬉しそうに微笑んだ。
「どうして私が夜月と別れてしまったの…」
堀部さんの隣では彩花が一人で悔しそうにこちらを睨んでいた。
「オイエンくんは綾くんと美沙くんに頼もうかな」
「私ですか?」
「うん」
美沙と綾は少し不服そうにしているが、ジオの指示に仕方なさそうに頷いた。
「あの。その人たち、嫌そうにしていますけど大丈夫なのですか?」
「安心して良いよ。こんな感じだけど優しく教えてあげるよ」
ジオは美沙と綾のことを自信満々に言った。
「それなら良いですが」
オイエンも二人の様子を見直して話を承諾した。
「それじゃあ、後のことは各々で話し合ってね」
「投げやりかよ」
「おい、学園長。俺と凰火はどうするんだ?」
「それは決まっているよ。鳳翠くんを見てもらおうかな」
「やっぱりか…」
雅樹は何か知っていた様子でジオの提案に反応した。
「どう言うことだよ」
「学園長は俺たちにもしもしことがあった時ように相性の良い人選をしているんだよ」
俺は雅樹の話を冗談半分で聞いていた。
「僕はともかに君たちを受け入れることに否定的な人が多くてね」
「他の?」
「まあ、それは良いさ。それじゃあ、あとは頼んだよ」
俺はジオの話の意味が分からなかったが話を切られてしまい、学園長室から出た。
「それじゃあ、俺は何から教えてもらえますか?」
「ではあなたには魔法の知識を入れてもらうために図書館へ向かってもらいます」
俺のやる気が凛華にも伝わってくれたようで、文句も言わずに行き先だけを示した。
「確かにな。あそこは色んな知識がありそうだからな」
「私も行きますね」
夜月も俺の後ろに着いて歩き出した。
「鵜月先輩、何だか。久しぶりに感じますね」
「あなたとは神戒島で何度か会っています」
夜月と鵜月は俺を残して面白そうに話し始めた。
「そう言えば、二人は仲が良いのか?」
「そうでもありません」
鵜月は俺の些細な質問に断固として否定して返した。
「そうなのか?インペルⅩ同士だし、てっきり彩花と同じ感じかと」
「残念ですが、あなた方とは違って、私は魔王を敵視していますので仲良くなりません」
鵜月の突き放した言い方に夜月は寂しそうに見つめていた。
「そう言えば、魔王って言われるの久しぶりに感じるわ」
「あなたは本当に呑気な人ですね。だからあなた方は仲良くなったのでしょうね」
俺の話に夜月たちを混ぜながら鵜月は話を解釈し、なるべく俺と混ざらないように距離を置いて話を続けた。
「神戒島の時はもっと話しやすかった気がするが…」
「任務が最重要なので仕方なくです」
鵜月は俺との会話を避けそうと俺の話に言い返す。
「先輩を避ける人には勢いがありますよね…」
「うっ。そ…そうか?」
俺の自覚していないような所を夜月が刺してきた。
「あなた方はいつもそんなイチャイチャといているのですか?」
「いちゃいちゃ…。って違います!」
夜月は俺の方をして恥ずかしくなったのか頬を赤く染めて否定した。
「ですが、あなたはそこの魔王と長い付き合いですよね」
「私も任務で、し…仕方なくです」
夜月は鵜月の攻撃に動揺を隠せないくらい恥じらっていた。
「そう言えば、あなた方に子どもがいましたよね?」
「誤解です!」「誤解だ!」
夜月に言った言葉だったが、俺も返してしまい、本当の話のようにも解釈されそうな雰囲気になっていた。
「ですが、あなた方の話を聞くにどこから見ても夫婦仲です」
「…」
「もう嫌…」
鵜月の言葉で夜月が次第に弱っているのが面白く見えてきた。
「先輩…」
「鵜月は俺たちのことを羨ましく思っているんだよ」
「違います」
鵜月は俺の冗談にも強く否定した。
「全くあなたは私を怒らせたいのですか」
「そう言うわけではないが…」
話をしていると、いつの間にか図書館に着いていた。
「えっと話がかなり逸れたが勉強は何を教えてくれるんだ?」
「まずは魔法の基礎。魔法について学んでもらいます」
鵜月は俺に教えるためなのか眼鏡をかけて先生の姿を連想させるような雰囲気を見せてきた。
「何か眼鏡をかけると色っぽいな…」
「そこ!変なことを言わない!」
鵜月は先生になりたいのかノリノリで俺を注意してきた。
「とりあえず入りましょう」
「お…おう」




