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グロマギア  作者: ハナビ
クリスタルフラグメント篇
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魔法の授業①

図書館内は物静かで何人かの人が本を読んでいた。

「魔法の基礎ってどこから学ぶんだ?」

「そうですね…」

夜月(やつき)は俺が魔法の知識に偏りがあるのが分かっている様子で話を進めていく。

九重(ここのえ)さん、あなたはこの男に(いささ)か甘いようなので、私がみっちり教えます」

「わ…分かりました」

鵜月(うづき)は夜月の承諾(しょうだく)をもらうと俺の方を睨みより一層鋭い目つきになった。

「あなたは現行の魔法において、インペルが幾つに分かれているのか知っていますか?」

「俺の〈傲慢(ごうまん)〉は確か違っていたしな…。夜月の〈強欲(ごうよく)〉、彩花(あやか)の〈暴食(ぼうしょく)〉、凛華(りんか)の〈憤怒(ふんど)〉、(あや)の〈色欲(しきよく)〉、美沙(みさ)凰火(おうか)の〈嫉妬(しっと)〉、エロい姉ちゃんこと夢島(ゆめしま)さんだっけが〈怠惰(たいだ)〉。最後に雅樹(まさき)堀部(ほりべ)さんが〈虚栄(きょえい)〉だったかな」

「はぁ。私を除いたのは腹立たしいですが、概ね正解です」

鵜月は少し不満げに呟きながら話した。

「あなたの魔法はロストマギア。消えた魔法と伝わっています。魔法体系すら分からない代物なため今では使う人が生まれないはずでした」

鵜月は俺の魔法についても詳しく知っているようで即座に教えてきた。

「ロストマギアって、俺の魔法はそんなに特殊なのか?」

「一般的に〈傲慢〉の魔法に接続しようとした場合、何も起きません。ただ恥ずかしくなるだけです」

鵜月は顔を赤らめながらロストマギアの特殊さを説明した。

「だけど使えたからな…」

「あなたのような人間はカルト組織にとっては良い餌になりますよ」

「おい!」

鵜月は面倒なものかのように俺の魔法について話して続けた。

「それとあなたの魔法で一つ。神戒島でクロード郷があなたを使い、起こした魔法災害では最強と呼ばれていた〈創造〉の魔王を再現させようとしたと聞いております」

「そう言えば、〈創造〉の魔王って何なんだ?」

「〈創造〉、旧来の世界から居たとされる最古の魔王を指している名称です」

聞き覚えも何も無い話だが、こんな話を以前にも聞いた覚えがあった。

「魔王大戦では現在の魔王たちを一人で倒したとされています」

「そうなのか…。あいつ、そんなやつを良く再現させようとしたな」

「あれでも被害は小さい方だと思ってください!」

夜月は叱るつもりでは無いだろうが、強い口調で俺に伝えてきた。

「あなたのせいで酷い目に遭いましたよ…」

「全くです」

鵜月と夜月は俺に詰め寄り文句を続けて言いたそうだが、それ以上は口を塞いだ。

「とりあえず七つのインペルについてはこのくらいで一回休みましょう」

「分かった…」

鵜月は言いたいことを言ったのか落ち着いて席に座って水晶に手を当てた。

「さっきからちょくちょく水晶に触れていたが、それって魔法のアイテムか?」

「ええ。これは私の魔法で使われる媒体…要するにあなたで言う魔導書のようなものです」

「へぇ」

聞いてみたもののどのように使うのかも分からなかったため軽返事で聞いていた。

「まあ、あなたの意思疎通のできるものと違いますが」

「ああ、確かクルスリアって珍しいんだよな」

「はい…魔導書イブリス分書。各界の魔法においてオリジナルのない神話級の魔導書です」

『マスター、すごいだろ。私はその辺の中じゃトップクラスさ』

鵜月はクルスリアについても俺以上に詳しいようで説明し出した。

「各界の?魔法…って、あとこいつみたいなやつにオリジナルってあるのかよ」

「あります。例えば…魔導書ケルビル外典」

鵜月は夜月の方を指さした。

『息を潜めていたと言うのにやはり無理でしたか』

「私にはその程度の隠蔽(いんぺい)は通じません」

「アイリアか…」

「彼女はケルビル外典。外典と言うからので正典があるのでしょう」

『えーっと。私は智天使(ちてんし)の書としての存在であまり目立たないのですが…』

俺は鵜月とアイリアの話が一切分からず、聞いているだけでも理解ができなくなっていた。

「あなた方は異常な存在ですので安心しなさい」

鵜月は謙虚にいるアイリアの言い分を一刀両断した。

「それで話が脱線したが、その水晶ってどんな風に使うのか教えてもらえるか?」

「…では。実際に実行します」

鵜月は水晶に手を当てるといきなり白く輝いた。

「解析開始…」

「これは…」

『マスター、気をつけろ!』

「魔力解析完了。ディバイン…」

「そこまでです!」

夜月が俺と鵜月の間に立つと、剣を取り出して光を切り裂いた。

「九重さん、安心しなさい。この程度でその男は死にません」

「ここは図書館です。そう言うことはグラウンドでやってください!」

夜月は俺を助けたわけではなく、ただ図書館を守るために動いただけだった。

「今の魔法で思い出した。錬金術師の眷属(けんぞく)をぶっ飛ばしていた魔法だよな…」

「ええ。霧場(きりば)先輩も私たち同じで〈強欲〉のインペルで、今の魔法は『ディバインバースト』、本来は敵の魔法に反転の魔法をぶつけて相殺する魔法です」

魔法に詳しくないが、相手の魔法に合わせて相殺させることが難しいことだけは分かった。

「夜月…今、本来はって言ったよな」

「はい。霧場先輩は魔力が高いためぶつけるだけでなく、敵に攻撃する力があります」

「それ俺も受けていたら無事じゃないよな…」

『良かったな。無事で』

クルスリアはやけに他人事のようにしていた。

「そろそろ、休憩は終わりです。勉強の続きをしますよ!」

夜月は収拾つかない状況を落ち着かせようと本棚から何冊の資料を持ってきて席に着いた。

「まだやるのか?」

「当然です」

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