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グロマギア  作者: ハナビ
暖かな摩天楼
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新たな始まり

「先輩、起きてください」

色んな疲れからぐっすりと眠れた俺が目を覚ますと、夜月(やつき)がゴミを見下すような目でこちらを睨んでいた。

「どうした?夜月、もう朝なのか」

「ええ。なので早く美沙(みさ)さんを剥がしてください」

夜月は美沙のいつもの行動に変わらず、注意をいていた。

「全く、どうしていつも先輩の部屋にいるのですか」

「好きだから」

美沙は感情のこもっていない言葉で恥じらうことなく言い切った。

「早く起きてください!」

夜月は布団を(めく)ると美沙の体が(あら)わになった。

「どうしてまた服を着ていないのですか!」

「暖かいから入った」

夜月は美沙の話を冗談半分で聞き、ため息も出ていた。

「夜月も一緒にどうかな?」

「は?どうして私も先輩のおふざけに参加しないといけないのですか?」

夜月のゴミを見る視線はまるで今までの関係を忘れたかのようなものだった。

「先輩、真面目な話があるので早めにお願いします」

「お…おう」

夜月は頭を抑えて複雑そうな表情で部屋から出ていった。

「美沙、そろそろ夜月が怒るからこのぐらいにしてくれ」

「分かった」

美沙は俺で遊ぶのに飽きたようで素直にいう事を聞き、布団から出た。

「おい、美沙…前は隠せ…」

「別に良いのに…」

俺と美沙の口論中も廊下では夜月と誰かの会話が聞こえてきた。

「美沙、頼むから服を着ろ!」

『ドンドン』

一向に進まない俺たちの支度に廊下で待っている連中からの圧が強くなってきた。

「魔王!さっきから何をしているの!早く出てきなさい!」

「げ…彩花(あやか)、お前もいたのかよ」

再び俺の部屋の扉が開き、美沙は変わらず、服を着ていない最悪な状況だった。

「もしかして、お取り込み中だった?」

(あや)、魔王くんも年頃の男の子だから離れるように」

「えー。凰火(おうか)は固すぎだよ。もっと近づかないとお嫁さんにはなれないぞ」

「余計なお世話だよ」

旅行が終わり、状況が変わった凰火と綾は以前に比べて仲良さそうに言い争いをしている。

「さっさと服を着なさい」

「お…おう」

彩花の最後の注意に俺は文句が言えぬまま服を着替えた。

「悪い。待たせたな」

「遅すぎる」

彩花は俺の詫びも一言だけで切り捨てた。

「仕方ないだろ。美沙が服を着ないんだよ」

「相手にしたら負けよ」

「た…確かに…」

俺の苦しい言い訳すら正論で砕き、何も言い返せなくなった。

「先輩は美沙さんに甘すぎます」

「仕方ないだろ。美沙を見るといつもの感じが出ないんだよ」

「いつもは私たちを振り回すあんたが美沙には振り回されるようね」

「まあ、私たちもですがね…」

夜月は困った顔になって一言呟いた。

「それでどうしてこんなに大勢でいるんだ?」

「そうでした。学園長が戻られていて、先輩と私たちに話がしたいと」

「話?」

ジオの言伝(ことづて)を夜月が教えてくれたが、話の内容が見えてこなかった。

「行ってみたら分かるか」

「はい」

学園長室に入ると既に見知った顔が何人もいた。

「ようやく来ましたか。遅すぎます」

「ごめんなさい。香ノ木(こうのき)さん、先輩が寝ていたので」

「またあの男ですか」

ため息を吐き、気持ちが落ち込んでいる凛華(りんか)が夜月に(なぐさ)められているが見えた。

「よ!重役出勤か?」

「お前と話すの久しぶりだな。雅樹(まさき)よ」

神戒島(しんかいとう)でいつも話していた雅樹の顔も久しぶりに見ると、帰ってきた実感が湧いてきた。

「確かにな。島から離れてから俺たちも色々と忙しくなったからな」

「あなたたちは呑気で良いわね。私は島から離れてから魔法の勉強で忙しいのよ」

(すず)か。調子はどうだ?」

涼に至ってはとても濃いクマが出来ており、あまり眠れていない様子だった。

「ここに来てずっと勉強漬けの毎日よ。あんたもやってみると良いわよ。寝ていても魔法式がチラついて仕方ないわ」

「それは大変そうだな」

「涼は今、さっきーちゃんが付きっきりでマクロの構築を教えてもらっていたよな」

「マクロ?」

俺の知らない話に首を傾げて呟いた。

「魔法構築を効率よくするために使う式のことよ。事前に魔法を準備して発動するだけで起動するやつとか。強弱を決めたり、距離を決めたり、色々よ」

「俺には分からんな」

「まあ。涼にはその辺りの才能があったようだからさっきーちゃんも力を入れているんだろ」

「どうしてさっきーちゃんが教えているんだ?」

俺の質問に雅樹は少し固まり、思い出したかのように口を開いた。

「あっそうか。あの人、マクロの構築に長けているんだよ。伊達(だて)に魔導士は名乗っていないよ。それに教えるのもできるし、適任ってわけだ」

雅樹は涼に同情する様子も見せずに俺に話した。

「さっきーちゃんってすごいんだな。っていや。何度も見ていたから何となくは知っていたが」

「騒がしいな。お前たち」

俺たちが話していると、さっきーちゃんが話しかけてきた。

「うわ…。あ…麻樹(あさいつき)先生…」

「どうした?萱倉(かやくら)、私を見るなりその顔は」

「い…いいえ」

涼はいつもの過酷な勉強がトラウマになっているのか。さっきーちゃんの顔を見て引き攣っていた。

「それで俺たちを呼んだ理由って知っている?」

「ああ。まあ。ジオの話を聞けば分かる」

俺は話を知っていながら言い淀むさっきーちゃんが気になったが、ジオの話に耳を向けた。

「久しぶりだね。みんなそれじゃあ。みんなを集めた理由から。インペルⅩの諸君(しょくん)にはそこにいる望月封魔(もちづきふうま)くん、萱倉涼くん。マルシェくん、オイエンくんに魔法の知識を実践込みの授業をしてもらうよ」

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