時間
「おいそろそろ起きてくれねえか?夜月」
俺が夜月に起きるように言うと目を覚まし、顔を動かした。
「先輩?」
「ああ。先輩だ」
俺が夜月を抱っこしたが、目的地まで行ったものの離れようとはしなかった。
「ちょっと。魔王あなた夜月に何をしているのよ!」
「仕方ないだろ。上の階で寝てしまったんだよ」
「あなたが抱っこしなくて良かったのよ」
彩花は俺が夜月を抱っこしていることにカンカンに怒っており、必死に剥がそうとしていた。
「夜月もいつまでこの男に引っ付いているの離れて!」
「ごめんなさい」
夜月はようやく状況が分かったようで手を放して降りた。
「夜月!良かった!ケガはない?こいつに変なことされなかった?」
「してねえよ」
彩花は会った時のように俺をごみのように扱ってきた。
「あなた方は戦いが収まったというのになぜ喧嘩をするのですか」
「してねえよ」
俺は大人になって冷静に言い返さずに香ノ木さんと話した。
「ちょっと。私が子どもみたいじゃない」
「みたいではなくそうです」
「香ノ木さんが酷い。ねえ。夜月構ってよ」
戦いが収まっても相変わらず彩花は騒がしい。
「魔王。私にも構って…」
「美沙!お前何で引っ付いてくる」
「抱っこ」
美沙は俺が疲れているのが分かっていないのか暑苦しく抱きついてきた。
「ここは…どこ?」
「鳳翠!」
「凰華姉ちゃん?」
鳳翠が目を覚ましたようで凰華が嬉しそうにしていた。
「姉ちゃん。苦しい…」
「ごめんね」
「どうしてそんなに大きくなったの?」
鳳翠の体は幼いころのまま変わっておらず、見た目のままの小学生で止まっていた。
「頑張ったからだよ」
「そっか!」
鳳翠の嬉しそうな表情に凰華は涙を流し、再び暖かく抱きついた。
「凰華さん。希はどこへ?」
「ごめんなさい。あのこだったら」
凰華はそういうと後ろを向いた。
「あら?もしかしてこの子って。あなたの子なの?」
後ろにいたのはフォン・イェンだった。
「その子は…私が預かっているので親代わりといいますか…」
「もしかして魔王くんがお父さんなの?」
「ち…ちが…全然。私が疲れているときに手伝ってくれているだけで」
夜月が話すたびに初めて聞いている連中は騒いだ。
「違うんです」
「夜月、そんなに大きい声出したら希も驚くぞ」
「そ…そうでした」
夜月は抱っこした希を見ると今にも泣きそうな顔をしていた。
「ごめんね」
俺も希が泣かないようにあやしてみることにした。
「おい!ハオラン!お前も来い!」
「どうしてだよ!」
ハオランは俺が呼ぶと仕方さそうに来ており、希の興味を向かせた。
「おう!希が興味を持ったぞ!良かったな。ハオラン!」
「魔王!てめえ恨むからな!」
希は新しいおもちゃを見つけた時のようにハオランの耳を掴み、引っ張って遊ぶ出した・
「ハオランったら。相変わらず遊ばれるわね」
「フォン・イェン。こういうのはお前の役割だろうが!」
先ほどまで戦っていた敵だったとは思えないほどフレンドリーになっており、話が弾んでいた。
「どうかしましたか?」
「いや。結構、人が集まったなと思ってな」
俺がしんみりとしていると夜月も周りを見て賛同してくれた。
「先輩、旅行はまだ続きますので楽しみますよ」
夜月は戦いを終えたつもりだが、逃げられたこともあり、旅行も事後処理が多く残されていた。
「あぁ、辛いわ」
「結局、五角会の実態は不明。逃げられた人たちはどこかへ行きましたね」
戦いに疲れ、俺たちはホテルへ戻ることにした。
「え?だめですか…」
ホテルに戻ると俺たちは出入り禁止になっていた。散らかってそのままの状態だったのが悪かったようで、泊まる場所がなくなった。
「あのさ。うちに来る?」
ホテルに泊まることができなくなった俺たちは凰火の提案でそのまま凰火の家へと向かうことにした。
「ただいま…」
「凰火!」
久しぶりに会った娘の姿を見た凛さんは嬉しそうにしており、快く俺たちも迎えてくれた。
「え?良いよ。あなたたちも家族みたいな関係だもの」
凛さんは俺たちが帰ってくると嬉しそうに迎えてくれた。
「鳳翠…」
「お母さん?」
鳳翠は時間が経ち、雰囲気が変わった凛さんを見て、すぐに何かを悟って呟いた。
「うん」
凛さんは鳳翠に微笑んだ。




