男子風呂のひと時
「よう。」
俺一人と思い、気ままに入るとすでに先客がおり、頭を洗っていた。
「どうも」
そいつはどこかで見たことあるなりだが、それよりも男とは思えない華奢な体に不思議に思えて仕方なかった。
「何だよ。魔王」
俺を呼ぶときに悪意をもって呼ぶ連中には心当たりがあった。
「お前…。鳳翠か!」
「誰だと思ったんだよ」
鳳翠は俺にガン飛ばしており、目つきもドンドン強くなっていた。
「お前って、他の人が風呂に入っていないうちから入るんだな」
「珍しくもない。俺がたまたま一人なだけだよ」
鳳翠は終始嫌そうな雰囲気を出しており、なぜか。俺が話しかけるとビクっとなっている。
「どうしてそんなにびっくりしてんだよ」
「うるせえ。お前には関係ねえだろ」
鳳翠はそう言うと、体を隠して湯船に入った。
「なあ。なんでそんなに機嫌が悪いんだよ。」
「うっせぇ。バァーカ」
俺はインペルⅩの中は少ない男ということもあり、魔導士の実力に興味を持っていた。
「お前はそのくらい強いんだよ」
「はあ?」
俺の質問に鳳翠は喧嘩腰で返事をしてきた。
「俺はそうだな…。個人戦だったらインペルⅩでも上位だと思うぞ。まあ。雅樹さんには勝てないがな」
「あいつってそんなに強いのか?そういえばナンバーも一番だしな。」
俺は雅樹の強さをよく分かっていなかったこともあり、二人を比較していた。
「お前って…」
「何だよ?」
俺が体を洗い、湯船に浸かって温まりながら質問をすると鳳翠は俺から離れるように湯船の奥へと移動した。
「思っていた以上に細いんんだな。てっきりガタイが良いものだと思っていたが」
「うるせえな。筋肉が付きにくいんだよ。それに…」
鳳翠はそれ以降何も言わず体を隠して睨みつけてきた。
「俺か?最近は戦いばかりであまりしていないが、前は運動部に入っていたからな」
「そうなのか」
俺は神戒島の暮らしを思い出に浸っていた。
「それで、お前は何か鍛えているのか?」
「鍛えすぎには注意しているよ。俺のインペルは〈嫉妬〉ゲートは〈孤独〉。一人の時に力が発揮される。それに俺は忍者だ。力よりも速さが重要だ」
鳳翠はそう言って湯船からあがった。
「ふう。暖かいな」
鳳翠がいなくなり、一人になった俺はゆったりと湯船を堪能した。
『それにしてもマスター。中々面白いものを見たな』
「何がだ?」
俺は心当たりのない要件にクルスリアに問いかけた。
『おいおい。何でもねえよ。こっちの話さ。』
クルスリアは持ったづけて話をした割にはあまり詳しくは話さず、笑い出した。
「俺には心当たりがねえんだよ」
『だろうな』
俺はクルスリアに行ってみたもののそれ以上のことも言わなかった。
「ああ。怖かった。次からは気をつけないと…。」




