桃源郷の旅準備③
「あ!居た。封魔!と香ノ木さん?」
俺と香ノ木さんが学生寮へ戻ると、涼と美沙が待っていた。
「魔王。一緒に遊ぶ。」
美沙は俺の腕に無理矢理抱きつき頬を擦ってきた。
「あ…あの。美沙さん?当たっている」
俺の腕には美沙の胸が当たっており、意識せざるを得ない状況になっていた。
「知ってる」
美沙は俺の言葉に何も変えることなく言い返してきた。
「涼。美沙をどうにかしてくれ」
俺はこんな時にこそ役に立ってくれる涼に頼ることにした。
「美沙さん。残念ですが、封魔は巨乳にしか興味を持ちませんよ」
「何を言っている。俺は小さくても愛せるよ」
俺は女性にそのような弁明した途端。周囲からは悲鳴や罵詈雑言が飛び交ってきた。
「穢らわしい。これだからあなたは…」
「香ノ木さん?」
俺の声に何も言わない香ノ木さんは希にえげつない言葉を吹き込んでいるようだったので止めようと左手を伸ばした。
「封魔。何をしているのよ。」
涼は俺にそう言うと、頬を引っ張り左腕に抱きついてきた。
「涼さん?」
「おい。いきなりどうした?涼まで」
俺はあまりにもいきなりなことに驚いて涼に尋ねた。
「あなたには聞きたいことがあるのよ」
涼は上目遣いでじっと俺を見つめ離れる気配が全くなかった。
「俺は何も教えることがないぞ」
困ったことに何を聞かれても答えられる自信がないため涼にも伝えた。
「何を言っているのよ。それで希ちゃんはどうするのよ」
「え?」
何を聞きたいのか分からず、考えていると付け加えて話し出した。
「旅行のことよ。あれで行けるかもだけど流石に一緒には無理でしょ」
「確か。場所は海外だったな」
「ええ。パスポートが必要になります」
香ノ木さんは鋭い目で睨んでおり、後ろからは燃え上がる炎が出ているように見えた。
「えっと。二人とも離れてくれないか?」
「えー。良いじゃない。わたしたちの仲でしょ」
「うん。私は歓迎する」
目的も分からない二人の行動に戸惑いながら話しているとさらに香ノ木さんの目が怖くなっていた。
「お二方。その男に引っ付き過ぎです」
香ノ木さんは俺にではなく涼と美沙に向けた怒りのようで俺から剥がそうと叱った。
「全く。あなた方は…」
「でも凛華も魔王に引っ付きたかったんでしょ」
美沙は香ノ木さんの怒っている顔に動じることなく言い出した。
「そんなわけないでしょ!」
香ノ木さんは耳の先まで赤くしてさらに怒りました。
「ちょっと!私のことはどうでも良いでしょ!あなた方はどうしてこの男に抱きついたのか言いなさい!」
「だって。行けるのは五人だし。お留守番なんてイヤでしょ!」
涼は旅行に行きたかったようで駄々をこねだした。
「仕方ないでしょ。五人なのですから。」
「香ノ木さんが行かなくて良いでしょ。封魔のこと嫌いみたいだし…。」
涼は香ノ木さんが言ったことに思い出すかのように言った。
「そ…それは…」
香ノ木さんは頬を赤く染めて俺の方に見てきたが、何が言いたいのか分からず見つめるだけに止まった。
「だって…私はこの男の…」
「私はこの男の…」
「楽しそうな話をしているじゃないか!!!」
香ノ木さんが言い淀んでいるとどこからともなくジオが湧き出てきた。




