表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/33

進化

つづきです

「あれ━?、ちょっと待ってくださいっ」


魔法陣を使用した時に応対してくれた赤髪の人が、何やら焦っていた。


今日の兎狩りの成果を確認に、ディーと二人ギルド本部へとやって来た。

しかし、様子がおかしい、計測に入ったら係官が首を捻っている。

散々、計測魔道具をいじっていたが……。


「うーん、魔道具が故障しちゃった様で……、後でもう一度来てください!」


「仕方ない、じゃ後でもう一度お願いします」


計測不能ならここに居ても意味が無い、ディを連れて外へと歩き始めた。

俺達が、後ろ向いて歩き始めると、別の係官と話をし始めたようだが。


「どうかしたの?」


「魔道具が壊れちゃったみたい……」


「どれどれ…………、ん?壊れてないじゃない。数字出てるよ?」


「だからよっ、ノベルさんL3なのに、何よこの数字……」


「ぶっ! 、これL20を軽く越えてる数字じゃん。あはは壊れてるねぇ」


「でしょう! 、参ったなぁ、他の人が来る前に直さなきゃ!」


魔道具の修理に工房へと修理に走るが、工房の主任に故障していないと、突き返される事になる。戻った係官の元へ別の冒険者が計測に訪れ、魔道具が正常に作動しているのを目にした彼女は、意味不明の現象に困惑して悩み続ける事に成った。



「これからどうしよかぁ?」


経験値計測が出来なかった。

すっかり気を削がれてしまい、間をあけての再計測もなんだが、面倒に成ってきた。


「確認はどうなったんですか?」


「うん、魔道具が故障だから、後で来てくれだって」


「あらぁ……」


ディーは一言反応した後に、何やら考え込み俺に提案してきた。


「もう一度、狩りにいきませんかぁ?」


「えっ、今帰ったばかりで又行くの?」


「はい、何だか役に立てるのが嬉しくてぇ」


「あはは」


彼女は、俺に断られたら消滅が待っていたせいで、必死に懇願してきた。多分俺の前にも、懇願していた筈だが、誰も相手にされず追い返されたと思う。千回目の最後のチャンスで、俺からやっと承認取れた。


自分を受け入れたくれた者に、役に立てるのが余程に嬉しいんだろうなぁ。


一緒に歩くディーは本当に機嫌が良い。

とても綺麗で、可愛くもあり……、ちょっと駄目なディーネ。

そんな彼女の希望を叶えてやりたいけど、既に日が落ち始めている。

夜に成ると、昼よりも凶悪の魔物が現れ始める。


弱い俺では、ディーを守りきれない可能性が高い!。

そんな状況へ、彼女を連れてはいけない……。


「んと、夜は危険過ぎるから……、明日にしよう?」


ディーはちょっと残念そうな表情を浮かべたが、すぐに笑顔に戻る。


「はい、では明日がんばりましょう!」


返された笑顔は……、活力の源に成りつつある、女神の微笑み。

ディーは、駄女神なんかじゃない、っと、信じる俺はやっぱり、甘い?。


その後は、ディーを連れて明日の為に夕食に出向いたが、彼女の御陰で金策が成功した事もあり、少し高級な料亭へと足を向けた。後の為に、貯金するのが本来良いのだろうけど、何だか今日は、贅沢してもバチは当らないだろう、っと自分を納得させた。


翌日、再び狩りに出かけるが、それは俺達の運命を変える物と成った。

そんな事を知りもしない二人は、贅沢な食事に大満足で料理を口にしていた。




◇ ◇ ◇


翌日。


街の外に広がる何時もの森へとやって来た。

又、赤目兎を狩るつもりだった俺に、ディーが提案を持ち掛けてくる。


「ノベルさん、少し強い奴にしませんか?、きっと大丈夫と思うんです」


ディーの、その自信に満ちた提案の根拠が、一体何処から来てるのか分からないが、確かに赤目兎ばかりも、少々飽きても来た。少し強い奴なら彼女の言うとおり、問題無いだろう。


「少し冒険してみようか?」


「はいっ! 頑張りましょう!」


街から離れ、奥へ行くほど種類は同じでも、強さのレベルは増して行く。

違う種族も現れ始め、最初に失敗した様に複数から襲われる危険も上る。

でも怖がってばかりでは、強く成れないのは間違いない。


そう思って、ゴブリンを思い切って相手にする事にした。

最初に着いた狩場には、既に人が狩りを始めている。強引に割り込めば、トラブルの元に成るだけで、得る物は無い、別の場所へと移動するが、何故か今日は狩場に人が溢れ要ていた。


「何か、混雑してますねぇ」


低レベル帯の狩場に、こんなに人が居るのは珍しい。

そう思って、更に別の狩場へ移動しようとした時………。


うわぁ! た、たすけぇ……ぎゃああああ


助けを呼ぶ声の後、悲鳴が周囲で巻き起こった。


「なんだっ!」


見れば、複数の巨大なオークが、周囲で狩りをしていた冒険者を次々と襲っていた。


狩りをしていた誰かが、オークの縄張りへ入り絡まれ、逃走したのを追って目に付く冒険者を、手当たり次第に襲い始めた様だ。


絡まれたのが、適正以上の者ならその場で討伐しただろうが、逃走した処を考えると低レベ冒険者だ。


周囲で狩ってる中に、高レベ装備の者が居た。

初心者に同行した、私設ギルドの監視役と思われ、暴れているオーク達は彼が処理する。


っと、そう思った矢先に、オークから斬り倒された!。


追って来たのは下っ端ではなく、偶々居合わせた仕官クラスだと分かった。

斬られた者は、装備は良かっただけで、強さは全く別物の見た目装備だったらしい。

奴を倒すには、最低でもL10は要るだろう……。


「ディー! 、にげよう!」


「でも、あんなに出血してます!。助けてあげないと!」


「待ってディー」


さすがは女神様だ、こんな状況で人の心配までして、助けに飛び出してしまった。

こうなると、彼女に付き合うしかない。襲われた者達は、女神を支給されていない若年層だ。確かに、彼らを見捨てて逃げるのは、今夜から寝覚めが悪そうだ。


狩場に倒れ、虫の息になった冒険者へ、順に回復魔法を施している、ディー。

だが、暴れるオークの一体がディーに目を付け、向って来た。

覚悟を決めて、戦うしかないが、俺で果たして相手に成るのか?


オークは俺には目もくれず、ディーに剣を振り下ろす、俺は剣を振り上げ受け様とした。

普通なら、俺は剣もろ共圧され、ディーは斬られていた。

処が……、奴の右腕は大きく弾かれ体ごと仰け反っている。


奴は再び腕を振り下ろすが、その動きは『遅いっ』っと感じて、胴体へ剣を振り払う、オークの巨躯は両断されて別々に大地へ転がった。


「えっ?」


本当なら、即座に斬り殺されても不思議じゃない相手を、逆に即死させた?。更に、仲間をやられたオークは、怒り狂い俺に向って突進してくるが、その動きも鈍い鈍亀にみえた。


二体が同時に剣を振りかぶった処へ、先頭の奴には胴を切払い、後ろの奴には頭から振り下ろした。その場所には、胴と頭から両断された二体のオークが転がっていた。


「なにこの強さ……」


怪我人を助け終わったディーが傍へとやって来た。


「ディー……、何か瞬殺できたぞ?」


「はいっ、ノベルさんかっこ良かったですっ!」


ディーにそう言われて腕に抱き付かれ、ちょっと照れて嬉しかったけど、強さの理由が分からなかった。高々、レベル3の剣士がオークの三体の仕官クラスを瞬殺したとか、普通有り得ない。この三体だと、レベル10が回復役を含め、四人は要る筈なのにだ。


「凄いですよ、ノベルさん昨日より、断然強かったぁ!」


「うん、そうなんだけど……」


「強く成ると……、何か問題有るんですか?」


そんな馬鹿な事はない、冒険者は強くなる為に常に努力している。

強くなって、嬉しくない筈が無い、しかし突然過ぎて戸惑いを覚えるばかり。


驚愕すべき事は、これで終らなかった。

急報を受け駆けつけた警備兵と看護隊に、彼らを任せ、街へと戻った俺とディーは、ギルド本部へと向かい魔道具の測定を受けに行った。


毎度同じ、赤髪の人に頼んだ。


「げっ、どうしてノベルさんだけ、こうなっちゃうのぉ?」


「又ですか……」


「だってL3の貴方の数値が、L30こえてるのよぉ?、オマケに累積経験値に至っては、カンスト状態の測定不能って、表示されてるんだもん!」


係官は勿論、俺も今の今迄忘れていたある事を、今思い出した。

そこで、ディーも調べてもらう事にした。


「これに乗ればいんですか?」


「そうそう、乗ってからお祈りしたら測定されますから」


ディーは魔法陣に入り、祈りを始めた。

直ぐに陣が光を発し、それが魔法陣全体に拡がると、頭上にランクが表示された。


「マジデぇぇぇ! 、ランク『E』嘘でしょ!」


「えっ! 、私も強く成れたんですか?」


「はい……、そうみたい……です」


神の造った魔法陣が、故障するのは在り得ない。

ディーのランク急上昇は、疑い様のない本物だ……。


ディーに貰ったスキル『進化』、その効果がこれじゃないのか?。

経験値を度外視した急激な能力変化、それが『進化』。


たったの三日で、レベル30相当まで上ったと成ると、数日したら……。

想像したら、怖くなって来た!。


そして、オークに襲われた者達から、俺達の事が広まって行く事に成った。


レベル3の剣士が、オーク仕官三対を相手に、瞬殺したという。


実しやかに、街中に拡がるのにさして時間を要さなかった。












よろしくおねがいします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ