多々、勘違い
狩りの後の話です、よろしくおねがいします
「さて、この兎の死体の山だが……、どうしよう?、ディー」
「し、し死体って呼び方……な、無しにしませんかあっ!」
デイーは、赤目兎の死んだ物を死体と呼ぶのに、青い顔して掌を振りまくり嫌がった。良く分からない心理に戸惑うが、彼女が嫌がる事はなるべく避けたい。
「じゃ……、なんて呼ぶの?」
死体の別称を、ディー自身に決めさせようと質問してみたら、彼女は暫らく沈黙したまま悩み続け、答えを導き出してきた。
「魂亡き骸、っで、どうでしょう?」
「ディー……、それ普通に亡骸という便利な呼称があるよ」
「…………」
死体と呼ぶより、亡骸の方が耳心地が優しいかなぁ。
「じゃ、亡骸でいい?」
「はい、それでお願いします」
って事で、今後は死んだ物を亡骸と呼ぶ事に、固定が決った。
「で、話を戻すと、この亡骸の山をどうするか?、なんだけど」
「食べましょう! 、ノベルさん!」
「これ全部じゃないよな?」
「うっ!」
「無理……ですねぇ……」
良く考えずに、思い当たった事を、そのまま口に出したかっ!。
まあ、二人で一匹なら……、それも有りだが20体はなぁ。
目標10体にしてたが、実際は半分も狩れないと踏んでた事もあって、運搬用のカゴも小さいのしか持って来なかった。まさか調子良く、二倍の獲物を狩れるとは思いもしなかった。
狩りをしてる時は、一体ずつだから気にもしなかったが、これはぁ。
この件に関しては、俺の失敗だなぁ……。
亡骸を置き去りで、街に戻るわけにも行かず、さりとてディーに亡骸の山と居残りしろ、も、彼女には酷な役回りなのは、分かり切ってる。
う━━ん、多少手数料がかさむけど仕方ない。
ディーに、加工系のギルドへお使いに行って貰おう!。
「なぁ、ディーちょっといいかな?」
し…亡骸の山から離れた場所へ、避難しているデイーを呼びつけた。
「はい、なんですかぁ?」
まあ、皆まで言う必要も無いかな。
「街のギルドへ、出張加工の依頼をするお使い頼まれてくれる?」
「はい、了解です。行って来ますっ!」
そう言い残し、ディーは街中へ飛び込んで行ったが、大丈夫か?。
赤目兎の解体の依頼だし、そう難しいお使いでもないか。
まさか、とんでもない職人なんかを、呼んで来ないよなぁ。
あはははは…………、失敗したかなぁ?。
ディーなら、鍛冶屋を呼んで来ても不思議じゃないかも。
嫌な予感がする……。
しかしここは、彼女を信じて待つしかないな、よしっ信じよう!。
━━━・・待つこと数十分。
遅い……、やはり無理だったか?。
俺が行く方が……って、おぁ、戻って来たっ!、ちゃんと複数連れて来たぞ!。
笑顔で、ディーを迎えてやった。
「はあ、はぁ……、ただいま戻りましたぁ、ちゃんと連れて来ましたよぉ!」
確かに……、役割別に頼んで連れては来た様だがっ。
「肉を切る人、服を作る人、そして! 、骨を壊す人、どうですかぁ?」
ディーは、自分成りに一生懸命考えて、確かに今の言葉は間違いではないがっ! 。如何して木工、裁縫、薬剤ギルドを連れて来た?。
ディー顔は、満面の笑顔だが、これは誉められるのを待ってると見たっ。
「ディー、誰を連れて来たのかな?」
「えっと、赤目兎の皮と肉切るのに鋸がいりますよねぇ、取った皮で服を作るのに服屋さんでしょ、そして硬い骨を使う人で、薬屋さんを呼んできましたっ!」
完全に間違いとは言えないが、微妙に違うぞっ! 、第一残った肉をどうするつもりだ?、やはり俺達で完食させるって、言わないよなぁ。
「それで、木工、裁縫、薬剤ギルドに頼んだ訳だ?」
「はいっ!」
自信たっぷりに答えるディー、あの笑顔に怒れない自分が、甘過ぎるのか?。
だが、正確に伝えなかった俺にも非はあるなぁ、連れて来た職人には俺が謝罪しよう。
「すいません、折角来て貰って申し訳無いんですが……
「ガハハッ、問題無いぜ兄ちゃん、兎ならナイフで十分だっ、任せなっ」
木工職人のオヤジは、そう言うと腰のベルトからナイフを取り出し、兎を裂き始めた。器用に、肉から皮を剥ぎ骨を取り出してしまった。
「肉は俺が買い取ろう、食い意地張った奴ばかり居るからなぁ」
「えっ、いんですか?、すいませんありがとう!」
木工職人だけでなく、他の二人まで引き取ると申し出てきた。
「うちは、確かに皮は使え無いけど、皮工の知人に売り付けよう」
「うむ、俺も問題無く、骨を引き取るぞっ!」
なんと、三職人の有り難い申し出で、赤目兎の処分が掃けてしまう。
随分、気持ちの大きな人達が来てくれて、感謝に耐えない。
「だから……、女神の嬢ちゃんを叱るのは止めにしなっ」
「えっ……、私ったら又もや間違ったんでしょうか?」
ディーは笑顔から一変して涙を浮かべかけ、俺達を大慌てさせる!。
「いゃっ、何も問題無いぞっ、嬢ちゃん! 、なぁ、そうだよなっ」
木工職人の大柄なオヤジから、睨み付けられる、問題ある! 何て言った日には、馬鹿でかい手と極太の腕で、張り倒されそうなのは、言わずもがなだっ! 。もっとも、オヤジから言われなくても、ディーに対して間違ったなんて事を、言うつもりはなかったけど。
「ディー、何も問題無いから心配要らないぞ」
「本当……、ですかぁ?」
一瞬、半泣きを大泣きに変えさせたら、どんな声で泣くんだろ?っと興味が沸いたが、それこそ職人オヤジにマジで殺されそうに思えるし、やっぱ笑顔のディーのが良いのも有り、断念する。
「本当だから……、もう泣かないで」
「はいっ!」
そして……、男殺しの微笑みを返してくる。
男四人が、その笑顔でぼーっとなってる姿は、何とも情けないっ。
兎にも角にも、獲物の処分は綺麗さっぱり終了した。
職人のオヤジ達は、手数料も僅かしか取らず、相場より高い金額で引き取っていった。考えてみたら、もし俺が行ってたらこうは成らなかった筈だ。ディーが、多少の思い違いをしてくれたせいで、結果として儲けが多く入った事に成る訳で、怒るどころか誉めても良い。
狩が終わり、獲物の処分も終了した。
次は、今日の狩りの成果をギルド本部で確認したら、本日の予定終了。
金策も、大成功の結果だしディーと、外食にでも行こうかなぁ。
「じゃディー、今日の狩りの成果をギルド本部に確認に行こうか」
「はい、レベル上ると良いですねっ」
「うん……上ればいいね」
機嫌の良いディーに合わせて、そう言っては見たけど。
レベルは、上らない事は予想していた。
だが……、俺達は分からなかったが、ギルドの係官には。
理解し難い、現象を眼にする事に成る。
ありがとうございました。




