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二人きりで哀しい質問されました

続編です、よろしくお願いします。



広い大陸の辺境から首都アーガスまでは半年の距離。

手に入れた地竜達の足の速さは異常な程で、予測より二週間は日数を短縮してしまい、その長い距離の三分の一を後ろにした。




小さな宿場町。


大陸に幾つも点在する小さな宿屋と、旅用品を売るだけの街。

豪華な部屋の在る宿は無いけど、それなりの造り場所に宿を取った。


首都までの行程に、時間の余裕が出来てくると、

立ち寄った街でギルドを見つけると依頼を請けるのも余裕になり。

旅の旅費を稼いだりして野宿をする事も自然となくなる。


でもディーネだけは意外にも気持ちの良いベッドの上より、フィールドの草の方で星を見ながら眠る方が好きと言っている。天空の星空を見上げると、彼女の故郷である天界の事を思い出しては、(なつ)かしんでいたのだろうか?。


地竜達を納屋に(つな)ぎ、案内された部屋に行くと。


「私は少し用があるから外で食事をしてくるので、私の分は無しで良い」


「じゃ、私もお供する! 、リベルタ連れて行ってよ」


用があると言ってる者に、一緒に連れて行けは無いと思うが。


「勝手にしろ……」


リベルタは、一言だけ口にして拒否しなかったせいで、リンはリベルタの後をノコノコとついて部屋を出て行った。




リベルタの用事とは。

『酒場』に行く事なのは聞かなくても想像に難くない。

フロウ村と言う場所で、二日酔いになる程浴びた後はずっと酒場に足を向けなかったが、そろそろ酒が恋しくなったと見え、リンは単純にそれについて行っただけだろう。


勿論、ディーネと二人きりに成れる事が最近は無かったせいで、彼女なりに気を使って、二人に成れる時間を作ってくれたのは理解できた。


   そう言えば、二人きりって随分久し振りかぁ

   


リベルタが仲間に入ってくれる前は、ディーネと二人しか居なかった。

必然的に、何をするにも話すにも二人だけだった訳であまり気にも留めて居なかったけど、今更に二人きりで向き合うと、急に彼女への想いが強く意識されだした。




「ノベルさん、隣に座ってもいいですかぁ?」


重たい沈黙を、彼女の方から破り話しかけてけられ肩がビクりとなる。

ディーネは、両手分くらいの隙間を空けて隣に移動したあと、軽く照れ笑いをする。


「えへへ、二人きりって久し振りですねぇ、最初は何時も二人でしたけれど最近は、リベルタさんやリンさんと何時も一緒ででしたし」


「うん、結構……にぎやかになっちゃったよね」


「私がもっと女神らしく振舞えたら、ずっと二人で居られたのに……」


   なっ、ディーネは何を言いたいんだ?

   ずっと二人で居たかっただって?



彼女が普通の人間の女性だったら、今の一言で完全に上せている。

それを紙一重で耐えの処で耐えていたのは、冒険者に伝わっている言葉のせい。


  『女神との恋愛は禁止、彼女達に手を出して為らず』


なんて物があるせいだ。

初めてそれを耳にした時は、相手は神なのだし当然の決まりと思っていた。

実際に彼女と冒険者を始めたら、『女神』という事以外には普通の女性にしか見えず、次第に心が引かれていくのは必然に思えた。


   破った者はいないのか?


これだけの美貌を持つ彼女達を常に傍に措く事が出来るのに、一人もその決まりを破った者が居ないとは、それの方が不自然に思え信じ難い。身体は強くても、何時も隣にこれだけの魅力溢れる女性が傍に居て、自制心をずっと保てる冒険者ばかりとは限らないじゃないか?。


  

   自分が死んでも想いを伝えれない、触れられないとか

   一体、誰がこんな残極な決め事創ったんだ?



そう感じた時に、疑問が生じた。


   俺達が死んだ後、ディーネ達はどうなるんだ?


契約した主が死亡したら、強制的に天界へ戻される事は知っているが。

天界へ戻った後は?、死んだ元契約者の記憶や上昇した能力は?、地上で生きていた間に彼女達が得た物は、天界へ帰った時にはどうなってしまうか?。



「ねぇちょっと、聞きたい事があるんだけど?」


「はいっ、何ですかぁ?。何でも聞いてくださいっ!」


素敵な笑顔を魅せてくれた彼女は、次に出した俺の質問を聞くと顔を曇らせた。

ずっと後に聞かされる事だが、思いがけず二人きりに成れて俺の言う聞きたい事とは、自分達の気持ちを確かめ合うものと期待していたらしい。



「もし俺が……、死んだりしたらディーは天界に帰ってどうなるの?」


「えっ!」


しまったっ!、この質問は聞いては為らない物だったかっ!。

っと、後悔したが吐いた言葉は戻せない。

俺を見詰める彼女の顔は……。



   そんな……、悲しい事を聞きたいのですね…………



「ノベルさんが……契約した主が命を失った時は、その場で私達は天界へ強制送還を受けます」


一度聞いてしまった以上、悲しい顔をする彼女の顔を見ながら質問するという拷問を強いられる。



「それは知ってるけど、天界に帰った後は?」


「地上に居る時に得た能力は、そのまま保持されます。でも……契約者の主と過ごした全ての記憶は抹消されてしまいます!」


「そうなのか……」


俺が聞いてしまった質問に答えるには、必然的に俺が死ぬ状況を頭に描いてしまうだけでなく、一緒に過ごした記憶を消される事も、改めて覚悟させられるのだ。


彼女が質問の直後に顔を一気に曇らせてしまったのは、今の事を一瞬で頭に描いてしまったせいと、俺は気が付いた。



ディーネは更に言葉を続けた。


「もし、記憶を消されるのを拒んだりした場合には……」


「場合は?……」


「女神としての存在を消滅させられてしまいます……」



ギルド本部で初めて対面した時に、彼女は消滅処分を酷く恐れて俺に縋って来た。

誰だって死は怖い、それが人に受容れて貰えずに理不尽に訪れるとしたら尚更だ。

記憶を捨てるか、記憶を抱いたまま死を受け入れるかの選択を彼女達は迫られる。


   ディーネはどっちを選ぶんだ?


声にしなかった質問を彼女は、聴こえていたかの様に口にした。


「私は……、ノベルさんの記憶を捨てたくはありません。もし貴方が死んでしまったら私は、その記憶を持ったままの方を選びます!」


   だから……、そんな事を想わせる質問しないでぇ!



っと、涙目で訴えられている様に思えてしまった。

こんな言葉を告げられた時に、男の中にはその想いを『重たい!』っと感じて、気持ちが覚める者も居るのは確かだが、俺の場合は別の方へと傾いていった。


質問をミスした俺は、何とか彼女の気を紛らわそうと四苦八苦した時だった。

彼女は急に曇った顔から、何時もの明るい物へ急変させた。



「でも、一つだけ希望があるんですよっ!」


「希望?、何か結果が変わったりするの?」


「はいっ! 、契約した主が女神を連れている時に地上で大きな功績を上げた時には、その後に主が寿命を向かえたとしても、二人が希望した場合には一緒に転生を受けれるんですよぉ」


「ずっと一緒に居られる?」


「はいそうですっ! 、例えばですけど『魔王クラス』の者を倒したりしたらその恩恵を受ける事が出来るのです。だから、ノベルさんともずっと一緒に…………、って私何をっ」


   俺とずっと一緒に居たいと想ってくれてる?




真っ赤な顔して(うつむ)く彼女は、こんな俺と一緒に居たいと想ってくれていた。

一瞬でもディーネを悲しませる質問をした事は、迂闊だったけどそのお陰で良い事も聞く事が出来た。


「『魔王』が何処に居るか知らないけど、頑張ってそのクラスを倒そうよ」


「あ……、はいっ! 、嬉しいです。私頑張りますっ!」



ディーネと二人きりに成った後の出だしをミスした事も、最後には二人で希望を胸に笑顔に成れた事を考えたら、それはそれで良かったのでは?っと、思えさえしてきた。


何時の間にかディーネは、二人に空いていた手の平二つ分の距離を、完全に埋めて身体を寄せていた。それに気が付いた俺が、彼女の肩に手を廻し掛けた時にドアの向こうから気配を感じ、彼女の露出した肩に少し触れた処で、腕を引き戻す事になった。


ディーネは気が付かなかったかも知れないけど。

ドアの向こうの二人の声を俺は、ハッキリと聞いていた。


   ほらぁ、リベルタが興奮するから気が付かれたじゃない


   馬鹿っリン、お前の鼻息があらいからだっ



その後二人が部屋のドアを開けるまでに、かなりの時間を要したのは。

言うまでも無い。




有難うございましたー



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