旅を続けています!
駄女神を再開しました。
どうか、二人と仲間のお話をよろしくお願いします。
リンの母親の形見『霊石』は遠い首都で活動する。
ギルド『スティンガー』の頭が所持している。
俺達四人は、ギルドで請けたクエスト。
『不当に殺された魔族の、霊石を取り返せ!』
それを完遂する為に、辺境の街を出発して早七日が過ぎ。
首都アーベイへと向かっている途中だ。
旅も順調に進んでいると……。
一度、そう言ってみたかったが。
俺達が居た辺境の街を離れるほど、
現れる魔物も、種類と強さも格段に変わってきた。
そして今も、昼食にする山犬を焼いていると、臭いに釣られて魔物が現れた。
現れた奴は、変種のオークで通常の魔物より数段格が上になる。
そんな奴でも俺達が全員で相手をするまでもなく、俺一人で十分だ。
石で囲った中で、火を焚いて肉を焼いているリベルタに向い、一言。
「肉を焼くの、リベルタに任せるよぉ?」
「あー、分かった。そいつはアンタに任せたから、勝手に相手してくれ」
彼女は、俺には見向き見せずに。
一心不乱に山犬の肉を見詰め、焼き加減を確かめている。
心配の、『し』の字もない彼女の態度に、若干の不満を抱いた。
何だよ……、少しは気にして欲しいな
はぁっと、小さく息を吐いた後にディーネに向って指示を出す。
「ディー、何時もの頼むよ!」
「はいっ、任せてくださあい! 『強化』!」
ディーネの『唯一』の、戦闘開始時のお仕事は。
仲間の全ステータスを少しだけ上昇させる、『強化』魔法。
もっとも俺の場合には、他の人とは違う効果が付与される仕組みになっているが、今の俺だとこのオーク程度なら『強化』は必要ない。敢えて、ディーネに戦闘中の仕事を『確実』にこなせる様に、戦闘開始時には必ずやらせている。
ディーネが腕を振り『強化』が発動、俺の頭上から光の粒子が………
うー、ディーめ又もやってくれたな
光の粒子は、リンの頭上から降り注いだ。
意図しなかった恩恵に、はしゃぐリンの素顔が輝いていた。
そしてディーネは、俺に強化を掛ける筈の魔法がリンに飛んだことを不思議がる。
「やほぉー、私の出番だわぁ!」
「あれぇ?、なぜリンさんに?」
張り切るリンの掛け声で、背中には黒い翼と手には大鎌を握って飛び出していく。
二、三歩小走りすると、地を蹴って飛翔するリン。
自分の十倍は有りそうなオークに向って、何も臆する事無く速度を上げて接近して行く。その細い体に、オークの太い腕が振り下ろされるたが、クルリと身を翻しながら腕を斬りおとした。
グワアアッ!
片腕を斬りおとされたが一吼えしただけで、再びリンを目掛けて突進して行く。
両手で大鎌を構えリンは、今は大地に足を着けた。
大鎌を後ろへ引いて水平に構えた彼女は、突進してくるオークへ挑発している。
「ほぉら、この私を潰してみなよっ!」
リンは突撃してきた変種オークを、軽くそして駿速ステップで避ける。
回避しながらも、大鎌の一振りを忘れず黒い巨体から血飛沫が飛ぶ。
それを遠くで見詰める四つの眼。
「あーもうリンの奴、愉しんでるなぁ」
「本当っ、リンさんてば凄く愉しいそう!」
リンが戦闘を愉しんでいる姿を、楽しいそうに見詰めるディーネだが、戦闘開始時のミスを既に頭から消し去ってしまった様だ。
「あのねディー、今……ミスしたの分かってるよね?」
「へ?そうでしたっけ?、ごめんなさいっ忘れてましたっ。えへへへ」
はあぁー、もう慣れたけどねぇ
顔でディーネを笑って許し、心で泣く俺が居た。
この、しょっぱいミスをしなければ、彼女は完璧なのになぁ……。
俺の心中を知ってか知らず課か、ディーネは髪を激しく上下に揺らし飛び跳ねて、リンに声援を送り続けている。
「リンさあん、ガンバレェ!」
その声援を聞こえたかは知らないが。
一声、大きく掛け声をあげてオークの首を斬り飛ばした。
「やああっ━!」
司令塔を失った巨大な黒い身体は、激しい地響きをたて大地へ倒れた。
変種オークの絶命を確認したリンが戻って来る。
「お疲れ、リン」
「獲物を横取りしたみたいで、悪かったねぇ。文句はディーに言ってね」
俺が、彼女に強く言えないのを知っていて言うリンも、なかなかやってくれる。
「リベルタさんっ、見て下さい保存食があんなにぃ!」
ディーネは、山犬を焼いているリベルタにオークを指差し、眼を輝かせて言った。
リベルタはチラリと横目で見た後で、ディーネにデコピンをお見舞いした。
「いっ痛ぁー!」
額を押さえ顔を顰めるディーネに、一言リベルタは物申した。
「ディー! 、オークの肉は臭くて食べられないと何度言わせる?」
「うひぃ……そうでしたぁあ!」
痛がるディーネの横で、顔色変えず肉を見詰めるリベルタ。
「よしっ、焼けたぞ。皆、昼食にしよう!」
「はあい!」
痛がりながらも、手を上げて喜ぶディーネだが、その姿からは、とても天界から降臨した女神様には見えず。まるで、お腹を空かせた子供が、食事を出された時に見せる物、っと言っても過言じゃない。
ありがとうございました。




