真相
続編です、よろしくお願いします
今までの会話から。
彼らは、『スティンガー』のメンバーと断定できる。
十年前に何かを起こした彼らは、街を捨て遠くへ逃げて身を隠した。
そう思い込んでいた。
どうやら、メンバー全員が街を去ったわけでは無かった様だ。
「お前らっ、魔族の味方してそれでいいのかよ?、ギルド本部へ通報されてぇか」
今、目の前に居る連中は俺達の功績を知っている。魔族にやられ負傷者が多数居る状況で、俺達と事を構えるのは自分達が不利だと分かっている。ギルド本部に通報する、なんて脅しを掛けて来るのが良い証拠だ。
「通報したいなら、どうぞお好きにっ! 、多分困るのはあなた達でしょうけど」
「なにいっ!」
十年前の真相を俺達は知らない、しかし如何にも知ってそうな素振りでリベルタは返した。言い返されたリーダー格の奴の慌て様から、過去に報告された内容はでっち上げられた物では無いかと、如何にも怪しい雰囲気が見えた。
頭が居ないが、会話の内容からも彼らは当事者の一人だと、証明されている。本来は頭にぶつけるべき質問を、彼らに投げて答えて貰おう。
「十年前に報告された件……、トーレスさんと魔族の女性が、人を襲う企てをしていたから討伐したと言う話は、真実に間違い無いんですか?」
俺はリーダー格を正面から見詰めて、真偽を問い質した。
「真実に決ってるだろうがぁ! 、何を今更……
嘘だぁ━━!
突然、嘘だと告げる悲痛な叫びが、リーダー格の話を分断した。
魔族女が、ディーネに支えられて立ち上がると、更に話を続けた。
「私の両親は、人を襲う計画等してはいないっ、只、普通に暮らしていただけなのに、こいつらにバレて脅されて仕方なしに祖母の霊石を渡すと、それでは収まらず先に父を殺した後、母もこいつらに殺されたんだっ、私は祖母と母を取り返したくて……」
魔族の女は、頭を下げて涙を溢れさせた。
「そんなぁ……、酷い……、幾ら魔族と言っても」
魔族女から、十年前の真相が語られた。
その話を聞いたディーネは、相手が魔族だと知っても堪えきれず涙した。
「霊石って……?」
「魔族の女性は、死ぬとその身体を『霊石』と呼ばれる宝石に変える。魔族討伐の証としてや見た目の美しさから、超高値で売買されたりするのだ」
リベルタから説明されて、前者より後者の場合が殆どなのだと思った。
要するに、十年前に起きた悲劇はこの『霊石』を手に入れんが為に仕組まれた、人間の醜い欲望が生み出した物だという事が、十年経った今に成って白日にされた。
嘘の報告をでっち上げて、ギルドに報告したと言う訳だ。
それも許されて良い事では無いが、それ以上に腹が立った事は。
困って居る者を助けるべき者が、集団で弱者を襲い気が付かなかった事とは言え、幼い子の前で両親を殺した事が許せなかった!。俺は、幼い頃に魔物に両親を殺され、危うく一緒に死ぬとこを、冒険者に助けられ、その強い姿に憧れ冒険者に成った!。
俺の頭に昔体験した悪夢が役者を変えて浮かび上がる。あの時襲ってきた魔族が『ギルド・スティンガー』に、俺達家族がこの魔族女のと両親に、その姿を入れ替えて浮かんで来た……。
絶対的に違うのは、俺は冒険者に助けられてその姿に憧れ、彼女は冒険者に家族を蹂躙され失い、悲しみと憎しみを植え付けられた事だ。
冒険者の全てが、良い人間だとは流石に思ってはいない。
しかし、こうも卑劣な行為を付き付けられれば、怒りも沸くと言う物だ!。
「あっははは、仲間の治療は済んじまったぞっ、形勢逆転だなぁ、オイッ!」
魔族の彼女が殺さない為に、治癒士には手を出さなかった事が、仇に成った様だ。
「あんた達は、関係無い。ここから早く逃げ…… あぅっ……!」
魔族の女は、胸の下を押さえ身悶えた。
捕縛され蹴り上げられ際に、腹以外に胸もやられ肋骨が折れていた。
「ノベルさん……彼女、肋骨がおれてますよっ!」
「お前達っ……!」
リベルタが弓をリーダー格の男へ狙いを定めようとしたのを、俺は手で制止した。
「うん?……ふっ、お前がケリを付けたいんだな?」
彼女の言葉には、只、無言で頷き答えた。
リベルタは、その想いを汲んで弓を下げて攻撃態勢を解いた。
俺は一人でその場を離れ、連中の前へと身体を曝した。
「貴様、頭がおかしいのか?、一人で俺達を全員を……
ドクン
身体を縛っていた鎖が砕け散った様な感じがした……。
『スティンガー』の一味が立ち並ぶ位置を、少し外し。
剣を上段から大地へと切り付けた!。
ドガッ━━━━ッ!
連中に対する怒りで、一瞬我を忘れ、可能な限りのの力で剣を振り下ろしていた。
剣は空を切り裂き、大地を裂いて突き刺さっていた。
その亀裂は、遥か先まで延び森の木々を薙ぎ倒し、一部は亀裂へと落ちた。
「ひぃっ! 化物か……お前っ」
剣戟一閃で、彼らの戦意は喪失した。
今の一撃を、逸らさずに彼等に向けていたら確実に全員死亡した。
その威力の前に、成す術を無くし立ち尽くすしか、彼らには残されてはいなかった。
「この魔族の女に、二度と近寄るなっ! 、もし俺がそれを知った時は!」
「わ、わわ悪かったぁ! 、二度と近寄らんっ!」
来た時の威勢と笑い顔は消え失せ、彼らは顔面蒼白と成りこの場を逃げ去った。
『スティンガー』達の、情けない逃走姿を暫らく見送った後。
俺は、ディーネ達の横に居る魔族の女の前へ足を運び、話を始めた。
「さてとっ! 、やっと本来の目的を果たせるなぁ」
俺は、そう言って魔族の女に笑いかけた。
「魔族の私を助けるなんて、どうかしてないか?」
「ノベルは、おひとよしだからなっ」
「ですっ、ノベルさんは優し過ぎですからねぇ」
二人に、誉められたのか馬鹿にされたのか、微妙な評価を受けた後で、魔族女の問いには、俺はこう言って答えた。
「冒険者は、困ってる者を助けるものだぞっ、ちっとも変じゃないさ」
ありがとうございました。
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次回で一章が終了します




