標的は
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ギルド本部の前には、街中の冒険者が集ってきた。
「人が多すぎて……、前が見えませんねっ」
ディーネは必死に背伸びしたり、飛び跳ねて前方の様子を見ようとしているけど、さほど背の高くない彼女が幾らそんな真似しても、周囲には大柄な冒険者ばかりが列を連ねている。彼女の努力は、その巨大な背中の壁に虚しく阻まれて、前方は見えやしない。
子供みたいな真似をする彼女の周囲から、微かにこぼれて来くる話に耳を傾けていると、どうやら連絡ミスで、本当は私設ギルトの長だけで良かったらしい。確かに、街が襲われそうとかじゃない限り、全員を召集する必要性は感じない。
「おいっ、帰ろうぜ! 、マスターが残れりゃいんだろ?」
「そうだな……変えるかっ」
群衆の中から、そう言う会話が拡がっていき人の山は、崩れ始めた。
群集の話を聞いたリベルタは、遠い眼をして連絡をミスした奴を予想した。
「どうせ……、メーの奴だろ……あの馬鹿っ」
「係官さんは、メーアさんの他にも沢山居ましたよ?」
「うん、メーアさんとは限らないじゃないか?」
二人で、メーアさん犯人説を否定してみたが、首を振るリベルタ。
「私には分かる、間違い無く、メーに決ってる」
「如何してそう思うんだよ?」
「うんうんっ!」
絶対的な自信を持って、言い切る根拠はなんなんだろ?。
ディーネも、興味津々で頷きリベルタを凝視した。
「ふむ、腐れ縁の感だ……」
「うわぁー」
ディーネは、予想外の答えに仰天して、後ろを歩く冒険者にぶつかり掛けて、睨まれ慌てて引き返す。勢い負い余って、俺にまでぶつかるディーネを受け止めて、それで気が付いたが、集って居た群衆の殆どは自分達の集合場へと退散していた。
「人も減ったことだし、メーから話が聞けるだろ」
一人で本部へと向うリベルタ。
その後ろを、待ってとディーネが追いかけ、一度振り向き俺を呼ぶ。
「待って下さいっ、……ノベルさん早くっ!」
手招きしたディーネに駆け寄り、本部へ向う。
本部へ到着し、施設内へ三人でメーアさんに逢いにいく。
何時ものカウンターの前で、上司から小言を言われる彼女と遭遇してした。
メーアさんは、俺達を見つけバツが悪そうに、笑いながら近づいて来る。
「連絡をミスって、怒られちゃったわ! あはは」
「正解かぁ……」
「うそぉ……」
「へ?……何が正解なの?」
「メーア、そんな事はいいから話を聞かせてくれっ」
リベルタは、自分が連絡ミスの犯人をメーアさんだと決め付けた事を、ばらされる前に、話題を例の『豪い魔物』の話に持って言った。
その話を振られた途端、メーアさんは顔付が強張ってしまった。
「うんそれね、当然彼方達にも関係あるから、良く聞いてよね」
メーアさんは、いつも可愛く笑いながら話してくれるから、とても気持ちが言い。けど、そんな彼女が突然、真顔になって話してくるとこっちも身構えてしまう。
「実は、冒険者ばかり狙って襲撃してくる魔物が居るのよっ、しかも突然、空間から現れて襲い掛かる!」
彼女は、魔物の襲撃を俺達に伝え、最後の『襲い掛かる!』の時に、ディーネを襲うマネをした。
「うわっ! 、それはキツイ!」
「嫌ぁーっ!」
驚いたディーネは、咄嗟に俺にしがみ付く。
それを見たメーアさんは意地悪な笑みを浮かべていた。
「突然……、現れるだと?」
ケラケラと笑っていたメーアさん、リベルタから話を振られると、真顔に戻った。
「そうよ、被害者は既に十名を越えてるわ……」
日時も襲われた場所も、全く違う。
冒険者だけを執拗に狙い、突然現れて襲ってくる。
幸いにして、死者は今の処は出てはいないが、いずれ出てくると予想される。
魔物の正体も不明、当然その目的も不明な上に、何時何処で誰が襲われるかすら予想が付かない。
「対処が難しいけど、知っていればまだマシな筈だと、ギルド長に伝えたって訳よ。個人の冒険者には掲示板と、口コミで広げて貰ってる。彼方達も、十分に注意してよねっ!」
それだけ言うと、メーアさんはグルリと迂回してカウンターの中へと着いた。
「さて、冒険者さん! 、今日はどんなクエストをお望みで?」
ケロっととした顔して、俺達に受注を迫ってきた。
たった今、十分に注意してと言ったばかりなのに、この人もいい性格してる。
「もう……、襲われたらどうすんだよ?」
軽くメーアさんへ抗議してみる。
「ははは……、ゴメンでもあんた達なら大丈夫。ちょっと行って捕まえてきてよっ! 。いやもう、討伐しちゃってくれない?」
笑って冗談に聞こえるが、多分彼女は本気で言ってる事は、間違いない。
眼を瞑った笑い顔が、『早く片付けてきなさいっ!』っと無言の訴えをしている。
「はぁ……、ディー、クエストを選んでくれる?」
「はぁい、わかりましたぁ!」
ディーネは、カウンターに置いてある依頼に眼を通し始めた。
暫らく悩んでいた彼女が、見つけて来た受注の内容は。
『家畜を襲う魔物を討伐して欲しい!』
農家で飼っている家畜を襲われ、困っている農民からの魔物退治の依頼。
いささか、難易度は低すぎる気がするが、彼女も選択の基準を迷っている。
まぁ、今回は何も言わずに請ける事にしよう。
リベルタの意見はと視線を流すと、彼女も頷いた事でクエスト受注は決った。
そして実際、依頼の農場に来て見れば、予想以上に難易度が低かった。
襲ってくる魔物は、小型の肉食で魔物と言うよりは、普通の小型肉食獣だ。
「ふむ、……楽すぎるなこれは」
偶に家畜を狙って来る魔物を、矢で討つだけに近い。
俺が接近する前には、矢で次々と倒されて行く。
走り回って魔物を倒すのを止めて、リベルタに任せ二人の元へ帰る。
「リベルタにまかせるよぉ!」
剣を納め、座ろうとした……。
「嫌━━ぁっ! 、ノベルさん危ないっ!」
「えっ、何?」
ディーネの大声で、ハッとなり気が付くと視界の左から、空間にひびが在る。
そこから、大鎌が薄い青肌の腕に握られ、俺に向って振られ始めた!。
「駄目ぇっ! ノベルさん逃げてっ!」
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