狩人
ぞくへんです、よろしくおねがいします
巨影がディーネの身体へ覆いかぶさり、彼女の影が飲み込まれた。
逃げろの声に、後ろを振り向き魔物の変種と顔を合わすディーネ。
「きゃあ━━━ぁ!」
叫ぶディーネへ伸びる魔物の巨大な腕と爪、彼女は眼をカッと見開き地面へとへたり込んで、ショックで固まり動けない、長い黒髪は地面へ垂れ接地して土を舐めた。彼女へ警告したと同時に動き始めていたが、奴の腕と爪を防ぐには距離が遠すぎ間に合わない。彼女は魔物から一撃を受けて、吹き飛ばされる運命を避けられない。
ヒュゥーン! ヒュゥーン! ヒュゥーン!
高速で突き進み、空気を切り裂く音が後方から迫り、真横を三回通り過ぎ、魔物の腕へと貫通しながら、大きく後ろへと魔物の腕を押し下げた。
「何をしている! 、早く女神を助けろ!」
振り返る前に、後方から大声で指示され振り返らずに従い、ディーネを抱えその場を離脱して、一度魔物から遠ざかった。安全な位置に彼女を非難させ、俺は剣を抜き振り返る。視界の右側に弓を構えた女性が立ち、左端には大型の魔物が入った。
『足を打ち抜く、頭を下げたら首を斬り落とせ!』
だまって彼女の支持に従う為に頷いた。
「ディー頼むよ」
「あ、はい」
ディーネは、大地に座った状態で俺に『強化』を掛け、俺は光の粒子を浴びながら魔物へと向った。
大型の変種には違いないが、豪腕を振り回すだけの攻単調な攻撃のみを繰り返す。更に、その攻撃の動きも大きく鈍い。射手の女性は、公言したとおり、魔物が腕を振り回すのを止めた瞬間、奴の足へ再び三射の矢を放ち見事命中させた。俺は振ります腕を回避していたが、奴が足を射抜かれ膝をついた瞬間、剣を振り払い首を切り落とした。
魔物は、頭を打ち抜かれても、心臓を射抜かれても動き続けるが、首を斬り落とされたらお終いである。巨体は、地響きを立て地面へ倒れて動かなくなった。
一度魔物の亡骸に目をやった後、ディーネの元へ駈け戻った。
「ディー、怪我してないか?」
「はい、大丈夫!」
右手から、俺達を支援してくれた弓使いが、こちらへと歩いて来る。
「どうやら、無事の様子だな」
黒一色の装備の女性は、俺達に声を掛けてきた。
「ええ、ありがとう。えっと……」
「自己紹介をしてなかったな、私はリベルタと言う」
「え!」
「あぁあっ!」
ディーネの、危ない所を助けてくれた女性は、俺達の募集に応募してきたリベルタ本人だった。しかし彼女は、二日ほどは戻らないとメーアさんに聞いていたのだが、突然として俺達の前へと姿を見せた。
彼女の容姿は、髪はディーネと同じ黒髪だが彼女ほど長くない、寧ろショートヘアに近い。身長も男性と見劣りしない、体格も太い訳ではなく自然に鍛えられた筋肉をしていた。
話し方は、大人びた物言いを少し低い声で、語りかける。
「えっと俺は、ノベルです。こっちの女神が……
「おぉ、早速に噂の彼女、駄………
「わあああああ」
リベルタがうっかりと、駄女神と言い掛けたのを、口を塞いで遮った。
「リベルタさん……彼女、ディーネに駄女神って言わないで、凹むと後が苦労するっ!」
「そ……そうか、それは気お付けよう。すまないっ」
改めて、リベルタにディーネを紹介するが、ディーネの笑顔が何故か怖い……。
機嫌良く、笑って居る様に見えるが、言い知れない悪寒を感じ取った。
「随分と、早く仲良しに成りましたねっ」
ディーネは、思いっきり勘違いをしていた。
「いや、これは彼が私の首に着いていた、毒虫を取ってくれたのだっ!」
「ええっ! 、そうだったんですかっ 、噛まれてませんか?」
「ああ、大丈夫噛まれる前に、彼が掃ってくれた!」
リベルタは、咄嗟にデタラメな嘘を言い訳したが、ディーネはそれを信用した。
ディーネが、汚れた指輪を拭くのに夢中に成ったスキに、リベルタが囁いてきた。
おいっ、彼女はあんな見え透いた嘘を信じたのか?
ええ、ディーはそう言う女神なので、覚えて下さいっ
わ、わかった……。
無事に、隊長の婚約指を手に入れ、現地で初の顔合わせしたリベルタと三人揃って、ギルド本部へと帰還する徒についた。
「はい、これですよね隊長さん!」
ディーネは、掌に墓場で見つけた指輪を乗せて、キリングス隊長の目の前へ見せた。
「おおっ! 、これだぁ! 本当に有難う感謝する!」
「これで、無事に彼女さんに渡せますね!」
「ああ、彼女に殺されずに済んだよ!」
「ぶっ!」
ディーネから指輪を受け取ると、キリングス隊長は揚々と守備隊の宿舎へと帰っていった。彼から請けた依頼に対する報酬は、後日彼の実家からの使者が持って来たが、あまりの大金に二人して大喜びする。
「処で……、えっとリベルタさんは、どうして墓地に?」
「リベルタと呼捨てで構わない」
「でも俺より、歳が……
歳がかなり上ですよねっと、言い掛けた時に鋭い眼差しが突き刺さる、歳は禁句らしい。そう言えば、ブロフにも年齢の欄に、数字が記されていなかった。今後は、彼女の前では年齢の話は止めよう、美人の大人の女性からあのキッツイ流し目されたら、心臓に悪い。
「リベっちの用事て、直ぐに済んだらしくて早く戻って来たのよ」
「採用されたのを、メーに聞いて……
「メーって言うなぁっ!」
「うっ、けどメーの方が呼び易くて好きだぞ?」
「私はっ! 、羊みたいで嫌いなのよっ! 、今度呼んだらコロス!」
「わ、分かった!」
二人の会話の後に話を聞くと、一日早くこの街へ戻ったリベルタは、友人でも有るメーアさんから自分が採用された事を告げられた。そして俺達が、キリングス隊長の依頼を請けて、二人で墓地へ向った教えられて後を追って来た。っと言う事らしかった。
最初に、ディーネの感を信じて彼女に決めた事は、やはり間違いでなく正しい判断だった。もしあの時、リベルタが到着して矢を放たなかったら、ディーネはきっと大怪我していた事は明らかなのだ。
窮地には違いなかったけど、堅苦しい御見合いの様な顔合わせより、よっぽど冒険者同士の初顔合わせには、丁度良かった様にも感じてしまった。
そして彼女リベルタとは、この後長い期間を一緒に行動していく事に成る。
何者にも変え難い、戦友として又友として長い付き合いと成る。
その事を、俺達は今は知りえない事実である。
ありがとうございました




