隊長の有り触れた個人依頼
続編です、ディー達は、本部で……、
よろしくお願いします
今朝の騒ぎは、何処からか情報がギルド本部へも流れた様で、係官のメーアさんからは、あの嫌味なな貴族と、山賊顔のオヤジが処分された事を聞かされた。
「朝から大変だったねえ」
「はぁ、最初は意味分からなかったですよ……」
「まぁ、こんな事は二度とさせないから許してね」
「あの方達は、何か……、処分されたのですか?」
ディーネは、自分に怖い想いをさせた相手を、心配しているかの口振りで聞いた。
「ええ、特に貴方達に掴み掛かった方は、厳重注意をされた上に一ヶ月のクエスト受注禁止令を、さっき上司から宣告されてたわよ」
「殴られた訳でも無いのに、意外と厳しく処分されますね」
「当然よおっ、断る度にモンク言われるんじゃ、誰も広告や募集しなくなってしまうわ!」
言われてみれば、至極当然な気がしてきた。クエスト発注や人員募集して断ったら、その度に抗議されて嫌な思いするくらいなら、誰も出さなくなるな、あの山賊顔のオヤジには良い薬じゃないかな。
「処で、噂のカップルは今日はどんなクエスト請けに来たの?」
「うわっ、ちょっメーアさん俺達はそんな……」
「きゃあ♪」
カップルと言われて、ディーネは満更でもない顔をして照れる。
女神と冒険者の恋愛は、禁止事項な事くらいは彼女も知ってると思うが、単純に甘いフレーズの言葉に気持ちが反応して、条件反射的に喜んだ?。
「で、お二人さんは、クエストは何にするの?」
「そうですね…………」
クエストを捜す場合二通りある、ひとつは今みたいに係官と相談しながら決める方法と、専用の掲示板に載せられている広告を、覘いて決めるの二つだが、やはり相談しながら決められる方が、初心者にはお勧めである。
何時もの様に、ディーネがクエスト一覧を食い入る様に、睨みつけていた。
「失礼する、ちょっと話があるのだが、良いだろうか?」
「あら?、ギルド本部に隊長さんが出向くとは、珍しいですね」
「うむ……」
メーアさんは、今声を掛けてきた人物の紹介をしてくれた。
街には、私設ギルドや個人の冒険者とは別に、街を守護する守備隊が常駐しているが、彼はその守備隊の隊長さんで名前はキリングスとの事。
「でっ、隊長さん、何の用です?」
「依頼を発注したいのだが……、出来れば、その内密にお願いしたい!」
「はあ?、どの様な依頼でしょう?、内容によっては内密にするのはちょっと……」
キリングス隊長は、俺達二人に視線を向けてきた。
「この二人に、個人的に依頼をしたいのだが……、聞いては貰えぬだろうか?」
隊長さんは、ギルドを通さずに直接俺達に依頼をしたいらしい。
「うーん、隊長さんは信用できるし、二人も優秀なカップルだけどぉ、ギルド通さない依頼となると何か在っても、フォローが出来ないんだけどなぁ……」
「二人の噂は聞いている、内密にしかも少人数でと成ると、今この街に居る者達では荷が重い。手配書の変種オークを二人で討伐した者ならと、恥ずかしながら頼ってきたのだ」
キリングス隊長とメーアさんの話を横で聞いていると、袖をクイクイっとディーネに引っ張られ、振り向けば、彼女が背伸びして囁いてきた。
「ノベルさん、隊長さんの依頼を受けませんか?」
「ディーは、この人の話を聞きたいの?」
「はい、とっても困ってらっしゃる様で、手伝って挙げませんか?」
「まだ依頼の内容を聞いて無いけど?」
「聞いて、私達では無理ならお断りしましょう」
まぁ、ディーがそう言うなら隊長さんの話を聞くのは、問題は無い。
聞いて無理なら、彼女の言う通り断れば良い。
「えっと、お話を窺います。もし俺達でやれるならですが」
「おお、聞いてくれるか有り難い。」
「ちょっと、ノベルさん本当に良いの?、何か在ってもギルド本部は……」
「困ってる人を助けるのも、冒険者の役目です。俺達で無理と判断したら、ちゃんと断りますから、メーアさん心配しないで下さい」
「二人がそれで良いなら……、じゃあそこの部屋で話してくれる?」
メーアさんは、昨日貸してくれた部屋を指差し、三人でその部屋へと入室した。
隊長さんは、部屋に入るなり机にドンっと、頭を擦り付けて頼みを願い出た。
「頼む……、大事な指輪を亡くしてしまった。捜して欲しいのだ!」
詳しい話を隊長さんは話し出しだが、それは良く耳にする内容だった。要は、魔物の討伐に向い、その討伐中に恋人に渡すつもりの大事な婚約指輪を、その場所に落としてしまったと。
「分かりましたっ! 、お引き受けしますっ!」
話を聞いた途端、デイーネは立ち上がり承諾を宣言してしまった。
「頼めるか?、本当に感謝する!」
どうもディーネは、カップルと言われた事で少し浮かれた気持ちに成ってしまった。そんな所へ、隊長から恋人へ渡す『婚約指輪』を亡くしたと聞いたもので、完全に舞い上がりスイッチが入った。
女神って、皆がディーみたいに『恋する乙女』化してしまうか?。
真相は如何であれ、ディーネが一度引き受けると宣言してしまった以上。迂闊に断ると、ディーネからウルウルした眼で懇願してくる事は、眼に見えている。それをムゲに断ろうものなら、更に面倒な状態に彼女は変身してしまう。
「只、落とした場所が問題なのだ。墓地に大量に魔物が棲み付き、その討伐時に落としたのだが、迂闊に取りに戻れない事情が在る。実は私は……」
俺は、キリングス隊長の依頼を請けた。
墓場に現れる魔物とは遺体の事で、もう誰も訪れる事がなくなった古い墓から、魔物化した遺体が地中から現れ、人を襲ってくる。
「ディー、指輪はまだ見付からない?」
隊長は、それが大量発生した時に討伐に来て、指輪を落としたそうだ。
大体の位置は予想がついている、ディーネは隊長から聞いた付近を捜している。
「うーん、まだ見付かりませんっ」
そして、俺の仕事は捜索しているディーネを、地中から現れて襲う奴を倒す事。
見た目がグロいだけで、弱いのにどうして俺達が?。
隊長の言葉をいうと、『家柄だけで選出された御飾りの隊長』だそうで、一人でノコノコ墓場にやって来て、魔物を倒しながら指輪を捜せない。誰かを連れて来ようにも、個人の落し物を捜すのに隊を動かす事は出来ないと言った。
随分と情けないと思ったが、ディーネがその気に成ってしまい断れなかった。
その当人のディーネも、最初は魔物を気持ち悪がっていたけど、指輪を捜索し出すと魔物の存在を忘れたかの如く、指輪捜索に没頭している。
見つけたぁ!
大声で叫び、目的達成を飛び跳ねて喜び、摘んだ指輪を大きく腕を振り上げ見せた。
その後方から、土が空中へ飛び上がり巨大な魔物が出現した。
それは、さっきまで現れていた奴とは、比較に成らない巨大な魔物。
「くそ、又……、魔物の変種かぁ、ヤバイ……デイー逃げろぉ!」
その巨大な影は、後ろから延びてディーネの身体を覆った……。
ありがとうございましたー




