公主アイリーン
アイリーン公主殿下は華國に貴妃として輿入れされた我が国の王族に連なる令嬢を母に持つ、黄金の髪色と紅玉色の瞳を持つ小柄な娘で、従者に支えられ、或いは抱え上げられて散策する姿は良くも悪くも人目を引いた。
「王太子殿下と言う婚約者がありながら、従者とはいえ、異性に身体を触れさせるとは」
と心無い発言をする者も数多くいた。
学園に入学したアカネは、アイリーン公主殿下と親しくなった。
アイリーン公主殿下が、貴族学園で冷遇されるアカネに救いの手を差し伸べて下さった事はどの様な謝辞を並べたてても足りない程である。
アイリーン様の他、ベルナデット・ラングレー侯爵令嬢、テレサ・バネットセレナ伯爵令嬢、アントーニア・フョードルヴナ伯爵令嬢と親しくなったと嬉しそうにアカネは手紙で知らせてくれるのだった。
彼女達は聖女と言う存在に熱に浮かされた様に夢中になる同年代の貴族令息達について独自に調査し、
「凡そ、教会で語られる女神の教えがその源である」
と言う結論に至った様だ。
ラングレー嬢は教会の主催する市場において、気にかかる品がありましたの、と我が家に同じ品を届けてくれた。
それは、ハッカ飴に似た、特殊な薬だった。
一言で纏めてしまったならば、所謂洗脳薬であり、悩める若者達はその薬を薬と知らずに摂取する事で
「女神信仰の教えに基づき、聖女を誰かの手元に。
可能であれば王族か貴族の元に導かなければならない」
と言う思考に誘導されていた様だ。
以前より女神信仰の危険性を危惧なされていた王妃陛下は、王太子殿下が卒業パーティーで実行しようと御友人と結託して作り上げたアイリーン様の断罪劇を利用し、殿下達を北の魔獣暴走鎮圧に配置する事で教会の真意を炙り出すと決定されたと聞く。
「もし宜しければ、わたくしと共に国に来て下さらない?」
アイリーン様はことある事にアカネに誘いをかけている。
アカネは平凡な生活を望んではいるが、茶菓子や魅力的な堕落の提案をアイリーン様がされたならば、華國に旅立つ予感がある。
公主アイリーン
華國での名前は藍琳。貴妃の第2子であり、華國の守護精霊、麒麟と常に共にあるとされる。
従者の灼曄はアカネ曰くムキムキ系ゴリマッチョのイケメン。
同性愛者、と言う訳ではなく、アカネだから好き。




