アカネと言う少女
その娘は、12歳でありながら、とうに成人した女性の様な雰囲気を醸し出していた。
アカネは大陸の東の最果て、華國の更に先、謎多き島国の血筋である。
アカネは、「転生」について、己れが知りうる限りの、「非科学的ではあるが、起こり得る事象」を語ってくれた。
その話を聴きながら私は、聖女として存在しながら、歴史の闇に葬り去られた幾人かの聖女も、アカネと同じく、この世界とは異なる世界からの転生者ではないか、と判断した。
アカネから見て、この世界は以前の生において友人がのめり込んでいたげぇむ、「乙女げぇむ」と似ている、と口にした。
「乙女げぇむ」とは、恋愛小説の様なものであり、読み手が主人公となり、異性との恋愛を楽しむものだと言う。
その「乙女げぇむ」から発展した文学の分野である「悪役令嬢もの」と呼ばれる小説を、前世の友人の勧めで嗜んでいた、とアカネは言った。
「乙女げぇむ」なるものに登場する、恋愛においての好敵手に相当する人物に焦点を当てた恋愛小説であるのだと言う。
冤罪による断罪で追放された令嬢が、元の婚約者よりも身分や能力が高い人物に見初められ、新たな婚約者と共に汚名を雪ぐ話もあれば、自らの実力で社交界に返り咲く話もあるのだ、と。
とはいえ、アカネ自身はこの世界を「物語の世界」等とは考えておらず、聖女としての力があり、それが自分の役割であるのならば、それを全うするだけだ、と言っていた。
恋愛に興味は無いのか、と聞けば
「イケメンは鑑賞用に限る」
と返ってきた。
イケメン、とは見目麗しい男性の事である、とアカネは付け加えた。
アカネは、女神信仰が広まった後のこの国の聖女には珍しく、守護精霊である雷獣の姿を目視する事が出来る稀有な娘である。
雷獣が、どの様な姿をしているのか、と問えば
「ピ○チュ…、えーと、えっと。黄色い体毛で、鼠と兎を足した感じ、かなあ?」
と返ってきた。
言いかけた名前は、前世でお気に入りの物語に出て来る生き物のものらしい。
アカネ
異世界転生したなあ、と思っていたら聖女だー
なんか、某国民的アニメに出て来るもふもふも一緒だー、くらいの感想の聖女。
誰もいないところで
「ピ○チュ○、10まんボ○ト!!」
となんちゃってトレーナーごっこをしている事は内緒




