隣の席の女の子と誕生日
尾行をしてから1日が経った。
朝が来てしまった。校門前に着いてしまった。そして、教室に着いてしまった。
どうしよう。みこちゃんはまだ学校に来ていないみたい。まあ、まだ朝早いし。
「おーはよ!」
みこちゃんの声だ。
どんな顔をしていたらいいのかわからない俺はぎこちない表情である。
「どうしたのよそんな表情して。っていうか!今日のお昼、ぜっっっっったいに空けといてね!放課後も!」
“絶対”で随分と貯めたなあ。
「わかった。空けとく。」
「ありがと!」
こうして、1日が始まった。ぶっちゃけ、昨日のことは気付かれていなかったためなかったようなものだろう。先輩もこう言ってたし。うんうん。
ーー
お昼休みとなった。俺はみこちゃんに園芸部の部室へと呼び出された。
もしかして告白!?だなんてそんな妄想と期待をしつつも階段を上がる。
そんなことあるわけないのにね。
部室の前に着いたので一回深呼吸をしてから扉を開く。もしみこちゃんが俺に対する告白だった時のために一応心を落ち着かせておいたのだ。
扉を開いた先はまさかのパーティー仕様の部室。ホワイトボードには“お誕生日おめでとう”の文字とみこちゃんが書いたであろう可愛いイラストが散りばめられていた。
「お誕生日おめでとーう!!」
みこちゃんがクラッカーを鳴らす。
「ゆーくん、今日誕生日なんでしょ?先輩から聞いちゃったんだ〜!」
うきうきしている声で俺に話しかける。朝から落ち着きがなかったのはこのことを用意していたからなのか。授業中、よくペンを落としたり、ノートに落書きをしていたりしていたのはこのせいなのか。
というか、誕生日だったの忘れてた。
「その顔、もしかして誕生日だったの忘れてたんでしょ〜」
みこちゃんはジト目になって俺に詰める。
「その通りです。」
肩身が狭くなる俺。
「もっと自分を愛してあげてね〜?私なんて、自分が誕生日の時は超絶甘やかしちゃうんだから!食べたいものはたーくさん食べるし、言いたいことはぜーんぶ言っちゃう!我儘だって言われてもせっかくの誕生日なんだし仕方ないよね!ってことで、ゆーくんのお願い、何か聞きますよ?」
みこちゃんはニコニコしてお話しする。そういえば、この前も話していた時に“イベントごとの中で一番誕生日が好きだ”と言っていたなぁ。
「ありがとう。じゃあ今日、一緒に帰ろう。」
急にお願いと言われても困ったので、ありきたりなものにしてしまった。なんか、もっと捻ったやつあっただろ、、、言った後に後悔する。
「え、嘘。最初からそのつもりだったよ?でも、急に“お願いごと聞くよ”だなんてすぐ思いつかないよね。期限は次のゆーくんの誕生日までなので有効に使ってください!じゃあ、お昼食べよう!このバースデールームで!」
“最初からそのつもりだったよ”?
こんなことをサラッと言えるみこちゃんが大好きだ。でもこんなこと言われたら誰だって恋に落ちてしまうだろう。まあ俺はとっくのとうにもうみこちゃんに落ちてるのだがな。
「お願いごと、考えとくね。ありがとう。」
俺が力一杯の笑顔になるとみこちゃんの表情がより明るくなった気がする。
「うん!!!!あ!あとこれあげる!」




