隣の席の女の子と恋のライバル
翌日の放課後、園芸部の部室にて。
「よ〜!藤田。久しいな。元気か?」
「そこそこです。」
「そうだろうな。顔がそう言ってる。」
「最初からわかってるなら聞かないでくださいよ。」
「これもコミュニケーションの一環だ。」
東雲先輩に会うのは天野先輩と五十嵐先輩との三角関係騒動以来だ。だからなのか、ちょっとだけこの偉そうな話し方が懐かしく感じた。
「私が当てよう。」
先輩は少し考える。
「藤田に恋のライバルが出現したんだな。」
あ、当たってる。
「お、当たってるんだな。」
先輩は小さくガッツポーズをした。俺の恋愛はそんなゲームみたいな感じなのか、、、
「で、どんな奴なんだ?恋のライバルは。」
先輩は話を聞いてくれそうだ。
「とてもチャラそうなやつでした。」
口調が強くなってしまう。
「なんか、好きって言葉を使い慣れてそうな感じです。」
「なるほどな。」
手を顎に当てて先輩は想像しているが、あまりピンと来ていないようだ。
「五十嵐先輩を真逆にしたような感じの人です。」
「なるほど。」
先輩は合点がついたようだ。
「さっき、“一目惚れなんだ。好きになっちゃった”って。」
「一目惚れとはなんという人たらし。そんなことを言えるほどであるのならば、恋のライバルとやらは余程のいい男なんだな。」
「可愛いのも面白いのも優しいのも全部僕が知ってるのに、、」
ちょっとしょげて、机にふせるになる俺。
一方、先輩は外を眺めはじめた。
「だが、お前らが関わり出したのもつい最近だろう。私たちの恋愛模様に巻き込んでしまったりとか、濃い思い出はあったがな。心琴も兼部しているから毎日来ているわけでもないし。だから、恋のライバルと藤田は同じステージから始まってるんじゃないか?」
た、確かに?
「でも、毎日隣の席で話してますよ。」
思わず納得しかけてしまいそうだった。
「連絡も週に5回くらいはとってます。」
いつも楽しく話している。
「春休みに2人で遊園地も行きました。」
あれだって楽しいって言ってくれた。
「何より、好きの気持ちは誰にも負けてないと思います。そこらの一目惚れなんかよりは比じゃないほど愛はあるはずです。いや、あります。」
先輩の方を見ると、ニヤッとしていた。
「それでこそ私の後輩だ。その調子で行け。応援しているぞ。」
「先輩、、、」
「心琴も良いやつに好かれたな。」
「せせ先輩!?」
「なんだ。本当のこと言ってるだけだぞ。こんなに人のことを想えて、優しくてかっこいい奴他にいないだろ。」
「先輩、そんなこと思ってたんですか?」
「心琴目線の話だ。」
楽器の音が聞こえ出した。
ちょうど吹奏楽部が練習を始めたようだ。
素敵な先輩を持ったな。俺。




