5.
ツインローズ王国にできたダブール商会の新しい支店。外国の商会のものだが、かなり大きな店舗になるようだった。その視察に商会の会長ことアッキー本人がいた。黒髪碧眼の美しい女会長は顔立ちが目立つからということでなるべく地味で目立たない格好をしているのだが、すぐにリリィとジェシカに見つかった。
「――というわけで私達は殿下と国王夫妻を捕らえに行くことにしたの」
「何をどうすればそのような話に……?」
応接室でリリィの話を聞いたアッキーは頭を抱えそうになった。まず、王族が国王夫妻が長期間国を出て旅行に行くのもおかしいし、王太子が連れて帰るために国を出るのもおかしい。更に、王太子の婚約者が部下を連れて王族を迎えに行くという名目で捕らえに行くというのも……ツッコミどころ満載だと思わずにはいられなかった。
「……相変わらず行動力がすごいお嬢様ですね」
「褒め言葉として受け取るわ」
顔が引きつるのを我慢してアッキーは商人フェイスで話を聞いた。
「王族を公爵令嬢が捕らえに行くって……それは大変な状況ですね。第二王子殿下が哀れすぎるというか大胆すぎるというか、……っていうか国王夫妻のせいじゃないですか。それで彼らの行く先の情報と最短ルートを知りたいと言うことですね?」
「話が早くて助かるわ。その様子だともう目星がついてるの?」
「はい。間違いなくウィンドウ王国の温泉地ですね。何もなければ国王夫妻はそこに行くでしょう。殿下もそれを知っているご様子」
アッキーはカバンから地図を取り出して細かく線を引いたり矢印を書いたりする。すると現在地とウィンドウ王国の温泉地までの最短距離の経路が出来上がっていた。
「こういう経路で上手く進んでいけば将軍どころか王家の方々よりも先に温泉地にたどり着けるはずです」
「ありがとうアッキー。ここまで細かい最短経路は貴女にしか作れないわ」
「いえいえ、これも仕事だというだけです。報酬ももらってますし」
「ジェシカ、こういう経路になるんだけど行けるわよね?」
リリィはジェシカに経路を見せる。すると、ジェシカはにやりと笑う。
「これは現在の国王達の場所まで記載されてますね。しかも私達がこの経路で進めば先に温泉地に到着できる。いい感じに待ち伏せできそうですね」
「ええ、でも国王側には近衛兵と三剣士もいるから、多分……」
「戦うことになるわけですね。腕がなりますよ」
ジェシカはやる気満々だと言わんばかりに大きな笑みを浮かべる。まさに武人の笑みだった。おそらく、近衛兵と三剣士を相手に戦うつもりでいるのだろう。




