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「もう我慢できない! いつまでも遊ぶためと頭皮を気にして国外旅行巡りなんて続けさせられるものか! 次の旅行先はウィンドウ王国の温泉だったな!?」
「……そうですが、どうなさるおつもりで? 騎士を派遣しますか?」
「違う! この私が先回りして二人を捕まえて帰国する! 一緒についてきている近衛兵もだ!」
「ええっ!?」
コアトルは目を見開いて驚いた。国王達を連れ戻すためにトライセラも国を出て行こうというのだ。そうなると王宮がこんなに忙しいのにもかかわらずに王太子までいなくなる事になってしまう。
「言っておくが止めても無駄だぞ! 私はもう限界なんだ。いつもでも理不尽な親の分の仕事まで押し付けられたくないんだ!」
トライセラは外出の身支度を始める。本気で国王たちを連れ戻そうとしていると悟ったコアトルはトライセラを止めようと…しないで、ウンウンと頷いた。
「そうですな。確かに陛下達の行動は目に余るものがあります」
「え?」
「いい加減、両陛下には戻っていただかないと困りますな。分かりました、止めはしません。ただし、私も一緒に付いていきますぞ!」
「え、ええ!? ちょ、い、いいのか!? いや、その前にコアトルもついていくの!?」
トライセラは予想もしていなかったコアトルの発言にひどく驚く。一緒について行くと言われるなんて……。
「当たり前でしょう! 王族で唯一まともなトライセラ殿下にもしものことがあってはなりません。私は殿下の執事ですので、殿下をお守りする義務があるのです! どこまでもついていきます!」
「うおおおおおぉぉぉぉぉっ! コアトルぅぅぅぅぅッ!」
トライセラはとても感激した。仕事三昧の日々の中で自分の味方はいないと錯覚していただけに、一緒についていくとまで言ってくれるコアトルの発言が嬉しくて仕方がなかったのだ。
「ならば共に行こう! あっ、混乱を極力避けるために置き手紙を書かないと!」
「流石は殿下。こんな時まで真面目なのですね。では、その間に私は私達に賛成して力を貸してくれる者達に声を掛けていきましょう。武官なのに書類仕事まですることになってしまったコーク・ローチ隊長達なら喜んで着いてきてくれるはず……」
「そう言えば彼らもそんなことに……何としてでも父上と母上を連れて帰ってやる!」
こうして、第二王子で王太子のトライセラ・ツインローズと執事コアトル・ケツアールは、王宮で護衛隊を率いるコーク・ローチ隊長とその部下4人と共に王宮から姿を消した。愚かな国王夫妻を連れて帰るという内容の置き手紙を残して。




