11.
「お嬢ちゃん達やるねぇ……後はオレとアンタだけだね」
「そのようだな。近衛兵長サム殿」
「どうだい、オレに勝てば馬鹿国王を好きにしていいってのは?」
「私が負ければ我々は大人しく国に戻るということか。いいだろう、乗ってやる」
「なら、やろうぜ!」
サムは抜刀の姿勢のままジェシカに向かってくる。ジェシカもまたサムに必殺技を繰り出す。
「必殺ヘブンズトルネード!」
「居合切り!」
サムの抜刀は同時に攻撃になる。勢いよく抜刀された剣はジェシカの技を止めた挙句、勢いでジェシカを後退させた。だが、ジェシカはすぐさま次の攻撃に出る。
「必殺カラミティストライク!」
「早い!?」
地に足がついた直後に回転しながら勢いよく突撃し、目にも止まらぬ速さで斬撃を繰り出す。その切り替えの速さにサムは一瞬驚き、動作が遅れた。剣で防ごうとしたが失敗した。
「……ちっ、ちと分が悪くなっちまったな」
サムは真正面から剣で受け止めたためにジェシカの技の反動を受けた。利き手のダメージは状況的に痛い。ただでさえ老人ということもあり、これ以上の戦闘は不利だった。
「こりゃあ、オレ勝てねえわ。お嬢さんの勝ちだよ」
「私はまだ続けてもいいんだぞ?」
「いんや、オレが続けらんねえ。……それにあの馬鹿国王にもお灸を据えてほしいんでね」
「なるほど、承知した」
サムはその場に座り込み、ジェシカは国王夫妻のもとへ向かった。サムが敗北しジェシカが迫る、そんな状況に国王は激昂した。
「何をしておるのだ! 近衛兵ども! こ、この女をすぐに排除しろぉ!」
国王の見苦しい姿にジェシカは汚いものを見るような思いだった。かつてリリィの婚約者だった男を思い出さずにはいられない。
「無駄だ馬鹿国王、無駄に長い視察もここまでだ。流石に第二王子と王宮の者達が不憫だからな」
「何を言うんだ! 吾輩の頭皮の再生のために時間を費やすことは無駄ではない!」
「せ、せめて温泉に浸からせなさいよ! 楽しみにしてたのに!」
「…………」
ジェシカは思った。そして、そのままの思いを口にした。
「……流石はあの第一王子マグーマ殿下の親だ。言ってることが最低だ」
「「何っ!?」」
ジェシカから侮蔑のこもった言葉を聞いた国王夫妻は逆上しそうになったが、そのジェシカは剣を握っていた。
「王宮を混乱させた報いを受けるがいい。必殺チャーミングレイブン!」
それは、とてつもない速さで剣の切っ先で突いて突いて突きまくる技だった。あまりの速さで剣を突く光景は、無数のカラスが襲いかかってきているような錯覚を思わせる。しかも的確に相手の痛い場所を突いてくる。




