第四幕:事実の確認
【第四幕】
やあ、君。
誰かに言われた事を、
そのまま正しいと思っていないかい?
頭の良し悪し、力のあるなしで、
君は他者に権利をわたす。
そんな判断の放棄をしたら、
最悪な結果を招く事がある。
最高の哲学者を毒リンゴなんかで、
始末することさえある。
早速だけど、小人のグリッズルの背中を追うよ。彼の中には、他の小人にはないものがある。
正しさを見極めるために、自分の足で動く意志だ。
さてーー、君は?
君にはあるのかな?
第三幕では、小人のグリッズルは、仲間の小人から離れた。
ボクらは、それを見た。
グリッズルは黒い森の木々を、問題なく歩いていた。盗賊や狼などの縄張りを彼は知っていたし、彼らが未知を恐れるのも知っていた。
知らない場所に出くわすことは、よほどの事がない限りは安全だ。
彼は呟いていた。
「クワークル。友よ。
君の言った神はボクらの神じゃない。
ボクらの神は、
ずっと前に、
ーー土と一緒に埋められた。
ーー風と共に吹かれて去った。
ーー炎として消えたんだ。」
彼は灰色の外套をギュッと両手で掴んだ。
黒い森の境界線を彼は越えた。
それから岩山から下る細い石畳の道を進んだ。
もうすぐで、グリッズルは街に着くだろう。
街は谷間にあった。
木と石造りの家々が並んでいた。
すぐ側で小川が流れ、
市場の喧騒や馬車の車輪の音が響いて、聞こえてくるだろう。
グリッズルは、市場へと向かった。
そこで、ある男から話を聞くためだ。
町の広場には、木の屋台が並んでた。
売る者と買う者、暇な者たちがいた。
その中に、七人の小人の知る行商人がいて、彼に話しかけた。
「おい、行商人。話がある」とグリッズルは、屋台の上でクズ石を弄ってた行商人に声をかけた。
彼は周りを見てから、小人に気づいた。それはパッと見、子供の背丈だった。
「なんだ、ゴブリンか。森の中から出たら、危ないぞ。戻れ」と行商人は嫌悪感を混ぜて話した。
「ボクのところに女が来た。白雪姫を名乗ってる。ーー何か知っているか?」
行商人は片眉を上げた。
「白雪姫? ああ、そういえば、行方不明の姫がいると、衛兵が話していた。ホンモノなのか?」
「わからないから、
ーーここに来てるんだ。
どんな女だ。白雪姫は?」
「噂じゃ、黒髪と白肌をした華奢な女。美女らしい。だが、頭がおかしいって噂だ。ーーじっさい、見たいな。」と行商人は目を細めた。
「なら、違うな。その女は黒髪だけど、冬眠前のクマのようだ」
行商人は、それを聞くとグリッズルに興味を失った。手で追い払う仕草をした。
その時、市場の中央で声を張り上げる男がいた。彼は白い短髪だが、精悍な顔をしていた。黒いローブに身を包み、彼の右手には十字架が握られてた。
彼は、こう歌った。
「神よ、この国は呪われてる。
暗い森には悪魔が住む。
人の宝を掠めとる。
人間の住むこの地ですら、
腐敗の魂の気配がする。
魔女が城にいて、
夜な夜な神を呪う。
鏡を使って、
永遠の美しさを見つめてる。
その為には、
悪魔に魂を売り渡す娼婦が、
この国を治めている。
罪深きものどもに災いあれ!」
グリッズルは、この男が嫌いになった。この男の神はもっときらいだった。
彼は唾を石畳に吐きつけた。
彼は女王に会うことにした。
街中では、
彼は誰からも相手をされない。
なら、女王に直接聞いても変わらない。
彼の視線は街の奥にむけられた。
谷間の先だ。
その先には、別の黒い森が覆っていた。
その黒い森を越えると岩山の頂にそびえる。遠くからでも、鋭い塔のシルエットが見えた。
そこに、女王は住んでいた。
(こうして、第四幕は鋭い塔で幕を閉じる。)




