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イザベルと魔眼①

「……どうしようかしらこれ」

 今私の手には、出所不明の魔眼が七つも入った箱がある。半ば押しつけられる形で渡されたこの魔眼は、自分の目にはめこむことで強力な武器になるものらしい。これから何度も、さっきと同じように魔物と戦うことになる私にとっては、遠距離で使える武器というのはとてもありがたいものだ。これを使えば回復による支援だけではなく、魔法を使った火力の向上にまで貢献できるようになるのだ。

 パーティでの私の立ち位置は当然、重要なものになるだろう。一人で二人分の仕事ができるのだから、大事にされないはずがない。これを使えば、私は私が望んでいる在り方に一歩近づくことになる。それは間違いない。

 ただ……盗品かもしれない物を大っぴらに使って、大丈夫だろうかという不安がある。万が一、これを使っているところを魔王国の人に見られでもしたらどうなるか。

 間違いなく、揉めるだろう。あの女はなぜ、魔王国の人間でもないのに魔鉱石を使っているのだと、怪しまれるに決まっている。ただ声をかけられるだけで済むならいいが、最悪私は、魔王国で盗人として指名手配される可能性だってあるだろう。そうしたらもう、私はどこにも行けなくなる。

 魔王国周辺には近寄れなくなるし、王国に帰っても、私がリサだとバレる可能性があるから派手に行動はできない。アレス神国なら自由に活動できるだろうけど、あの国で私が幸せに生きていけるとは思えない。だから必然、私はコソコソと周囲の視線から隠れながら、逃げ続けながら、生きていくことになるだろう。

 うん。やっぱり、私がこれを使うのは無理だ。バレた時のリスクと、使うことによるリターンが釣り合っていないのだから、使う道理がない。

 貰っておいてなんだけど、これは封印することにする。普段は物入れにしまっておいて、もう一度見たくなった時だけ、取り出すことにしよう。持っているだけで危険なのは間違いないが、この綺麗な魔鉱石を捨てるのもなんだかもったいない。観賞用の宝石として、大事に保管しておこう。


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