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仕事

スマホのアラームが鳴り、目が覚めた。

アリシアもアラームの音で目が覚めたみたいだ。


「おはよ。」


「おはようございます。今日も良い天気みたいですね。」


「そうだな。」


何時もだったら仕事の日の朝、特に月曜は憂鬱なのだが、今日は久しぶりに気分が良い。

これもアリシアの御蔭なのだろうか?


「朝飯は昨日のカレーで良いか?」


「うん♪ あれ美味しかったし、良いよ~」


「まぁ、お昼もカレーになっちゃうけどな。」


「毎日でも大丈夫だよ?」


「いや、さすがにそれは俺が嫌だから却下だ。」


「え~!」


「一応説明しておくな、この季節なら冷蔵庫に入れなくても大丈夫だろうから、このままコンロに置いておくぞ。

 食べる時に火を点けて、温まったら消すんだ。出来るよな?」


「うん、大丈夫~」


「後は炊飯ジャーのご飯をお皿に盛って、カレーを掛けるだけだ。やってみて。」


「は~い。」


どうせお昼はやらなきゃならないんだし、アリシアに全部の作業を任せてみることにした。

ガスコンロの火を点け…


「強火だと焦げるぞ。ツマミは真ん中辺りで大丈夫だ。」


「はい。」


鍋がグツグツと言い出した。


「温めるだけだから、その程度で火を止めて良いぞ。」


「うん。」


後はご飯を持ってカレーを掛けるだけだ。

これについては問題無かった。

テーブルに並べ、朝食を取ることにした。


「ん~!! やっぱり美味しい~!!

 でも、昨日より美味しくなってる気がするんだけど、気のせいかな?」


「確か一度冷めると、カレーが野菜に染み込むんだったかな。それで美味しくなるらしい。」


「へぇ~、そうなんだ。」


食事を済ませ、歯を磨いて身だしなみを整える。

スーツを着て、後は会社へ行くだけだ。


「じゃあ、そろそろ仕事に行って来るが、大丈夫か?」


「たぶん?」


「何か不安だが仕方がない。出来るならで構わないから、洗濯物を干して掃除だけしてくれると助かる。

 お昼はカレーを温めて食ってくれ。夜は帰ってから作るから。」


「うん。」


「それ以外の時間は好きに過ごして構わない。テレビを見てても良いし、文字の勉強をしてても良い。」


「わかりました~」


大丈夫かな? でもどうしようも無いし、アリシアを信じるしか無いか。


「じゃあ行って来る。」


「頑張ってください。」


「おう。」


俺は仕事へと出かけた。


・・・・


「おはようございます。」


職場に到着した俺は、挨拶をして部屋の中に入る。

それと同時に課長に呼ばれた。


「木村、今日の会議の資料は出来ているか?」


ちなみに木村は俺の苗字だ。


「はい? 何の会議ですか?」


「今日行う新商品のプレゼンのための資料なんだが、加藤からお前に言っておくように頼んでおいたんだが、聞いて無いのか?」


「聞いて『あ、俺ちゃんと言いましたよ。』ん。」


突然声を掛けられた方を見ると、同僚の加藤がニヤニヤしながら言ってきた。


「いやぁ~、エリート様はこんな仕事したくないみたいなので、見かねて俺がやっときました。」


「そうか、助かるよ。」


今ハッキリと分かった、コイツはワザと伝えないで自分の手柄にしようとしていたな。

しかも、俺の評価を下げるのもついでにやりたかったのだろう。

何時もだったら加藤の前だと黙ってしまう所なのだが、今日は不思議なことに何かそう言う気分にならなかった。

なら、保身のためにも反撃することにした。


「課長、ちょっとその資料を見せて頂いて宜しいでしょうか?」


「いや、君は自分の仕事をしてくれれば…」


「この案件は私がやって来たプロジェクトですので。貸してください。」


俺は課長より資料を奪い、中身を確認する。


「課長、ここの数字が間違ってます。これでは正しい結果を得られることが出来ません。

 後ここ、これでは致命的な欠陥になる恐れが有ります。至急直します。

 おい加藤、この資料のデータを至急私にメールしてくれ。」


「…チッ、分かりましたよ!」


そうって加藤が自分の席へと戻って行った。


「木村、どういうことだ?」


課長は今のやりとりから、何か違和感を感じたみたいだ。


「課長、私は加藤から何も聞いていません。資料の話は先ほど知りました。

 でも、これは私の不手際が招いた物です。申し訳有りませんでした。」


何だかんだ言っても俺が原因で起こったことだ。しっかりと謝っておく。


「そういうことか…いや、この件は後回しだ。至急資料を作ってくれ、頼んだぞ。」


「はい!」


急いで席に戻りPCの電源を入れる。

メールソフトを起動すると、大量のメールを受信する。

急ぎの案件が無いか確認していると、新たに1通のメールが入った。加藤からだ。

流石に課長の前で話したことを無視するまでの度胸は無かったみたいだ。


「まずはこいつを片付けるか。」


添付された資料を開き、修正をすることした。


・・・・


資料を何とか会議に間に合わせることが出来たのは幸いだった。

あのまま会議が始まってたら大変なことになる所だった。

さて、休憩がてらトイレで用を済ませてこよう。


トイレに入るとそこに加藤が待っていた。

こいつ俺が来ることを知って待っていたな。


「よくも恥をかかせてくれたな!」


威圧的な態度で俺へと迫ってきた。

何時もだったら委縮するのだが、今日は何故だか平気だ。


「自業自得だろ?」


俺がそう言い返すと頭に血が上ったのか、いきなり殴りかかってきた。


ドカッ!


さすがに避けられない俺は、そのまま掃除道具入れの扉に激突した衝撃で扉が開き、そしてそのまま掃除道具へと突っ込み気を失った。


・・・・


「…はっ!」


「ん? 気が付いたか。体の調子はどうだ?」


鼻が痛いがそれ以外は特に痛みは無いかな?


「あ、はい、特に問題は無さそうです。

 えっとここは…医務室?」


「お前はトイレで転んで運ばれてきたんだが、覚えて無いのか?」


「えっと、確か加藤に殴られて…あれ? その後は覚えてない。」


「そうみたいだな。後で話は聞かれると思うが、正直に話しておいた方が良いと思うぞ。」


「はぁ…」


「まぁ、鼻血だけだだし、体に異常が無いなら、部長の部屋に行くと良い。」


「ぶ、部長の部屋ですか!?」


「詳しくは知らんが、ここに君を連れてきたのは部長だぞ?」


「わかりました。」


何を言われるんだろうか、俺はビクビクしながら部長室へ向かうことにした。

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