はじめてのおつかい
今日はもう勉強は無理だったので、テレビを観ながらまったりと過ごす。
やっぱりアリシアはテレビに夢中だった。
そろそろ夕刻も近いし、洗濯物を取り込んで、夕食の食材を買いに出かけることにした。
「アリシア、そろそろ終わりにするぞ。」
「後少し、後少しだから!」
「キリが無いからダメだ、ほらお終い。」
俺がテレビを消すと、アリシアが渋々と動き出した。
「ぶぅ~!」
頬を膨らませて怒っているが、全く怖くないし逆に可愛い。ハッキリ言って逆効果だぞ?
「まずは洗濯物を取り込むぞ。」
「はぁ~い。」
ベランダに出て素早く洗濯物を取り込み、部屋の中に放り込む。
その時、アリシアの下着も一緒に取りこんだのだが、アリシアは俺が下着を触っても何も言わなかった。
気にして無いのか? それとも俺の考えすぎなのだろうか? 良く分らない。
アリシアに自分の分を任せ、俺は自分の分の洗濯物を畳み、タンスへとしまう。
…そうだな、1段目はアリシアのスペースにしよう。
「アリシアの服とかは、ここに入れてくれ。」
「わかりました。」
洗濯物を片付けた後は、夕食の買い物だ。
外着へと着替え、スーパーへと向かうことにした。
「ここって、昨日も来た所ですよね?」
「そうだけど、よく覚えてたな。」
「記憶力には自信があるんですよ!」
アリシアがエッヘンと胸を張った。
ん? 気持ち胸が大きくなった? いや、ブラジャーのせいか?
きっと増えた布の分、大きくなったのだろう。
そんな馬鹿なことを考えつつ、買い物をすることにした。
「さて、何を買おうかな。」
明日は仕事で昼間は居ないので、その分も考えないといけない。
そうだ、カレーにするか。カレーなら温めて食べて貰えば良いしな。
と言う訳で、ひき肉、ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、カレー粉を購入。
え? ブロック肉じゃないのかって? 個人的にはひき肉が好みなんだよ、悪かったな。
そしてカレー粉は甘口だ。どうやらアリシアは辛いのが苦手みたいだからな。
ふと思いつきだが、折角だから、アリシアに会計をしてもらうことにした。
何度か会計しているところを見ているから、大丈夫だろう。
「アリシア、会計頼んでも良いか?」
「えぇ~! お金の単位がまだ良く分らないんだけど。」
「とりあえずコレで足りるから、やってみなよ。」
「う、うん、わかった。」
俺は1万円と買い物かごをアリシアに私、レジの向こうで待機した。
気分は初めてのおつかいを遠目で見ているお父さんだ。
アリシアはキョロキョロとして少し挙動不審だ。大丈夫か?
何とか会計を済ませ、お釣りを受け取ったら、ホッとした表情で俺の方へとやってきた。
「ヨシカズさん、どうでしたか? 完璧でしたよね!」
「ああもちろんだ。後はお金の種類と数を覚えたら任せても良いかもな。」
「えっへん、頑張ります♪」
アリシアは褒められて嬉しそうだ。
「じゃあ、帰るぞ。」
「あ、待ってよ~」
俺達は仲良く帰路に着くのだった。




