常識
「さて、勉強を始めるぞ。」
「は~い。」
「アリシアは数を数えることは出来るか?」
「ヨシカズさん! 流石の私でも数の数え方は分かりますよ!」
アリシアがプンプンと怒っている。
「いや、別にアリシアを馬鹿にした訳じゃないよ。ごめん。」
「あ、いえ、私も悪かったです。」
「じゃあ、説明するぞ。まずは時間の概念だ。」
「はい。」
「これを見てくれ。」
俺は腕時計をアリシアに見せた。
「何ですかこれ?」
「これは時計と言って、今の時間を知るための道具だ。」
「へぇ~」
「向こうでは時間を知る方法ってどうやってるんだ?」
「私の世界では、朝日が昇る時間に1回、お日様が一番高く昇った時間に2回、お日様が沈む時に3回の鐘が鳴ります。」
「それだけ?」
「そうですけど、それが何か?」
「あ、いや、何でも無い。」
「はぁ。」
「この世界では、その場所その場所によって鐘やチャイムが鳴る時間がまちまちだからな、もちろんルールに則って鳴らしてはいるけどね。
基本的に時間は各自で管理することになる。」
「そうなんですか。」
「ああ、そのために先ほど見せた時計が必要になる訳だ。」
「そうなんですね。」
「この細い針が1メモリ動くと1秒という単位になる。
1週すると1分と言う単位に変わり、この長い針が1メモリ動く。ちなみに1分は60秒な。
そして、この長い針が1週すると1時間に変わり、短い針が5進む。1時間は60分、秒だと3600秒な。」
「えっ? えっ?」
「そして短い針が1週すると12時間で1日の半分が終わる。だから短い針が2週すると1日が終わるって寸法だ。
ちなみに1日は24時間で、分だと1440分、秒だと86400秒な。」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください~!!」
「何だ?」
「ごめんなさい~!! 知ったかぶりをしました~!!」
「えっと?」
「1000位までしか分かりません~!! ふえぇぇ~~ん!」
アリシアが泣いてしまったが、これって俺が悪いのか? 悪いんだろうな…
「あー、と、とりあえず今は長い針が1週で1時間で1日24週する。そして短い針が示している所がその時の時間を示すとだけ覚えてくれればいいよ。
後は追々覚えて行けばいいよ。」
「…はい…ぐしゅ。」
「後はお金とかも有るんだが、後にするか?」
「いえ、教えてください。」
1000を超えるが大丈夫か?
とりあえず、小銭、お札を1種類づつ全部出してみた。
「あ、この前買い物した時に使った物ですね。」
「そうだ、この国ではお金の単位が円と呼ばれている。
これが1つで1円な。この1円が5個集まって、この5円と同じ価値になる。
これが10円、50円、100円、500円となる。」
「と言うことは、これが1円が500個分の値段になるんですね。」
「そう。その上になると、こっちの紙のお金に変わるんだ。
これが1000円、5000円、10000円だ。
他にも2000円とかも有るんだけど、今手元には無いから説明できない。ごめん。」
ある意味2000円札はレア物だしな。
「いえ、大丈夫です。」
「後は数字とか覚えて行けば、それほど難しい話じゃ無いから頑張ろうな。」
「はい。」
「一気に詰め込んでも混乱するだけだろうし、今日はこのくらいにしておこう。」
「わかりました。」
「後は常識…ってのとはちょっと違うが、テレビを見てればある程度この世界のことが分かるかもな。」
「テレビって何ですか?」
「そこにある四角い物だよ。」
俺はそう言ってリモコンのスイッチを入れた。
テレビが点いてニュースが流れた。
「えっ? この中に人が!? 大丈夫なんですか?」
「これは遠くの物を映し出す魔道具だから、中に人は居ないぞ。
それに向こうの映像を一方的に送ってるだけだから、こちらの会話は聞えないし見えない。」
「ほぇ~」
アリシアは聞いているのか聞いて無いのか良く分らない返事をして、テレビにくぎ付けになっている。
しばらく放っておくか…




