洗濯
「さて、今日はどうしようかな。」
とりあえず必要最低限の買い物は昨日済ませた。
ひらがなの勉強するのは勿論のこと、ある程度の常識を覚えさせる必要が有るが、アリシアの意見も聞いてみることにする。
「アリシアは何か知りたいこと、やりたいこととかは有るか?」
「文字は早く覚えたいですね~、後はヨシカズさんのお手伝いをしたいです。」
「そうだなぁ、明日からまた仕事が始まるし、昼間に家のことをやってくれると助かるな。
よし、掃除と洗濯を教えるとするか。」
「はい。お願いします。」
「実は昨日洗濯はしちゃったから干すだけなんだけど、一応使い方だけは教えておくな。」
「はい。」
まずは洗濯機の場所まで行くことにする。
「これが洗濯機だ。今中には洗濯済の衣類が入っているから取り出しちゃうか。」
蓋を開けて、洗濯物を取り出して籠に入れる。
「先に干しちゃうか。」
「はい。」
ベランダに出て洗濯干しを教える。
「これに洗濯を挟んで干すんだ。干し方は分かるか?」
「ヨシカズさん、これって何ですか?」
アリシアは洗濯干しに付いている洗濯ばさみに興味深々だ。
「これで洗濯物を挟むんだ、ここを持って力を入れると開くから、こんな風に洗濯物を挟むんだ。」
…コホン。アリシアの下着は後回しにして、とりあえず俺のTシャツを洗濯ばさみに挟んだ。
「わぁ~! これって凄く便利ですね!」
「向こうではどうやって干すんだ?」
「向こうは、棒や紐に引っ掛けて干しますね。
たまに風で落ちて汚れちゃうのが欠点ですが…」
「なるほどな。とりえずこの洗濯ばさみを使えば、よっぽどの風が吹かない限りは落ちないからその点は安心だな。
でだ、こうして挟んだ後は、両側を持って引っ張るんだ。」
俺はお手本として、先ほど干したTシャツを引っ張ってシワを伸ばす。
「こうすることで、シワを無くして干せる。」
「わかりました~」
「ほら、やってみな。」
俺がそう言うと、アリシアは洗濯物を次々と干していった。
「うわっ、下着が絡まっちゃってる…」
言われてみると、他の衣類とごちゃごちゃに絡まっていた。
もしかして、女性ものの下着って別けて洗わないと駄目なのか?
俺はスマホを取り出して調べてみる…なるほど、洗濯ネットみたいなものを使わないと駄目なのか。後で買ってこよう。
俺が調べものをしている内に何とかブラジャーを外せたらしく、洗濯干しの外側に干し始めた。
「ちょい待ち!」
「えっ? 何か間違いましたか?」
「間違ってはいない、間違ってないんだが、その、何だ、アリシアの下着は内側の見えない場所に干した方が良いぞ。」
「何でですか?」
「…持って行くヤツが居るかもしれないからだ。」
「あー、確かに高い物ですから、私みたいにお金が無くて困っている人だと欲しくなっちゃうかもしれませんね。」
アリシアはウンウンと頷いて納得しているが、そうじゃない、そうじゃないんだよ…
「まぁ、そんな感じだ。」
俺は説明することを放棄した。
「わかりました~」
アリシアは俺の気持ちを知らずににこやかに返事をして、干す場所を変えていた。まあいいか。
洗濯干しが終わり、再び洗濯機の所まで戻ってきた。
「じゃあ、こいつの使い方を教えるな。」
「はい。」
「物によっては入れちゃ駄目なのも有るんだが、幸い家にはそう言った衣類が無いから今の所は気にしなくて良い。」
「はい。」
「さっき調べて分かったんだが、アリシアの下着は洗濯ネットと言う物が必要らしい。後で買いに行くからその説明は後な。
昨日洗濯籠に脱いだ服とかを入れただろ? それを洗濯機へと入れる。」
「はい。」
「そしたら、この入れ物に入っている液体を、この入れ物のこの線の所まで入れて、洗濯槽へと入れるんだ。」
実際に洗濯物が無いため、入れることはしなかったが、こんな感じでやるって動作だけやってみせた。
「そしたらふたを閉めて、この赤いボタンを押せば後は自動で洗ってくれる。」
「えっ? それだけなんですか?」
「簡単だろ?」
「さすがは魔道具ですね。」
「言っておくが、この洗濯機も大抵の家には有るからな。」
「そうなんですね、もうこっちの世界では、そう言った物なんだと思うことにします。」
アリシアは驚くことを放棄したみたいだ。




