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ひらがな

ノビルの試食の後は、普通に夕食を作って食べて、今は食休み中だ。


「なぁ、アリシアはこっちの世界に来てどう思ってる?」


「どうって言われましても、色々不思議なことが有り過ぎて何が何やらですけどね。」


「俺が無理やり呼び出しちゃったからな。向こうの方が良かったか?」


「良いか悪いかの2択でしたら、こちらの方が良かったですね。

 こちらは美味しい物が食べられますし、魔物に襲われる心配も有りませんから。」


「だけど、向こうにも知り合いとか生活とかだって有るだろう?」


「知り合いはみんな死にました。顔見知りは何人か居ますが、その程度です。

 生活は路上生活ですから、何とも言えないですね。あはははっ。」


どうやら向こうでは1人で生活していたみたいで、たいした知り合いも生活の場も無いってことか。

とは言っても、こっちの生活が良いかと言われると何とも言えないけどな。

何だかんだ言っても、この日本は場合によっては住みにくくなる国だからだ。

だけど、今は嫌でもこの国で生活して貰わなければならない。

幸いなことに言葉は問題無く通じている。ならこの国の常識さえ得られれば何とかなるか?


「とりあえずこの国で生活するには、この国のことを知ってもらうしかない。

 しばらく勉強することになるが、大丈夫か?」


「はい、頑張ります!」


「とすると、まずは文字を覚える必要が有るな。

 そう言えば、向こうの文字ってどんなのだ?」


「ごめんなさい。私は誰にも教えて貰えなかったので、文字を読むことが出来ません。なのでどんなのかは知らないんです。」


「そっか、残念。」


異世界の文字を知れるかと思ったのだが残念だ。

文字については、地球でも国や地域によっては読めない人も居るし、これから覚えて行けば良い。


「よし、アリシアには、まず『ひらがな』を覚えてもらう。」


「ひらがなですか?」


「そうだ、今こうして話しているのを文字にした物だ。

 そうだなぁ、例えばアリシアをひらがなで書くとこうなる。」


俺は紙に『ありしあ』と書いて見せた。


「これが私の名前なんですね。」


「そうだ。ひらがなは『あ』から始まって『ん』で終わる。五十音とか言われているが、実際は46文字覚えれば済む。」


俺は『あいうえお』、『かきくけこ』と、順番に読みながら書いて行った。


「一気に覚えるのは難しいだろうから、慌てずにゆっくり覚えて行こうな。」


「はい。」


今度何か勉強のために絵本でも買ってきてあげるとしよう。

そんなことを考えていると、アリシアがひらがな表を見ながらブツブツ言っていた。


「どうした?」


「えっと、ヨシカズさんってどう書くのかな~って思って。」


「俺の名前か。」


俺がアリシアの名前の脇に『よしかず』と書いてあげた。


「あれ? この文字ってこの字に似てますが、少し違いますよね? 何でですか?」


「あっ、濁点と半濁点のことを忘れてた。」


「何ですかそれ?」


「えっとな、さっきの『よしかず』の『ず』の文字が違うって言っただろ?

 この点々が濁点で、『す』が『ず』と読むようになる。

 そして、このはの段だけが半濁点の〇を付けられて、『はひふへほ』が『ぱぴぷぺぽ』となるんだ。」


「難しいですね。」


「まあな。」


ある意味日本語は世界一難しいと言われる場合が有るからな。

大変だろうが頑張ってくれ。

とりあえず濁点と半濁点を追加で書いておいた。


「勉強は明日からにして、今日は買い物とかで疲れたし、風呂に入ってさっさと寝ようか。」


「はい。」


浴槽は洗って有るから、お湯を入れるだけだ。

俺はお湯張りのボタンを押した。


『お湯張りを開始します。おふろの栓を確認してください。』


女性の声でアナウンスが流れた。


「ヨシカズさん、女性の声がしましたが、誰か居るんですか?」


「いや、これは機械…魔道具が自動でやってくれるんだ。

 魔道具が話しているだけで、実際は誰も居ないぞ。」


「そうなんですね。やっぱり凄いです。」


こんなことでいちいち感心されるのも何だかなぁ…

でも、知らない人からするとそんなもんか。

お湯が沸くまで少々時間が有るので、ひらがなの勉強をすることにした。


・・・・


『お風呂が沸きました。』


「あ、また聞えました。」


「昨日はシャワーだけだったけど、お風呂を沸かしてみたんだ。

 アリシア、お先にどうぞ。」


「シャワー?」


「昨日、頭から水を被ったのがシャワーだ。」


「あー、あれですか。」


「それでだが、同じ部屋に人が入れるほどの器が有っただろ?

 あそこにお湯を入れたから、体を洗った後に浸かると良い。」


「お湯に浸かるんですか、何か贅沢ですね。

 でも、私が先で良いんですか?」


「構わないぞ。」


「それではお言葉に甘えさせていただきますね。」


「おう。」


俺はバスタオルをアリシアに渡すと、アリシアはお風呂へと向かって行った。

少ししてシャワーの音とアリシアの楽しそうな鼻歌が聞えてきたが、それをじっと聞いてしまうのは男としては仕方が無いことだと思う。

別に何をする訳でも無いのだが、なんだか落ち着かないな…

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