俺も男だ
少ししてアリシアがお風呂から出てきた。
「ふぅ~、気持ち良かったです。ありがとうございます。」
さっそく今日買った室内着を着ているみたいだ。
買ったで思い出した。乳液と化粧水も買ったんだっけ。
「アリシアちょっと良いか?」
「はい?」
俺はテーブルに乳液と化粧水を並べた。
「これって何ですか?」
「これは乳液と化粧水と言って、女性の肌を守るための物だ。
まぁ、今のアリシアには必要無い物かもしれないが、今やっておくことで将来肌の状態に差が出るかもしれないからな。
物は試しでやってみると良い。」
「えっと、どうやって使うのでしょうか?」
俺も何となくでしか知らないし、動画で探してみることにした。
「有った。」
見つけた動画を再生してアリシアに見せてあげた。
「わっ、人が中に入ってます!」
「正確には入っているんじゃないんだが、ほら、こう使うみたいだ。」
アリシアはフムフムと動画を見ながら勉強しているみたいだ。
後は勝手にやってくれるだろう。
「じゃあ俺もお風呂に入ってくるわ。
アリシアは終わったら適当にくつろいでいてくれ。」
「は~い。」
俺もお風呂に入ることにした。
脱衣所に行き服を脱ぎ、籠に脱いだ服を入れ…
「なっ!」
そこには女性ものの下着が置いてあった。
と言うか、さっきまでアリシアが着用していた物だ。
そう言えば昨日、脱いだものを籠に入れろと言ったんだっけ。
昨日は下着と呼べるような物では無かったから平気だったが、今は見てハッキリとソレと分かる物だ。そう、ブラジャーとショーツである。
色は白で、ピンク色の花柄が刺繍された物だ。…って何観察してるんだよ俺は!
思わず手を伸ばしそうになってしまったが、鋼の意思で止めることに成功した。
俺は籠の中身を洗濯槽へとぶち込み、洗剤を入れてスタートボタンを押した。
ゴウンゴウンと洗濯機が動き出し、ひとまずこれで安心である。
気を取り直して風呂場の扉を開けると、先ほどまでアリシアが使っていたからか、石鹸やシャンプーの良い匂いした。
すると、先ほどの下着を付けているアリシアが頭を過った…
・・・・
「俺は何てことを…」
何が有ったかは保身のためにも言わないが、只今自己嫌悪中である。
体を洗い、湯船に浸かって温まった後は、お湯を抜き浴槽を洗ってから風呂を後にした。
部屋に戻るとアリシアはひらがなを勉強中だった。
とは言ってもまだ大して教えて無いから、自分と俺の名前を何度も呟きながら書いていた。
先ほどの件も有って何となく声を掛けにくかったのも有るが、勉強の邪魔をしちゃ悪い気も有ったし、黙って見ていることにした。
反復して文字を書いていたアリシアだが、満足したらしい。
「うん、完璧!
あ、ヨシカズさん、どうです? 上手に書けたでしょう!」
確かに上手に書けているが、俺の字の癖まで真似しなくても良いんだぞ?
「ああ、上手だぞ。」
余計なことは言わずに誉めておく。
「やった♪」
「続きは明日にして今日はそろそろ寝ようか。」
「は~い。」
買ってきた布団を取り出して床に敷く。
「アリシアは此処で寝てくれ。」
俺がそう言うと、アリシアはモジモジとしながら何かを言いたそうだ。
「トイレはあっちだ。それとも使い方を忘れたのか?」
でも、さっきもトイレに行ってたよな? はて?
「違いますよ!!」
「そ、そうか。じゃあ、どうしたんだ?」
「えっと、一緒にとは言いませんから、すぐ脇で寝ても良いですか?」
少し潤んだ瞳で言ってきた。おそらく何だかんだで異世界に飛ばされてしまい、慣れない生活で不安なのだろう。
昨日は疲れとテンパっていたのも有って平気だったが、今は落ち着いたために不安が膨れ上がったのだろう。
そうだな、別に一緒の布団で寝る訳じゃ無いし、まあ良いか。
「分かった。これで良いか?」
布団を移動させて、ベットのすぐ脇に設置した。
「はい♪」
寝る前に、歯ブラシと歯磨き粉を渡して使い方を教える。
「辛いです…」
しまったな、辛いのが苦手なアリシア用として、子供用歯磨き粉を買っておくんだった…
何とか歯磨きを済ませた後は、布団に入って部屋の電気を消す。
「それじゃ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
「…やっぱり眠れん。」
相変わらずチキンな俺であった。




