野草
食事を終えた俺達はお店を出た。
「酷い目に遭いました。でも、美味しかったです。」
「そうか、良かったな。…げぷっ。」
俺は2杯も食べた御蔭で少し苦しい…
「それで、この後は何処行くんですか?」
「後は寝るための布団かな。」
とりあえず寝具を取扱っている家具屋へ行ってみることにした。
やってきたのはお値段が異常な全国チェーンの店だ。
以上じゃないのかって? まぁ、そこは人それぞれだし(笑)
「うわぁ~」
ここでもやっぱり感心しているみたいだ。
寝具売り場にはベットはもちろんのこと、布団も取り扱っていた。
「ふむ、とりあえずこれで良いか。」
俺が選んだのは敷布団、掛け布団、毛布、シーツ、枕、枕カバーの6点セットだ。お値段は5980円。
今日は服やら靴やらでお金を使ってるし、これで勘弁してもらおう。
「アリシア、どの色が良い?」
聞いてみたが種類はあまり無く、白、グレー、紺、焦げ茶色の4色だ。
「…これが良いです。」
少し悩んだみたいだが、清潔感の有る白に決めたみたいだ。
会計を済ませた俺達は、これ以上の荷物も持てないため、帰ることにした。
「あ、荷物持ちます。」
今までは俺が全部持っていたのだが、流石に布団セットは大きく嵩張るため持ちにくい。
それを見かけて手伝ってくれるみたいだ。
「じゃあ、服と靴を頼む。」
「わかりました。」
帰り道、並んで歩いていてふと思った。
こうして誰かと一緒に買い物に出かけたのも久しぶりだし、話をしたのも久々だ。何だかんだで思ってた以上に楽しかったな。
ここ最近は色々と有った御蔭で心労的に辛かったが、今日はそれが解消されてスッキリした気分になったみたいだ。
「アリシア、今日はありがとうな。」
お礼の言葉がすんなりと出た。
「え? 何でヨシカズさんがお礼を言うんですか? お礼を言うのは私の方ですよ?
こんなにも沢山買って頂いてありがとうございました。」
「それについては気にしなくて良いよ。
俺もお礼を言いたかったら言っただけだしな。」
「何だか良く分りませんが、ヨシカズさんがそれで良いなら、私は嬉しいです。」
アリシアがニコニコしながら言ってくれた。
それを見て、ふと思った。
もともとは俺の心が限界で、復讐のために悪魔を呼んだハズだったのだが、実際現れたのはアリシアで、それでも結果的に良い意味で俺の心を救ってくれたのかもな。
「あっ!」
「どうした?」
「ヨシカズさん、あの草食べられますよ! 摘んで帰りましょう!」
アリシアが指さした方を見ると、2坪程の小さな空き地が有り、そこに雑草が沢山生えていた。
しかもすぐ横には『ここでペットにフンをさせないで下さい。』の看板が立っている。と言うことは…うん、無理!
「アリシア、自然の中での収穫ならまだしも、街中での草は食べては駄目だ。
だから、食材は買って帰るぞ。」
「そうなんですか? あの草は割と美味しいのに…残念です。」
そんな残念そうな顔をしないでくれ、思わず摘んで帰りそうになるじゃないか。
少し気になったのでスマホで検索を掛けてみた。
「ノビル? 確かに食べられる草みたいだ。
へぇ、湯がいた後に味噌をつけて食べると旨いのか。」
俺がそんなことをつぶやくと、アリシアが期待をした目でこちらを見ていた。
しっかりと洗えば大丈夫か? 売ってる野菜も肥料も鶏糞や牛糞とかを使うと言うし…よし!
「やっぱり摘んで帰るか。」
「やった~!」
2人でしゃがみ込んでノビルを採取していく。
摘んだノビルは、買い物用に持ち歩いているビニール袋に入れる。
「こんなもんで良いだろう。」
「え? そんな量じゃお腹一杯になりませんよ?」
収穫したのは手のひら2つ分くらいの量だ。
ちょっと食べるには十分な量だ。
「いや、これを主食にするつもりは無いよ。
試しにちょっと食べる程度だから、これで十分さ。」
「そうですか…」
何でそんなに残念そうなんだよ。
「美味しかったらまた摘みに来れば良いだろ?
ほら行くぞ。」
「あ、待ってください~」
俺達は空き地を後にした。




